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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングチャート、8LOOMの作品群に未加算の指標が…考えられる原因とは

最新12月14日公開分(12月19日付)ビルボードジャパンソングチャートでは、8LOOM「Forever or Never」が16位に初登場。TBSドラマ『君の花になる』から生まれたボーイズグループにおけるキャリア最高位を更新しました。8LOOMについては音楽ライターの森朋之さんによるコラムがビルボードジャパンにアップされ、米ビルボードでも先日英訳版が公開されています。

注目はビルボードジャパンのコラムにおいて、デビュー「Come Again」のCHART insightが掲載されているということ。総合チャートおよび構成指標のいずれかにおいて無料会員は20位まで、有料会員は100位までに入った作品のCHART insightが確認できるのですが、デビュー曲「Come Again」は有料会員向けのデータ公開にとどまっています。よって今回このコラムによって可視化された形です。

(このブログでは、有料会員向けの情報を提示することはモラルに反するという観点から、総合および構成指標のいずれかで20位以内に入っていない作品については掲載を控えています。)

 

8LOOM「Come Again」を除く4曲の配信シングルにおける、最新12月14日公開分(12月19日付)現在でのCHART insightを以下に掲載します。総合順位は黒、構成指標はダウンロードが紫、ストリーミングが青、ラジオが黄緑、Twitterが水色、動画再生が赤、カラオケが緑で表示されます(フィジカル未リリースにつき関連指標は加点対象外)。なおTwitterは12月7日公開分(12月12日付)より廃止されています。

 

 

 

8LOOMについては特に、3作目となる配信シングル「Melody」がストリーミングで好調に推移し総合でも5週連続でトップ40入りを果たしています。ドラマ最終回を経てさらに上昇する可能性もありますが、しかしここで紹介した5作品すべてにおいて、赤で表示される動画再生指標が加算されていないのが気になっています。

 

 

動画再生が加算されていない原因は2つあり、動画自体の再生回数がポイント加算対象となる300位以内に入っていない可能性がまずは考えられます。YouTubeには金曜を起点とする音楽動画関連チャートが存在しますが、8LOOMはデビュー曲配信以降現在に至るまで、週間の楽曲ランキング(→こちら)で一度も100位以内に入っていません。

(上記は本日6時前にYouTubeで"8LOOM Melody"と入力し検索した結果、上位に登場する動画一覧をキャプチャしたものとなります。)

しかし、「Melody」においてはミュージックビデオのほかに様々なバージョンがアップされ、おそらく耐久ロングバージョンを除けば合算されるのが通常と思われます。ビルボードジャパンのコラムでも『MVは自身最速の3日間で100万回再生を突破』とあることから、「Melody」が動画再生指標300位以内に入ることはできたものと考えます。

 

動画再生回数が週間300位以内に入っていたならば、動画再生指標未加算のもう一つの原因は、カウント対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)の未付番にあるでしょう。他の曲においても動画再生指標が急に途絶えることがありますが、その際まずはこの欠損が疑われます。ビルボードジャパンやチャート分析者からもその発信が歌手に向けて行われていますが、コアファンの方々からの呼びかけが重要だと考えます。

8LOOMにおいては全曲が動画再生指標未加算の状況です。先述したように再生回数が300位に満たないことも考えられますが、そもそもビルボードジャパンが示すようにISRCが付番されていない可能性があるのではないでしょうか。

(上記は本日6時前にYouTubeで"8LOOM"と入力し検索した結果、上位に登場する動画一覧をキャプチャしたものとなります。)

YouTubeで"8LOOM"を検索すると、上位に登場する動画は「君の花になる」のライブパフォーマンスを除きTBSの公式YouTubeチャンネル(→こちら)発となっています。ともすれば8LOOMの動画再生指標未加算は、TBS側のISRC未付番が原因ではないかと感じるのです。

 

実際、動画が高い人気を誇りながら動画再生指標に全くといっていいほど反映されなかった例として、Foorin「パプリカ」や嵐「カイト」が挙げられます(下記ブログエントリー参照)。いずれもNHKYouTubeアカウント発の動画であり、メディア発YouTubeチャンネルのISRCの不徹底が今回のTBS公式YouTubeチャンネルでも発生しているのではと想像しています。

加えて嵐「カイト」においては、嵐側が公式ライブパフォーマンス映像をアップして以降ようやく動画再生指標が加算されるようになりました。下記は同曲の初登場以降120分のCHART insightとなりますが、動画再生指標初加算は2021年6月9日公開分(同指標49位)であり、同年5月28日に公開された動画が反映されていることが想像できるのです。 

Foorin「パプリカ」や嵐「カイト」の事例から、NHK公式YouTubeチャンネル発動画におけるISRC未付番が動画再生指標未加算につながったとこのブログでは結論付けました。ISRCは後からでも付番可能ですが、NHK側がそれを行っていなかったことでチャートアクションのさらなる伸びにつながらなかったと感じています。そしてその事象が、今度は8LOOMの一連の作品群から考えられるというのが現段階での結論です。

 

 

8LOOMにおいてはドラマに合わせた期間限定ユニットであるため、ともすれば動画自体も期間限定になるのではと危惧しています。そこで8LOOM自身のYouTubeアカウントを用意する、もしくは所属レコード会社のYouTubeアカウント内に動画を移すことを提案します。特に所属レコード会社内に移行すれば、レコード会社側がISRCを付番し機会損失を減らすことができるでしょう。

尤も最善は、TBS公式YouTubeチャンネルが8LOOMの関連動画をそのまま残すこと、そしてISRCを今からでも付番することです。加えて、テレビ局等音楽業界以外のメディアが同種の発信を行う際、ISRCをきちんと付番するよう業界内で徹底することが何より重要でしょう。今回のケースがISRC未付番に伴うものならば「Melody」をはじめとする8LOOMの作品群はチャート上昇の機会を逃した(逃す)と考えるゆえ、徹底は急務です。