イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

CDTVオリジナルランキングは問題を抱えながら継続…そこで理想のチャートポリシー紹介方法を提案する

3月20日放送の『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)では、番組独自ランキングにおけるトップ10長期ランクイン曲が紹介され、優里「ドライフラワー」が81週で首位を獲得したことが報告されました。

2位以下は米津玄師「Lemon」、YOASOBI「夜に駆ける」、Official髭男dism「Pretender」、BTS「Dynamite」、あいみょんマリーゴールド」、LiSA「紅蓮華」、King Gnu「白日」、Tani Yuuki「W / X / Y」、Official髭男dism「宿命」の順となり、2010年代後半以降のリリース曲で構成。言い換えれば、CDTVオリジナルランキングの集計方法が大きく変わって以降のリリース曲で占められた形です。

そのCDTVオリジナルランキングで週間チャートを制した曲だけで明日の放送が構成されるのですが、放送を前に今一度このランキングへの私見を記します。

 

 

CDTVオリジナルランキングについては、以前疑問を問い合わせながらその回答をいただいていません。視聴者すべてに応じることは難しいかもしれないものの、その姿勢を疑問視しています。

加えて、音楽チャートの予想や分析を行う紅蓮・疾風さんはCDTVオリジナルランキングに絡めた明日放送の番組内容を厳しく批判しています。その言葉は厳しいながらも、やはり音楽チャート側の不誠実を感じずにはいられません。

 

過去のエントリーでも述べたように、CDTVオリジナルランキングは2017年4月2日放送分までと同年4月9日放送分からでチャートポリシー(集計方法)が大きく異なります。『それまでのオリコンをベースとしたものから、ビルボードジャパンによる複合シングルチャートBillboard Japan Hot 100をベースとした構成に変更』という表現が最も分かりやすいでしょう(『』内はCOUNT DOWN TV - Wikipedia内ランキングの項目より)。

ただしCDTVオリジナルランキングはフィジカルセールスのウエイトがビルボードジャパンより大きい状況です。これは先述したエントリーで紹介した内容に加えて、CDTVオリジナルランキングにおける首位曲リスト(2022年はこちら、2023年はこちら)とビルボードジャパン(下記表参照)との比較でもはっきり解ります。

 

そして、CDTVオリジナルランキングにおいてはそのデータベース(→こちら)や『CDTVライブ!ライブ!』ホームページ(→こちら)でも、ランキングの指標構成等具体的な中身が紹介されていません。

過去のランキングを参照できない、歌手名や曲名検索では過去1年の推移しか確認できない、そして過去の首位獲得曲については2021年以前の分が調査できない等、データベースを名乗るにはあまりにも不備が多い状況です。特に過去の首位獲得曲については、それを主体に明日の番組を構成する以上必要不可欠なものではないでしょうか。

これらを踏まえれば、そして紅蓮・疾風さんが指摘された年間ランキング2年連続未公表という事態(これはCOUNT DOWN TV - Wikipedia内上半期・年間ランキング1位獲得曲の項目からも判ります)も勘案すれば、CDTVオリジナルランキングの信頼性や説得力は著しく欠けるものと考えます。

 

 

さて、紅蓮・疾風さんがツイートにて触れていたビルボードジャパンのオールタイムソングチャートについてはこのブログでも取り上げましたが、その際自分は違和感を表明しました。

ポイント合算方式を採る以上、この違和感は当然のものと言えます。そして、音楽チャートに少しでも詳しい方ならばオールタイムソングチャートがそうなるだろうことは想像に難くなかったはずです。ただ、その音楽チャートや各社の違いを詳しく知らない方にとっては疑いなく受け入れる可能性が考えられますし、他のチャートとの差に混乱するかもしれません。

そこで自分は音楽チャートのチャートポリシーにおける理想の紹介方法を考えました。ただしこれは複合指標に基づくソングチャートにおけるものであり、フィジカルセールスのみのオリコンシングルランキングは基本的に当てはまらないものと考えます。

 

<複合指標に基づく音楽チャート、チャートポリシーにおける理想の紹介方法>

① 構成指標の中身を説明している

② 構成する指標の変遷(経緯)を分かりやすく掲載している

③ 各指標の計算方法を可能な限り開示している

 

①および②において、ビルボードジャパンの掲載内容が最善と感じています。

複合指標から成るチャートは一指標のみのそれより複雑であり、音楽チャートへのこだわりが薄い方にとって深掘りを面倒くさく感じるのは自然なことです。ゆえに、特に指標構成の変遷については視界に訴えることで、彼らの興味を高めることができるでしょう。とりわけ2015年度第3四半期開始前における図解は非常に分かりやすいゆえ、チャートポリシー変更の都度作成することが最善と考えます。

一方で③については、オリコンの合算ランキングが分かりやすいと考えます(なおオリコンは転載を厳しく禁止しているため、このようなリンクの掲載にとどめたことをご了承ください)。音楽チャートによってはチャートポリシーの計算方法の開示を控える中、(そのランキング自体の信憑性とは別に)オリコンの姿勢は評価できます。

これら音楽チャートの提示方法における3つの理想について、CDTVオリジナルランキングはいずれも自社ホームページ等にて説明を行っていません。データベースの不親切さも含め、不誠実と呼ばれておかしくないのではないでしょうか。

 

 

日本では音楽チャートといえばオリコン知名度で先行、またCDTVオリジナルランキングはメディアとの連携で認知度が高く、ビルボードジャパンはまだ浸透率が高くないかもしれません。ただしチャートの中身、そしてその提示方法において、信頼度はビルボードジャパンが抜きん出ているというのが私見です。

(そして自分は信頼するがゆえに問題点を指摘し、提案しています。他方2つのチャートは信頼度が高くないため基本的には取り上げないことにしていますが、しかし改善しない状況のまま継続していることを強く問題と考え、頻度は高くなくともその都度取り上げるようにしています。)

 

3つのチャート運営側における改善の意志や自問自答の姿勢を、今後も注視していきます。