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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングチャート、米津玄師「地球儀」が首位に至るかについて注目する

本日発表される7月19日公開分ビルボードジャパンソングチャートでは、YOASOBI「アイドル」がOfficial髭男dism「Subtitle」を抜き単独史上最長となる14週目の首位を獲得すると見込まれます。今後はその「アイドル」がどこまで首位を続けるか、そしてどの曲が新たな首位の座に就くかが注目されますが、このタイミングでリリースされた米津玄師「地球儀」はともすれば最もその位置に近い作品かもしれません。

 

米津玄師「地球儀」が主題歌となった映画『君たちはどう生きるか』は、公開前の情報発信がないことで話題となりました。ゆえに米津玄師さんが主題歌を手掛けることについては、公開日になり歌手名や曲名のハッシュタグに映画関連のマークが登場したことで判明したと言えます。

君たちはどう生きるか』は公開日から連休最終日までの4日間における興行収入が21億円を突破。そしてその連休最終日となる7月17日月曜に映画主題歌である米津玄師「地球儀」がデジタルリリースされ、翌週にはフィジカルも登場するというリリーススケジュールが組まれています。

音楽チャートではアニメソングが強い状況ですが、映画関連曲においては興行収入と比例する傾向がみられます。上記ツイート内で紹介された映画の関連曲もその多くがヒットしていることから、米津玄師「地球儀」にも期待が高まります。

 

現在の音楽チャートに大きな影響を与えるのがストリーミングですが、ビルボードジャパンソングチャートのストリーミング指標にデータを提供するSpotifyについては再生回数全体のおよそ2割を占める傾向があります。そのSpotifyにおいて米津玄師「地球儀」は7月16日付で79位に初登場を果たすと、最新7月17日付にて10位に上昇しました。

Spotifyは多くの方が登録するプレイリストに選出されることで再生回数が伸びる傾向にあります。月曜更新のTokyo Super Hits!プレイリストで2曲目に選ばれたこと、また50位以内にランクインしトップ50プレイリストの仲間入りを果たしたことで、Spotifyでは米津玄師「地球儀」の上昇が見込まれるものと考えます。

またダウンロードでは米津玄師さんの作品が初週に強く、直近の作品では「KICK BACK」が初週61,510DL(2022年10月19日公開分)、「LADY」が20,907DL(3月29日公開分)、「月を見ていた」が29,349DL(7月5日公開分)を記録、いずれもダウンロード指標で首位初登場を果たしています。7月26日公開分のソングチャートにおけるデジタル速報値は今週金曜に公開されることから、「地球儀」の動向に注目です。

 

7月17日月曜からの1週間を集計期間とする7月26日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、集計期間初日に解禁された米津玄師「地球儀」がどの位置に到達するか、YOASOBI「アイドル」の連続首位記録を止めることができるかが気になりますが、他方日本のサブスクサービスにて最大のシェアを誇るApple Musicではブログ執筆時点(7月19日5時の段階)で「地球儀」が41位と高くないことが引っかかっています。

そしてもうひとつ、米津玄師「地球儀」においてはミュージックビデオが現時点で公開されていないことも気になります。仮に日曜までに解禁されなければ、7月26日公開分のビルボードジャパンソングチャートにおいて動画再生指標が加点されないということになります。

実際、米津玄師さんの作品においては「KICK BACK」(2022)においてもデジタルリリース週にミュージックビデオは公開されず、オープニングテーマに起用された『チェンソーマン』の関連動画が週の終わりに登場したことで動画再生指標が加点された形です。ミュージックビデオは10月25日の公開を待つこととなり、動画再生指標は49→100位とダウンしながらミュージックビデオ公開後は3週連続、計4回首位に到達しています。

 

実は現時点で、『君たちはどう生きるか』のパンフレットが発売されていません。

情報未公開にこだわったゆえの措置と言えますが、それゆえ尚の事、米津玄師「地球儀」のフィジカル(CD)の存在が大きくなるものと思われます。

フィジカルには写真集が同梱されます。この中身が『君たちはどう生きるか』のネタバレをどこまで伴うかは不明ですが、ともすればこのフィジカルのリリースを映画における情報解禁の契機と捉え、フィジカルリリースのタイミングでパンフレットの発売も、また「地球儀」のミュージックビデオ公開も行われるのではないかという予感がします。

この予感は、「KICK BACK」がフィジカルセールス初加算となった2022年11月30日公開分にてビルボードジャパンソングチャート首位に返り咲いた際、ライブ動画の公開、また2022年度まで加算対象だったルックアップ指標を活かすべくレンタル解禁日を米津さんには珍しくリリースから3日後に設定した等、同曲における施策の徹底を踏まえてのものです。

大型タイアップが付く曲となるとその元作品の意向も踏まえて施策をプランニングする必要がありますが、『君たちはどう生きるか』が情報公開をいとわない形に踏み切るタイミングで映画の場面映像等を用いたミュージックビデオがフィジカルリリースに合わせて公開される…そんなストーリーが浮かんできます。無論これはあくまで自分の想像に過ぎませんが、あり得なくはないでしょう。

米津玄師さんは「KICK BACK」のフィジカルセールス初加算週に様々な施策を同時に行ったことで、週間ポイント数は2022年度2位に達しました。仮に7月26日公開分のビルボードジャパンソングチャートにて首位に到達せずとも、ストリーミングの引き続きの盛り上がりやフィジカルセールス初加算およびそれに伴う各種施策を行うことで、8月2日公開分にて「地球儀」を総合首位の座に送り込もうとしているのではと感じています。

 

無論、YOASOBI「アイドル」がどこまで勢いを維持できるか(ポイント前週比がどう推移するか)、またBTSのジョングクがラトーを客演に迎えた「Seven」が初の1週間フル加算となる7月26日公開分のビルボードジャパンソングチャートでどの位置に到達するかも気になります。ともすれば来週以降、「アイドル」「Seven」そして「地球儀」の三つ巴の争いになることが見込まれ、その行方を日々注目しなければと感じています。