11月16日、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下”紅白”と記載)の出場歌手が発表されました(今後追加発表される可能性もあります)。この結果を踏まえ、18日に初出場歌手に絞って出場の妥当性について紹介したブログエントリーに対し、ツイートやはてなブックマーク等でたくさんの反応をいただいています。
一方で、反応の中には番組へのネガティブな発言も散見されました。上記ブログエントリーでは『見ないならばわざわざ公言する必要はありません』と書きましたが、敢えて書くことで同じくネガティブな反応をする方と徒党を組むような、それこそあるドラマにおける”反省会”のようなやり方には強い違和感を覚えます(なお”反省会”ハッシュタグについての私見は以前ツイートしています(→https://twitter.com/Kei_radio/status/1576710279559188481?s=20&t=jncwDSN5tMHufwLcSywEWwこちら))。
前回のブログエントリーを機に、紅白が参考にしているであろうビルボードジャパンのチャートを少しでも多くの方が知っていただけるならば幸いです。そして同時に、ビルボードジャパンの認知度拡大は急務だとも考えます。NHK側が毎週ビルボードジャパンのチャート紹介番組を用意することを、個人的には強く希望します(そしてそれが叶うならば番組に協力したいと思っています)。
さて、前回は初出場組に絞って紹介しましたが、あらためて紅白全体の傾向を見てみましょう。まずは先月、このブログで予想した出場歌手予想の結果を押さえます。
上記は10月12日付ブログエントリー(下記リンク先参照)にて記した、2022年紅白出場歌手予想の回答。赤は紅組、青は白組、黄色は特別企画枠での出場となりますが、正解率はそこまで高くないかもしれません。
しかしながら選考の傾向としてはあながち間違っていなかったと捉えています。
紅白側は今回の選考基準について、今年の活躍、世論の支持そして番組の企画・演出を重視していると記しています。これはここ数年の傾向と変わりません。
・選考について | 第73回NHK紅白歌合戦より。次年度に消去される可能性を考慮し、キャプチャさせていただきました(問題があれば削除いたします)。
紅白側が選考基準として重視した今年の活躍のうち、A~C(ただしCのうち有線は除く)については間違いなくビルボードジャパンの複合指標から成るチャートを意識しているはずです。11月23日から翌日にかけてアップされたビルボードジャパンのポッドキャストにて、紅白へのネガティブな反応をする方に対しビルボードジャパン編集長の高嶋直子さんが示した下記記事への自信は、その裏付けとも言えるでしょう。
『第73回NHK紅白歌合戦』初出場組のチャートイン記録をおさらいhttps://t.co/WQZBdcxyL4#NHK紅白 #みんなでシェア#IVE #ウタ #Aimer #SaucyDog #JO1 #なにわ男子 #Vaundy #BEFIRST #緑黄色社会 #LESSERAFIM
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) November 16, 2022
紅白側はビルボードジャパンのチャートについて、ビルボードジャパンがフィジカルセールスに係数処理を施すようになりチャートが社会的ヒット曲の鑑となった2017年以降は特に強く意識して使うようになったと認識しています。
(ちなみに、たとえば予想で挙げたマカロニえんぴつやDa-iCE、Tani Yuukiさんが選ばれなかった理由を考えるに、若手バンドやTikTok等でのバズ、および(ジャニーズ以外の)男性ダンスボーカルグループという括りでのチャートヒットが多く、その偏りを抑える目的があったのかもしれません。)
紅白の選考基準にはNHKへの貢献度もあるでしょう。世論の支持とも近いものですが、ヒットしたと言い難くとも出場に至る例があり、レコード会社や芸能事務所の意向も反映されているかもしれません。加えて特別企画枠においては周年記念のベストアルバムリリースも反映度合いが小さくないと考えます。そして年末年始のリリースは紅白OA後のチャートアクションを見越した動きとして、予想する上で重要な要素となります。
今後の注目点は、追加発表歌手が誰になるかです。
NHK朝ドラ『舞いあがれ!』主題歌「アイラブユー」を引っ提げてback numberが初出場、10月の予想掲載以降にリリースされ大ヒット中の「KICK BACK」を米津玄師さんが地上波生披露、周年記念ベストアルバムがヒットしたMr.Childrenや松任谷由実さん、安全地帯が出場…これらが考えられます。またオリジナルアルバムのヒットを考慮して宇多田ヒカルさんが登場することも有り得るかもしれません。
