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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

SixTONES「こっから」は好調ながら早々にダウンする可能性は拭えず…デジタルの方針転換を事務所側に提案する

SixTONESの最新シングル「こっから」。昨秋以降の彼らの作品において最もヒットしているという印象を抱いています。

一方、シングル初週売上497,843枚でシングル1位、ラジオ1位の2冠を獲得したSixTONES「こっから」は、森本慎太郎とKing & Princeの髙橋海人が主演するドラマ『だが、情熱はある』の主題歌。こちらも前述2指標に加えて動画3位と、取るべき指標で高ポイントをマークしたものの、「アイドル」には及ばず、初登場で総合2位につけた。

YOASOBI「アイドル」の後塵を拝する形となりましたが、SixTONES「こっから」は10,160ポイントを獲得。2023年度週間2位獲得曲の中で1万ポイント超えは今回を含め5週分にとどまるという点において、同曲の瞬発力の高さがよく解ります。

最新6月21日公開分ビルボードジャパンソングチャートにおけるSixTONES「こっから」のCHART insightをみると、動画再生指標(赤で表示)が高位置で安定していることが解ります。SixTONESのフィジカルシングルは「ABARERO」以来2ヶ月ぶりですが、その「ABARERO」はフィジカルセールス初週434,274枚、9,123ポイントを獲得し4月19日公開分ビルボードジャパンソングチャートで3位に達しています。

その前のシングル「Good Luck!」はフィジカルセールス初週398,252枚を記録し昨年11月9日公開分ソングチャートにて3位に登場。ポイントは11,805と直近2作品より多くなっていますが、これは2022年度までルックアップ(CHART insightではオレンジで表示)およびTwitter(水色)という、男性アイドルや男性ダンスボーカルグループ(男性アイドル)に強い指標が加点対象だったためです。

「Good Luck!」以降の3曲におけるCHART insightはいずれもフィジカルセールス指標(黄色で表示)初加算週における動向を示し、チャート構成比も同日付のものとなっています。「Good Luck!」から今年度廃止されたルックアップおよびTwitter指標を除けば1万ポイントを下回ることから、最新ソングチャートで1万ポイント超えを達成した「こっから」の強さが解ります。加えて動画再生指標の安定もよく解るはずです。

 

「こっから」の好調は、主題歌となったドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ)の好調も影響していると言えます。ビデオリサーチによる関東地区世帯視聴率は一度として5%を上回ってはいないものの、オリコンによるドラマ満足度調査では最新回でトップに。ドラマ視聴率と満足度が比例しないことは昨年秋クールの『silent』(フジテレビ)が証明しており、主題歌のヒットもドラマの評判と比例する傾向にあると捉えています。

さらに、SixTONES「こっから」においては関連動画のYouTube発信が少なくなく、元来ニーズが高かった曲の注目度をさらに高めたと言えるかもしれません。

6月13日にアップされた上記動画は、間奏部分にメンバーの声等が挿入されていますがフルバージョンにて公開。ジャニーズ事務所所属歌手作品でデジタル(ダウンロードおよびサブスク)未解禁の曲はミュージックビデオもショートバージョンであることが一般的ですが、追加投入される動画のフルバージョン公開がジャニーズ関連作品全体の動画再生指標における好調に寄与していることは、以前からお伝えしている通りです。

また『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)ではこの春以降、ジャニーズ事務所所属歌手によるパフォーマンスがTVer配信時にカットされなくなったのみならず、彼らのパフォーマンスは各歌手もしくはレコード会社のYouTubeアカウントから期間限定ながらも公開される形となりました。この動画も動画再生指標に加わることになります。

 

CDTVライブ!ライブ!』についてはジャニーズ事務所全体の姿勢の転換ゆえと考えますが、一方でYouTubeでのフルバージョン動画公開からはSixTONES側のデジタル解禁に対するこだわりが強く感じられます。仮にサブスクを解禁すればロングヒットしSixTONESの代表曲と成る可能性が考えられるゆえ、事務所自体のデジタルへの考え方が前向きに成ることが必要です。

(ちなみに、海外在住者の登録者も多いYouTubeチャンネル、THE FIRST TAKEにSixTONESが出演したことも彼らの音楽への高い意欲を感じるに十分です。ただTHE FIRST TAKE出演者でデジタルに明るくない歌手は彼ら以外ほぼ見当たらず、ゆえに評判を得てもその先につながりにくいのは勿体なく感じます。日本のエンタテインメント業界の事情を知らない海外の方には尚の事、デジタル未解禁に違和感を抱くことでしょう。)

そして『CDTVライブ!ライブ!』において、ジャニーズ事務所以外の芸能事務所に所属する歌手のパフォーマンスも同様に公開される必要があると考えます。ジャニーズ事務所側の方針転換が配信に大きな影響を及ぼしていますが、それだけ影響力を持つならば他の事務所所属歌手についても同様の措置を採ることができるよう、エンタテインメント業界全体におけるデジタル環境の整備に積極的に名乗り出てほしいと考えます。

 

デジタルが仮に解禁されていればよりヒットしたであろうジャニーズ関連作品には、Hey! Say! JUMP「DEAR MY LOVER」が挙げられます。同曲については下記ブログエントリーで述べたばかりですが、結果的に最新6月21日公開分ソングチャートでは100位圏外にダウンしています。同曲も動画再生指標が好調に推移しているため、ともすればSixTONES「こっから」も同種の動向をなぞる可能性が高いのではないでしょうか。

デジタル未解禁措置は機会損失につながるのみならず、それを続けることは最終的にJ-POP全体の信用失墜にもつながりかねないと危惧します。SixTONES側には環境を打破したいという意志が感じられることから、ジャニーズ事務所側の真の意味での方針転換を強く願います。