イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標で複数バージョンの合算が発生、原因を踏まえラジオ局へ提案する

ラジオ業界は遅くても明後日から春改編が開始。今回ブログエントリーではこのタイミングで業界への改善提案を記します。それは、OA曲を正確に登録するということです。

上記はTRFEZ DO DANCE」の直近60週におけるCHART insight。黄緑で示されたラジオ指標が16位にランクインしていますが、これは最新3月29日公開分ビルボードジャパンソングチャートの集計期間中に「EZ DO DANCE -Version.2023-」がリリースされたことに伴うものと考えられます。

しかし、CHART insightからは「EZ DO DANCE -Version.2023-」がオリジナルバージョンと合算されていることが解ります。黄色で表示されるフィジカルセールス指標は昨年3月のアナログリリースが反映されたものです。

オリジナルと”Version.2023-”というふたつのバージョンは尺も異なります。ビルボードジャパンでは言語の違いを除き合算しないチャートポリシー(集計方法)を採用していますが、ラジオにおけるセルフカバー版の合算は以前もみられました。下記ブログエントリーではテイラー・スウィフト「Love Story (Taylor's Version)」がオリジナルバージョンと合算されていることを紹介し、合算基準の曖昧さについて違和感を記載しています。

今回の「EZ DO DANCE」でも同種の事態が発生しました。その理由として考えられるのが ①ビルボードジャパンが合算した、②(ラジオ指標の元データを提供する)プランテックが合算した、という2点ですが、しかし今回の件を踏まえるに ③放送局がOA曲の登録を曖昧に行っている、ということが原因ではないかと考えるに至っています。

 

先程紹介したテイラー・スウィフトによる”Taylor's Version”のリリースは、オリジナルバージョンの原盤権を持ち合わせていないといういわば屈辱といえる状況が背景にあります。

日本でもセルフカバーを出す歌手の中には移籍前のレコード会社の音源を自由に使えない事情が透けて見えることもあります(尤も歌手側本人の発言がなければ断定は難しいのですが)。ゆえに、セルフカバーとオリジナルバージョンとを安易に合算することは歌手側に複雑な心境を抱かせかねないものと危惧します。

 

その背景等を理解したならば、セルフカバー版とオリジナルバージョンとを分けて登録するはずです。ラジオスタッフ側はラジオに欠かせない音楽を、ぞんざいに扱ってはいないでしょうか。歌手側のセルフカバーの意図を汲み、いやそこまでしなくともセルフカバーが出たという情報をきちんと認識した上で、OA曲を正確に登録することを強く願います。

同時にビルボードジャパン側はラジオ局に対し、正確な情報の登録を徹底させるべく動く必要があるでしょう。ラジオ指標のソングチャートにおける影響力は下がっているとはいえ、欠かせない指標であることは間違いありません。そのラジオに是正を促すことは必須と考えます。