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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【海外ビルボード】ザ・ウィークエンド「Die For You」、アリアナ・グランデ参加版投入で米チャート制覇

現地時間の3月6日月曜に発表された最新3月11日付米ビルボードソングチャート(集計期間:2月24日~3月2日)。マイリー・サイラス「Flowers」から首位の座を奪取したのはザ・ウィークエンド & アリアナ・グランデ「Die For You」でした。

1958年8月のソングチャート(Hot 100)開始以降、通算1,146曲目の首位を獲得したザ・ウィークエンド & アリアナ・グランデ「Die For You」。ストリーミングは前週比181%アップの3240万、ダウンロードは同1,170%アップの14,000、ラジオは同1%未満アップとなる8110万を記録。ストリーミングは22→1位となりザ・ウィークエンドにとって3曲目、アリアナは4曲目の同指標首位を獲得、ダウンロードは3位となり50位以内初登場、ラジオは3位をキープしています。

「Die For You」は元々、ザ・ウィークエンドが2016年にリリースしたアルバム『Starboy』に収録され、最近のTikTokでのバズに伴い再上昇しラジオやストリーミングにおけるプロモーションにつながっています。そして今回の集計期間初日となる2月24日にアリアナ・グランデ参加のリミックスバージョンがリリースされ、インストゥルメンタル版共々3月2日まで69セント(0.69ドル)にて安価販売。さらに3月1日の深夜にはアカペラ版も登場し、同じく69セントで販売されました。これらはザ・ウィークエンド単独のオリジナルバージョンやスペッドアップ(スピードアップ版)等に加算され、またオリジナル版等も当週69セント安価販売の対象となっていました。なおインストゥルメンタル版はザ・ウィークエンドによるものと両者によるもので、音声は共通ながらデジタルアートワークのみが異なるいわゆる”Alternate Cover”版が各歌手の公式ホームページでのみ販売されていました。

オリジナル版を収録したアルバム『Starboy』は2016年12月17日付の米ビルボードアルバムチャートで首位に初登場を果たしており、そのタイミングで「Die For You」はソングチャート43位に初登場、同月3週に渡りランクインしていました。TikTokのバズに伴い2022年9月3日付でソングチャート100位以内に再登場すると翌月にはトップ40、そして今年1月にはトップ10入りを果たします。そしてラジオ指標では2月に入り2週に渡ってトップの座に就いています。

「Die For You」は米ビルボードソングチャート初登場から首位獲得までの期間が歴代2位、クリスマス関連曲を除けば歴代最長となりました。

<米ビルボードソングチャート、100位以内初登場から首位獲得までに長時間を要した作品>

19年11ヶ月2週 マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」(2000-2019)

 ※オリジナル版のリリースは1994年

6年2ヶ月3週 ザ・ウィークエンド & アリアナ・グランデ「Die For You」(2016-2023)

5年8ヶ月2週 シェリフ「When I'm With You」(1983-1989)

4年8ヶ月2週 UB40「Red Red Wine」(1984-1988)

1年2ヶ月 グラス・アニマルズ「Heat Waves」(2021-2022)

1年1ヶ月 ザ・ウィークエンド & アリアナ・グランデ「Save Your Tears」(2020-2021)

「Die For You」は米ビルボードソングチャート通算31週目の登場にして首位を獲得。首位獲得までに要した時間は歴代4位となりました。最も長い時間をかけて首位に到達したのはグラス・アニマルズ「Heat Waves」の59週となります。

ザ・ウィークエンド、アリアナ・グランデ共に、「Die For You」が7曲目の首位獲得曲に。なおザ・ウィークエンドはアルバム『Starboy』からタイトル曲そして「Die For You」が首位を獲得しており、ひとつの(オリジナル)アルバムからの首位輩出インターバルにおいて歴代最長となりました。

<ザ・ウィークエンド 米ビルボードソングチャート首位獲得曲>

「Can't Feel My Face」(2015年8月22日付以降 3週)

「The Hills」(2015年10月3日付以降 6週)

「Starboy (feat. ダフト・パンク)」(2017年1月7日付 1週)

「Heartless」(2019年12月14日付 1週)

「Blinding Lights」(2020年4月4日付以降 4週)

「Save Your Tears (with アリアナ・グランデ)」(2021年5月8日付以降 2週)

「Die For You (with アリアナ・グランデ)」(2023年3月11日付 1週)

アリアナ・グランデビルボードソングチャート首位獲得曲>

「Thank U Next」(2018年11月17日付以降 7週)

「7 Rings」(2019年2月2日付以降 8週)

「Stuck With U (with ジャスティン・ビーバー)」(2020年5月23日付 1週)

