毎年行っている邦楽私的選曲集、2022年度版をお送りします。
<2022年度私的邦楽ベスト (2021年12月19日作成)>
◯ 作成時のルール
・昨年12月から今年11月にかけて発売されたシングル、またはアルバムからのリード曲等、Spotifyの新曲プレイリストより基本的に選出しています。
・1組の歌手につき主演曲は1曲のみ。客演曲はその限りではありません。
・1枚のCD-R(79分弱)に収まるように編集しています。
・歌手名の前の数字はプレイリストの流れを考慮した曲順であり、順位ではありません。
参考として、昨年はこちら。
2022年度の上半期、および下半期の邦楽ベストソングスはこちら。
それでは紹介します。
・2022年度 私的邦楽ベストソングス
(下記動画の中にはミュージックライブビデオやオーディオ動画が含まれます。専用の動画がない曲については、収録アルバムのトレイラー動画を掲載しています。)
01. 宇多田ヒカル「BADモード」
02. UA「お茶」
03. Ovall feat. SIRUP「It's all about you」
04. KAT-TUN「Ain't Seen Nothing Yet」
05. Da-iCE「DOSE」
06. Mime「I Just Wanna Say」
07. BE:FIRST「Softly」
08. 藤井風「やば。」
09. LAGHEADS feat. HIMI「だきしめたいよ」
10. Official髭男dism「Subtitle」
11. サカナクション「ショック!」
12. Vaundy「恋風邪にのせて」
13. Perfume「Spinning World」
14. Ado「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」
15. Aimer「残響散歌」
16. 畠山美由紀 & 藤本一馬「新しい眼」
17. cero「Fuha」
18. 米津玄師「KICK BACK」
19. 佐野元春 & THE COYOTE BAND「さよならメランコリア」
20. adieu「旅立ち」
合計時間 79:34
基本的に各月の私的トップ10ソングスに選出した作品から選んでいます。cero「Fuha」は月間ではトップ10ソングスに掲載せず次点でしたが下半期で選出、Aimer「残響散歌」およびAdo「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」は月間単位では未選出ながら上半期、下半期で選んでおり、今回の年間単位での選出に至りました。各月のベストソングス(洋楽も含む)は選出理由も含め、下記ブログエントリーで確認できます。
ビルボードジャパンソングチャートでヒットした作品をこれまで以上に年間ベストで選んでいると感じています。Aimer「残響散歌」やAdo「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」はその好例であり、様々な場所で耳にしたりロングヒットに伴い触れる機会が増え、徐々に気に入った次第。AimerさんやAdoさんの歌声は、遠くで鳴っていても真っ直ぐ届いた印象で、歌の巧さが年間選出の大きな要因だと実感しています。
そのAdo「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」、そしてPerfume「Spinning World」を手掛けた中田ヤスタカさんの手腕は今年も光っていました。ハリー・スタイルズ「As It Was」のような1980年代テイストを用いた前者、1970~2000年代を意識した様々な曲が生まれる中でフュージョンにアプローチした後者(フェードアウトで終わるところも含めて)…時代に乗ること、新たな道を切り拓くことの双方に長けていました。
男性アイドルやダンスボーカルグループも活況であり、KAT-TUN、Da-iCEおよびBE:FIRSTのミディアム曲を選出。特に亀梨和也さんの表現力が光るKAT-TUN、歌詞に遊び心を入れながら質の高い曲を自ら作り上げるDa-iCE、そしてメンバー4名の歌唱が1990年代R&Bにおける豪華共演を想起させるBE:FIRST。三者三様のアプローチながら、曲の美しさは共通しています。
より良好なチャートアクションにするにはどうすればいいか等、ボーイズグループについてはこのブログで幾度となく取り上げました。今回取り上げた3組、もっといえばジャニーズとジャニーズ以外のボーイズグループが共演できるならば、両者の良さを活かした化学反応がきっと生まれると思うのです。たとえばw-inds.橘慶太さんがKAT-TUNに曲提供すればきっと素晴らしいものができるのではと信じています。
ブログでも紹介した曲としては藤井風「やば。」も。アレンジがグラミー賞等アメリカ音楽賞でのパフォーマンスにおけるバンドアレンジを思わせ、それが主人公の感情をより際立たせている印象。海外で披露すればきっと大きなリアクションが生じるのではと感じていますが、その海外でファーストアルバム収録曲の「死ぬのがいいわ」がバズを起こしたことを踏まえればこの曲にもいずれ光が当たるものと期待しています。
佐野元春 & THE COYOTE BAND「さよならメランコリア」は今の日本において、もっと言えばこの曲のリリース時より今のほうがより大きな意味を持った作品と言えます。ベテラン歌手の中には世の中の変化(劣化といえる状況)について言及を避ける方が目立つ中、佐野さんの作品からはこの世の中で生きることにまだまだ希望があること、そしてその希望は自分で作るものだという思いを抱かせてくれます。
10年前の私的邦楽ベストソングス、プレイリスト最後の2曲にキリンジ「祈れ呪うな」およびRHYMESTER「The Choice Is Yours」を選出したことを思い出しました。『現実を見据え、一人ひとりが責任ある行動をすべきじゃないか』『そして責任ある行動を意識すれば、安易に非難するよりも批判や提言の形に自然に成っていくように思います』とと選出理由を記しましたが、今や言葉や思考は尚更攻撃的になっていると感じます。
その中で「さよならメランコリア」は現実に気付かせ、まずは己を変えることの重要性を説いています。そのような曲の意義は10年前に比べてより大きく、重いものになりました。現実の危機感が強まる中、一人ひとりに宿っていながら眠っている責任を目覚めさせ、芽生えさせることが必須だと感じています。サイネージ広告のような形で、この曲の意義を浸透できたならと思うのです。
選挙翌日の品川駅。「自由な心を持ち続ける人に。」とのメッセージ。これはもはやアーティストによる孤高のレジスタンス運動だ。佐野元春新作アルバム『今、何処』のサイネージ広告。 pic.twitter.com/M9lWrJ5xg6
— DaisyMusic Info. (@DaisyMusicInfo) 2022年7月11日
79分弱のプレイリスト、自信を持って勧めます。Spotifyのプレイリストはこちら。
2022年度も素晴らしい音楽に出会えたことに感謝します。