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オリヴィア・ロドリゴ強し、テイラー・スウィフトのセルフカバー版は? 2月27日付米ビルボードおよびグローバルチャートをチェック

ビルボードソングスチャート、現地時間の2月22日月曜に発表された最新2月27日付ソングスチャート(Hot 100)。オリヴィア・ロドリゴ「Drivers License」が初登場から6連覇を達成しました。

オリヴィア・ロドリゴ「Drivers License」はストリーミングが前週比19%ダウンの2240万(同指標2位)、ダウンロードが同42%ダウンの10000(同指標8位)、ラジオが同11%アップの5910万(同指標5位)を獲得。初登場での首位達成は「Drivers License」が48曲目となりますが、初登場から6週連続での首位獲得となると8曲目。初登場からの最長連続首位記録はマライア・キャリーボーイズIIメン「One Sweet Day」の16週(1995-1996)であり、以下エルトン・ジョン「Candle In The Wind 1997」「Something About The Way You Look Tonight」の14週(1997-1998 ダブルAサイドシングル)、ドレイク「God's Plan」(2018)およびパフ・ダディ & フェイス・エヴァンス feat. 112「I'll Be Missing You」(1997)の11週、アデル「Hello」の10週(2015-2016)、マライア・キャリー「Fantasy」の8週(1995)と続きます。「Drivers License」はレディー・ガガ「Born This Way」(2011)に並ぶ初登場からの6週以上首位獲得曲となるのです。

 

アリアナ・グランデ「34+35」が前週から4ランクアップの2位となり、4週前に到達した最高位に再び就きました。これはストリーミングおよびダウンロードの集計開始初日(ラジオの集計開始3日前)にドージャ・キャットおよびメーガン・ザ・スタリオンをフィーチャーしたリミックス版のミュージックビデオが公開されたため。ストリーミングは前週比35%アップの1810万、ダウンロードは同863%アップの16000、ラジオは同2%アップの6020万を獲得しています。なお、この曲全体ではオリジナルバージョンのほうがリミックス版よりもポイントを多く獲得していることから、ソングスチャートのクレジットはアリアナ・グランデ単体となります。

 

リル・ティージェイ feat. 6LACK「Calling My Phone」が3位に初登場を果たしました(6LACKはブラックと読みます)。リル・ティージェイはポロG「Pop Out」に客演参加し2019年6月に最高11位を獲得していましたが今作で最高位を更新、また6LACKにとってソングスチャート50位より上にランクインしたのは今回が初となります。ストリーミングは3400万を獲得し同指標制覇、ダウンロードは3000、ラジオは140万を獲得しましたが、ストリーミングの強さの理由はこの曲のプレビューをTikTokで公開したことにあります。

 

4位以下の動きをみると、前週上昇した曲が緩やかにダウン。前週2位に初登場を果たしたカーディ・B「Up」は3ランクダウンの5位となりましたが、フィジカルセールス等の反動がそこまで大きく表れなかったのは人気の証拠と言えます。またスーパーボウルハーフタイムショー効果で上昇したザ・ウィークエンド「Save Your Tears」は2ランクダウンの6位に。同じくザ・ウィークエンド「Blinding Lights」は1ランクダウンの4位となり、ソングスチャート通算63週目の登場にしてトップ10内は前人未到の50週目、トップ5内も同じく史上最長となる41週目のランクインを果たしました。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) オリヴィア・ロドリゴ「Drivers License」

2位 (6位) アリアナ・グランデ「34+35」

3位 (初登場) リル・ティージェイ feat. 6LACK「Calling My Phone」

4位 (3位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

5位 (2位) カーディ・B「Up」

6位 (4位) ザ・ウィークエンド「Save Your Tears」

7位 (5位) 24Kゴールデン feat. イアン・ディオール「Mood」

8位 (7位) クリス・ブラウン feat. ヤング・サグ「Go Crazy」

9位 (8位) デュア・リパ feat. ダベイビー「Levitating」

10位 (9位) アリアナ・グランデ「Positions」

ラジオを制したのは今週もクリス・ブラウン feat. ヤング・サグ「Go Crazy」(総合8位)で、前週比1%ダウンとなる7910万を獲得しています。

 

11位にはテイラー・スウィフト「Love Story (Taylor's Version)」が初登場。

原盤権の問題を踏まえ、2008年のアルバム『Fearless』収録曲をセルフカバーした『Fearless (Taylor's Version)』からの先行シングル。この問題については以前ブログに記しています。

"Taylor's Version"とのことで、米ビルボードはオリジナルバージョンとこのバージョンを分けると以前宣言していました。今作のランクインにより、テイラー・スウィフトは自身51曲目となるトップ20ヒットを獲得し、リル・ウェインと並び史上2位タイに。最上位はドレイクの69曲となります。またカントリーソングスチャートでは「We Are Never Ever Getting Back Together」(2012)以来8曲目の首位獲得となり、同チャートにおいてはドリー・パートン「I Will Always Love You」がオリジナルバージョンで1974年に、再レコーディング版で1982年に首位を獲得して以来史上2組目となる2バージョンでの首位獲得を果たしました。

 

 

昨年秋に新設されたグローバルチャート、その速報も紹介。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。2月27日付ではオリヴィア・ロドリゴ「Drivers License」がGlobal 200およびGlobal Excl. U.S.(Global 200からアメリカの分を除く)共に6連覇を達成しました。

オリヴィア・ロドリゴ「Drivers License」は、Global 200ではストリーミングが前週比13%ダウンの6850万、ダウンロードは同31%ダウンの16000を、Global Excl. U.S.ではストリーミングが前週比10%ダウンの4710万、ダウンロードが同9%ダウンの7000を獲得。Global 200における6週首位はマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」およびBTS「Dynamite」の4週を上回り単独最長記録を更新、またGlobal Excl. U.S.ではBTS「Dynamite」の首位獲得週数にあと2週と迫っています。

リル・ティージェイ feat. 6LACK「Calling My Phone」はGlobal 200で2位に初登場。ストリーミングは5760万、ダウンロードは4000を獲得。Global Excl. U.S.ではストリーミング2370万、ダウンロード1000を獲得し9位に登場しています。

アリアナ・グランデ「34+35」がGlobal 200で5位、Global Excl. U.S.では10位に入っていますが、Global 200ではドージャ・キャットおよびメーガン・ザ・スタリオンがクレジット。この違いから、米では他の地域よりリミックス版がより高い人気を誇っていることが解ります。一方でグローバルチャートはラジオ指標を含まないことから、米ビルボードソングスチャートにおいて客演参加陣がクレジットされないのはリミックス版がラジオで強くなかったゆえと想像可能(実際、米ビルボードソングスチャートを構成する3つの指標ではラジオの伸びが最も鈍くなっています)。「34+35」はGlobal 200において、ストリーミングが前週比41%アップの4990万、ダウンロードが同589%アップの17000を獲得しています。

Global 200では7位にテイラー・スウィフト「Love Story (Taylor's Version)」が初登場。ストリーミングは3410万、ダウンロードは22000を獲得。米ビルボードソングスチャート同様、グローバルチャートでもオリジナルバージョンと今回のバージョンは分けて表示されます。

 

 

次週はアリアナ・グランデ『Positions』のデラックスエディションがアルバムチャートに反映されます。ソングスチャートにどう影響を及ぼすか、注目です。