イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Travis JapanによるD.U.N.K.ショーケースライブのパフォーマンス映像公開から考えること

SKY-HIさんとテレビ局によるプロジェクト、D.U.N.K. -DANCE UNIVERSE NEVER KILLED-(以下、”D.U.N.K.”と表記)が12月に実施した【D.U.N.K. Showcase in KYOCERA DOME OSAKA】。その2日目となる12月3日に登場したTravis Japanのパフォーマンス映像が公開されました。

Travis Japanのパートでは「Candy Kiss」をTHE JET BOY BANGERZと、「JUST DANCE!」をBE:FIRSTと共に披露しており、それらは先行でD.U.N.K.側のYouTubeチャンネルにてアップされています。

今回の動画において注目すべきは、映像の発信元がTravis Japan側の公式YouTubeチャンネルであるということです。

 

Travis Japanの公式YouTubeチャンネルでアップされた【D.U.N.K. Showcase in KYOCERA DOME OSAKA】の映像にはコラボレーション動画は含まれていませんが、音楽フェスやイベントでのパフォーマンス映像(MC含む)をアップすることは異例でしょう。旧ジャニーズ事務所所属歌手の音楽フェス出演映像についてはフィジカルの同梱版にてソフト化することはありましたが、YouTubeの公開はほぼ聞いたことがありません。

(音楽フェス出演映像のフィジカル同梱については、たとえばWEST.が実施。ベストアルバム『AWARD』(3月13日発売 特設サイトはこちら)の初回盤Bには、SUMMER SONIC 2023の出演映像およびドキュメンタリーが収録されます。)

イベントの配信は2月3日までに終了しており、既に観られなくなっています。現時点で出演歌手のYouTubeチャンネルにおけるパフォーマンス映像公開がMAZZELの1曲に限られている模様であり(執筆日である2月5日午前5時時点)、この点からも今回のTravis Japanによる映像公開が如何に異例かが解るでしょう。

MAZZELはSKY-HIさんによるBMSGに所属しており、【D.U.N.K. Showcase in KYOCERA DOME OSAKA】パフォーマンス映像についてはBE:FIRST共々歌手側もしくは所属事務所側のYouTubeチャンネルでいち早く公開されておかしくなかったはずです。上記動画は比較的速い公開となっていますが、今回のTravis Japanにおける措置はイベント主催側、そしてSKY-HIさんにおける別け隔てのない姿勢が表れているのかもしれません。

 

ならば、今後は出演した全歌手のパートが、(できればコラボレーションを含む完全体の形でが理想ですが)各歌手の公式YouTubeチャンネルにアップされるかを注目したいと思います。これはテレビパフォーマンス映像のYouTube活用について、旧ジャニーズ事務所所属歌手の”厚遇”といえる状況が続いていると考えるゆえであり、この点については先月のブログエントリーにて提示しています。

そんな中、昨年4月初めの『CDTVライブ!ライブ!』を皮切りに、旧ジャニーズ事務所所属歌手のテレビパフォーマンス映像が歌手側の公式YouTubeチャンネルにて公開されることが一般化しています。この流れはTBSや日本テレビ、最近ではフジテレビでも採られています。

(中略)

この動画公開はビルボードジャパンソングチャートの動画再生指標にも波及しているのですが、しかしながら先程の4つの条件のうち3つは叶っていません。『TVerでの見逃し配信終了前後以降に』『旧ジャニーズ事務所所属歌手にほぼ限って』『期間限定にて』公開されていることが9ヶ月以上経った現在も続いています。

これは民放各局と旧ジャニーズ事務所側とでのやり取り(契約ともいえるでしょう)の結果ゆえと思われます。しかし旧ジャニーズ事務所においては(社名変更前の)初代社長による性加害問題の解決は勿論のこと、過度な厚遇の解消もまた必須のはずです。YouTubeでのテレビパフォーマンス映像の発信がほぼみられないことも含め、過度な厚遇に当たると捉えられてもおかしくないと考えます。

(しかも、この問題を疑問視しテレビ局や旧ジャニーズ事務所側を取材するメディアを目にしたことがありません。テレビで流れた映像からテロップを取って公開している段階で、メディアがYouTube用に加工する等の対応を行っているだろうゆえ、尚の事です。)

テレビパフォーマンス映像のYouTube公開においては、『放送直後から』『歌手側の公式YouTubeチャンネルで』『期間限定せずに』『フルで』が理想と考えます。上記で指摘した旧ジャニーズ事務所所属歌手のテレビパフォーマンス映像公開については条件が完全に満たされてはいないものの、『歌手側の公式YouTubeチャンネルで』という点をクリアしていることは、チャートの面においても特に重要と捉えています。

 

D.U.N.K.はSKY-HIさんと日本テレビによるプロジェクトであり、今回のTravis Japanによるパートの公開は放送局の意向が働いた可能性や、また以前のエントリーで記したような契約が実際にあるのかもしれません。また、D.U.N.K.の公式Xアカウント(→こちら)においてTravis Japanのパートを歌手側の公式YouTubeチャンネルで公開したことが現時点では紹介されていないことも気になります。

尤もこの点は本日発信される可能性もあり、【D.U.N.K. Showcase in KYOCERA DOME OSAKA】出演歌手の全パートが歌手側の公式YouTubeチャンネルにて公開されるか共々注視したいと思います。また今回アップされた動画の概要欄には期間限定の旨が記されていないため、(元の映像は正確にはテレビパフォーマンスではありませんが)先程提示した理想の4条件に近づいたものと捉えています。

仮に全出演歌手のパートが歌手側のYouTubeチャンネルにて期間限定せずに公開されるようになれば、イベントを含むテレビパフォーマンス映像のYouTube公開における流れ、そして業界全体の意識が変わる可能性が大きいのではと感じています。