イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【マイベスト】2023年6月の私的トップ10ソングス、選びました

2020年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2023年6月分です。前の月にリリースされた曲を中心に選出しています。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。

過去の私的トップ10ソングス等についてはこちらに。Spotifyを利用し、New Music WednesdayNew Music Friday JapanNew Music FridayおよびMonday Spinといったプレイリストを毎週チェックしています。

 

なお、"私的トップ10ソングス"とあるように、月イチで紹介するこのエントリーは完全な私見に基づくベストソング選出企画となります。音楽チャート紹介時には個人的な作品への思い入れを乗せないよう心掛けています。

 

 

10位 ザ・ウィークエンド with プレイボーイ・カルティ & マドンナ「Popular」

ザ・ウィークエンド出演のドラマ『THE IDOL / ジ・アイドル』の挿入歌であり、メトロ・ブーミンが制作に参加。おそらくウィークエンドにとってのアイドルであろうマドンナを共演に迎え、ネプチューンズ初期の音像をアップデートしたようなサウンドに乗せふたりがクールなパフォーマンスを披露しています。

 

9位 lo-key design「Calm Your Mind」

6月はディアンジェロの影響を受けたと思しきジャパニーズR&B作品が複数登場。その中でボーカルの美しさ、ディアンジェロに限らず1990年代以降に流行したオーガニックソウル全体をうまく取り込んだこちらを選出しています。

 

8位 サンファ「Spirit 2.0」

世界にその名を轟かせたファーストフルアルバム『Process』のリリースから6年、サンファが久々に放つ新曲(来月2枚目のEP『Dual』がリリースされるもののこの曲は未収録らしく、その理由が気になるところ)。サンファらしい世界観は相変わらずも、終盤に魅せる変則的な三連フロウに新しさを感じます。

 

7位 マエタ「Questions」

ヒップホップやR&Bがダンスミュージックに回帰していると言われる中、ジャージー・クラブの大ヒット曲を輩出したムラ・マサ共々評価されるべきと思うのがケイトラナダ。R&B界の新鋭、マエタによる「Questions」はそのケイトラナダを制作に迎えた流麗なダンスミュージックで、夜明け前のクラブで最も重宝されそうな作品です。

 

6位 ハイブス「Tip Toe

バンコクの男性2人組によるこの曲はシティポップの範疇に入れることも可能ですが、この曲を聴いてまず思い出したのは「Love T.K.O.」や「Betcha By Golly, Wow」といった1970年代以降のドリーミーなソウルミュージック。現在のポップミュージックにおけるインスピレーション元は幅広い年代の作品となっていますが、いわゆるフリーソウルをベースとしたものは珍しいかもしれません。

 

5位 マヘリア feat. ジョジョ「Cheat」

英国出身のマヘリアによるセカンドアルバム『IRL』からの先行曲はジョジョを迎えた”浮気(Cheat)”ソング。両者がいがみ合う構図はまさにブランディ & モニカ「The Boy Is Mine」(1998 ミュージックビデオはこちら)を彷彿とさせ、ミュージックビデオの結末(オチ)もまた似ているゆえ最早オマージュと言えそうですが、大人の余裕が感じられるこの曲の格好良さに惹かれています。

 

4位 KID FRESINO feat. ハナレグミ「that place is burning」

客演に迎えたハナレグミさんが主演級な活躍で美しいメロディを歌い、KID FRESINOさんによる冷静に聴こえつつも熱を帯びたラップが見事に共存。中村佳穂さんの作品にも参加する西田修大さん等、名うての若手プレイヤーがふたりの化学反応をさらに高めています。

 

3位 野澤です。「勘違い」

ここまで恋愛下手な主人公をあまり見たことはないのですが、一方でアレンジの温かみもあって現実味が感じられる作品に。思いを寄せる相手の素振りをあざとさと勘違いし妄想を膨らませる主人公の姿は愚かでありながらも愛おしく、そして自分も過去はそうだったのではと回顧し恥ずかしくなるという流れまでがこの曲に触れて生まれるかのよう。各々の聴き手が主人公をどう思うか、議論してみたくなります。

 

2位 ジェイムス・ブレイク「Big Hammer」

初期作品に回帰すると言われるニューアルバムからの先行曲。エレクトロニックミュージックが登場し始めた1980年代のテレビから流れてくれば不気味さと恐ろしさを覚えるようなサウンドが癖に。加えてバスタ・ライムス的なラップが挿入されることで、不気味さと(それと紙一重の)快感とが同時にやってくるような作品に仕上がっています。

 

1位 コリン・ホウソーン「Cry」

「Won't He Do It」でゴスペル界に新風を巻き起こしたコリン・ホウソーンによる久しぶりの新曲を首位に。2パック「Dear Mama」等でも用いられたジョー・サンプル「In All My Wildest Dreams」と言う大ネタ使いはゴスペルを知らないヒップホップやR&Bファンにも嬉しく、そのアレンジのもとで歌うコリンの説得力に胸を打たれます。

 

 

以下、次点として10曲。

・a子「あたしの全部を愛せない」

・kent watari feat. Sara Wakui「hallucination」

U-zhaan、BIGYUKI「Resurrection」

・コーシャス・クレイ feat. ジュリアン・ラージ「Another Half」

・クリス・ブラウン「Summer Too Hot」

・コイ・リレイ with デヴィッド・ゲッタ「Make My Day」

ジャネール・モネイ feat. ドエチー「Phenomenal」

・ジョーイ・ドーシック「All The Way Back In Love」

・ノー・ガイダンス「Is It A Crime?」

・ファボ「Luv Songs (Unruly)」

1990年代のR&Bボーカルグループ好きの間で話題のノー・ガイダンス「Is It A Crime?」。マヘリア同様イギリス発となり、FLOも含め今の英R&B界の好調を如実に示しているかのよう。惜しむらくはこの曲が2分半もなく、2番サビ後に終わってしまうということ。今の時代ならではの尺といわれればそれまでですが、ここから間奏→大サビに至り4名の個性がぶつかり合うコーラスやフェイクが欲しかったところです。

 

 

Spotifyのプレイリストはこちらに。

今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。