「Rain On Me (with レディー・ガガ)」(2020年6月6日付 1週)

「Positions」(2020年11月7日付 1週)

「Save Your Tears (with ザ・ウィークエンド)」(2021年5月8日付以降 2週)

「Die For You (with ザ・ウィークエンド)」(2023年3月11日付 1週)

トップ10ヒットはザ・ウィークエンドが16曲、そしてアリアナ・グランデは今回の「Die For You」により20曲目に。なおザ・ウィークエンドにおける初のトップ10ヒットはアリアナとの「Love Me Harder」となります(2014年11月 7位)。

ザ・ウィークエンドとアリアナ・グランデの共演による首位獲得は今回が2曲目となります。

<複数の首位獲得曲を輩出した歌手によるタッグ>

・ザ・ウィークエンド & アリアナ・グランデ

 「Save Your Tears」(2021)、「Die For You」(2023)

・ドレイク & フューチャー

 「Way 2 Sexy」(ドレイク feat. フューチャー & ヤング・サグ)(2021)、「Wait For U」(フューチャー feat. ドレイク & テムズ)(2022)

・リアーナ feat. ドレイク

 「What's My Name?」(2010)、「Work」(2016)

エミネム feat. リアーナ

 「Love The Way You Lie」(2010)、「The Monster」(2013-2014)

ネリー・ファータドティンバランド

 「Promiscuous」(ネリー・ファータド feat. ティンバランド)(2006)、「Give It To Me」(ティンバランド feat. ネリー・ファータドジャスティン・ティンバーレイク)(2007)

ジェニファー・ロペス feat. ジャ・ルール

 「I'm Real」(2001)、「Ain't It Funny」(2002)

トップ10ヒット曲の構成上の特徴を分析するヒット・ソングス・デコンストラクテッドは「Die For You」のヒットについて、2016年のリリースながら2020~2022年に倍増し現在トップ10ヒットの4分の1近くを占めるシンセを多用した曲、および過去2年間でトップ10全体の半分を占めるR&B人気の持続に適合したものと紹介しています。

 

初登場から前週まで6週連続で首位を記録していたマイリー・サイラス「Flowers」は2位に後退。一方でラジオは前週比7%アップの1億210万となり、同指標3週目の首位を獲得しています。ラジオ指標の1億超えはアデル「Easy On Me」(2022年1月22日付 1億120万)以来となり、今回の1億210万という水準はザ・ウィークエンド「Blinding Lights」が2020年4月から5月にかけて6週連続で1億超えを果たして以来となります。なお「Blinding Lights」は2020年5月23日付にて1億1460万を記録しています。

またシザ「Kill Bill」は3位にダウン。こちらもラジオは前週比13%アップの8100万を記録し、トップエアプレイゲイナーを獲得しています。

 

カロルG & シャキーラ「TQG」が7位に初登場。ストリーミング2900万、ダウンロード7,000およびラジオ460万を記録しています。カロルGはアルバム『Mañana Será Bonito』が最新3月11日付の米ビルボードアルバムチャートで首位に初登場。女性歌手による全編スペイン語のアルバムとしては初の快挙を達成しました。

「TQG」はカロルGにとって初のトップ10ヒットとなり、シャキーラにとっては6曲目となりますが、そのシャキーラは今年1月にビザラップとの「Bzrp Music Sessions, Vol. 53」が9位を記録して以来のヒットとなります(その前のトップ10ヒットはビヨンセとの「Beautiful Liar」(2007年4月 3位))。

トップ10ヒットを久々に輩出し、しかも短期間に連発するのは珍しい状況ですが、直近ではエルトン・ジョンが1998年以来となるトップ10ヒットを2020年代に連続で登場させています(デュア・リパとの「Cold Heart (Pnau Remix)」(2021 7位)およびブリトニー・スピアーズとの「Hold Me Closer」(2022 6位))。またサンタナは1971年以来28年以上を経て、1999年から翌年にかけて立て続けに首位を獲得しました(ロブ・トーマスとの「Smooth」およびザ・プロダクト・ジー・アンド・ビーとの「Maria Maria」)。サンタナは2002年から翌年にかけても2曲のトップ10ヒットを輩出しますが、いずれも次世代の歌手と組むことで幅広い世代に訴求しています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (6位) ザ・ウィークエンド & アリアナ・グランデ「Die For You」

2位 (1位) マイリー・サイラス「Flowers」

3位 (2位) シザ「Kill Bill

4位 (3位) ピンクパンサレス & アイス・スパイス「Boy's A Liar Pt.2」

5位 (5位) モーガン・ウォレン「Last Night」

6位 (4位) メトロ・ブーミン、ザ・ウィークエンド & 21サヴェージ「Creepin'」

7位 (初登場) カロルG & シャキーラ「TQG」

8位 (7位) サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」

9位 (8位) テイラー・スウィフトAnti-Hero

10位 (9位) ビヨンセ「Cuff It」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート、3月11日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にカロルG & シャキーラ「TQG」が初登場にて首位を獲得しました。

カロルG & シャキーラ「TQG」はGlobal 200においてストリーミング1億5840万、ダウンロード10,000を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミング1億2970万、ダウンロード3,000を、それぞれ記録しています。Global 200における週間ストリーミング数は歴代9位となりました。

<Global 200における週間ストリーミング歴代トップ10>

1位 2億8920万 BTS「Butter」(2021年6月5日付)

2位 2億1710万 マイリー・サイラス「Flowers」(2023年2月4日付)

3位 2億1210万 BLACKPINK「Pink Venom」(2022年9月3日付)

4位 1億8560万 マイリー・サイラス「Flowers」(2023年2月11日付)

5位 1億7910万 マイリー・サイラス「Flowers」(2023年1月28日付)

6位 1億7820万 アデル「Easy On Me」(2021年10月30日付)

7位 1億7080万 BTS「Permission To Dance」(2021年7月24日付)

8位 1億6980万 BTS「Butter」(2021年6月12日付)

9位 1億5840万 カロルG & シャキーラ「TQG」(2023年3月11日付)

10位 1億5280万 BLACKPINK「Shut Down」(2022年10月1日付)

カロルGはGlobal 200で初の首位を獲得。これまでは「Bichota」(2021年1月 7位)、ベッキー・Gとの「MAMIII」(2022年3月 4位)および「Provenza」(2022年5月 6位)がトップ10入りを果たしています。またシャキーラにとっても初の首位となりますが、ビザラップとの「Bzrp Music Sessions, Vol. 53」が今年1月に3週2位を獲得しています(最新3月11日付では7位に後退)。

カロルG、シャキーラ共にコロンビア出身であり、同国からは3組目および4組目の首位獲得歌手となりました。これまでの2組はカロリーナ・ガイタンおよびマウロ・カスティージョであり、アダッサ、レンジー・フェリズ、ダイアン・ゲレロ、ステファニー・ベアトリス & エンカント・キャストとの「We Don't Talk About Bruno (邦題:秘密のブルーノ)」が2022年2月に3週首位を獲得しています。

またGlobal Excl. U.S.においては、カロルGは5曲目、シャキーラは3曲目のトップ10入りにして双方初制覇。なおこちらのチャートではコロンビア出身者として、マルーマ以来の首位獲得歌手となります(ザ・ウィークエンドと組んだ「Hawái」が2022年のチャート開始週に首位を獲得)。

 

ザ・ウィークエンド & アリアナ・グランデ「Die For You」はGlobal 200で19→2位、Global Excl. U.S.では28→3位に上昇。Global 200ではストリーミングが前週比250%アップの1億910万、ダウンロードが同984%アップの15,000を、Global Excl. U.S.ではストリーミングが前週比286%アップの7770万、ダウンロードが同2,086%アップの5,000を、それぞれ記録しています。Global 200においてはザ・ウィークエンドは9曲目、アリアナは5曲目のトップ10入りとなり、両者による「Save Your Tears」が2021年5月に1週首位を獲得しています。またGlobal Excl. U.S.ではザ・ウィークエンドが7曲目、アリアナが5曲目のトップ10ヒットとなりました。

 

Global 200ではマイリー・サイラス「Flowers」が初登場から6週連続で首位を獲得した後、3位に後退。Global Excl. U.S.では同様に6週首位の後、2位にダウンしています。Global 200においてはストリーミングが前週比8%ダウンの1億150万となり、7週連続で1億回超えを達成。初登場からの1億回超えにおいて最長記録を更新しています。なお初登場以降に関係なく1億回超えを最も多く記録したのはザ・キッド・ラロイ & ジャスティン・ビーバー「Stay」の9週(2021年8-10月)となります。

 

Global 200ではモーガン・ウォレン「Last Night」が12→10位へ上昇。ストリーミングは前週比7%アップの3300万、ダウンロードは同51%アップの18,000を記録しています。モーガンは同チャート200位以内に32曲を送り込んでいますが、今回が初のトップ10入り。なお「Last Night」は3月3日にリリースされたアルバム『One Thing At A Time』の収録曲となります。

Global Excl. U.S.ではヤンデル & フェイド「Yandel 150」が11→10位に上昇。ストリーミングは前週比8%アップの3680万を記録しています。プエルトリコ出身のヤンデル、コロンビア出身のフェイド双方にとって初のトップ10ヒットとなりました。