(松任谷由実さんの動画はアルバムCM、安全地帯の動画はアルバムのダイジェスト映像となります。)
あくまで自分の予想範囲と前置きしますが、このタイミングで紅白出場の可能性が出てきたと捉えているのが中島みゆきさん。
/#中島みゆき (@miyuki_staff)
— AWA@最新音楽トレンド (@AWA_official) November 27, 2022
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中島みゆきさんのフィジカルシングル曲がカップリングも含め、本日一斉にサブスク解禁されています。12月14日にフィジカルリリースされるニューシングル「倶(とも)に」がサブスク解禁されるかは不明ですが、その翌々日にはカップリング曲「銀の龍の背に乗って」が主題歌となった映画『Dr.コトー診療所』が公開されます。
中島みゆきさんは2002年の紅白に出場し、披露した「地上の星」が翌年オリコンシングルランキングを制しています。複合指標から成るビルボードジャパンでは当時のオリコンほど急浮上はしにくいかもしれませんが、紅白披露曲が上昇することが定番化していることも踏まえれば、「銀の龍の背に乗って」で紅白再出場を果たす可能性もあるかもしれません。
加えて、1980年代から2000年代にヒットした歌手の再出場も見込めるでしょう。工藤静香さんは『「感受」Shizuka Kudo 35th Anniversary self-cover album』、篠原涼子さんは「恋しさと せつなさと 心強さと 2023」という、共にセルフカバーをリリースしたことで出場に至っています。ここに違和感を持つメディア等もありますが、当時のヒット曲をリアルタイムで経験した方が親世代になり、子どもと共に観ることにつながります。
(あくまで私見と前置きしますが、上記2作品ともに、オリジナル版のリリース時に比べて歌唱力が安定し、曲の説得力が高まっている印象があります。)
その意味では、紅白発表のタイミングまで新曲がリリースされなかった松浦亜弥さん、また夏の音楽特番で期間限定での再結成を発表した男闘呼組の出演も見込めるでしょう。松浦亜弥さんは紅白出場歌手発表後の11月25日、w-inds.の橘慶太さんが手掛けた「Addicted」をリリースしています。メディアは中森明菜さん再出場の可能性を主体に報じていますが、1980年代~2000年代のアイドル集結は大きな話題となるはずです。
(上記はリリックビデオ。)
一方ではその親世代、いわば高齢者への配慮も紅白では行われています。昨年は特別企画枠にさだまさしさんや細川たかしさんを配し、同種の流れは今年も考えられます。しかし演歌歌謡曲のヒットは近年みられず、出演歌手を昔から活動するJ-Pop歌手に移行させたというのが私見です。
今後追加される可能性があるとして、実は現段階で特別企画枠以外の出場歌手は紅組白組共に1組ずつ少なくなっています。それでいながら放送時間は昨年より10分長いため、複数の追加歌手発表があっても歌唱(パフォーマンス)に割く時間が増えるものと考えます。紅白での披露時間が短いと感じていた身にはこの傾向を歓迎しますが、披露時間を長くすれば視聴率が下がると思われる方もいらっしゃるでしょう。
実際に視聴率が下がればメディアが紅白叩きの材料として用いることは容易に想像できますが、一般に”視聴率”として用いられるリアルタイム視聴率は人気のバロメーターの一側面でしかありません。個人視聴率や総合視聴率、見逃し配信数等を含め、ビルボードジャパンのような複合指標的視野を持ち合わせる必要があります。特に見逃し配信やSNSにて人気のドラマ『silent』(フジテレビ)が未だリアルタイム視聴率で8%に達しない事実は、この数字が人気のバロメーターと離れていることを如実に示すものです。
今年の活躍、世論の支持、番組の企画・演出、NHKへの貢献度、周年記念のベストアルバムや年末年始のリリース、親世代がよく聴いていた歌手の登場等によって選ばれた(選ばれる)顔ぶれをみるに、紅白が実際は全方位的に配慮した出場歌手の選定を行っていると言えるでしょう。これは昨日のブログエントリー(下記リンク先参照)で紹介した地上波音楽特番の出演者傾向からもはっきり解ります。なおこの表は今後も更新予定です。
紅白へのネガティブな反応を続ける方には、ビルボードジャパンの音楽チャートを知ることを勧めます。年末感の増幅を訴えるならば他の音楽番組にもそれを希望することや演歌歌謡曲界の応援も必要でしょう。それでも叶わなければ観ない選択をすればよく、反応するとしても尖った言葉をネットの大海原に、ハッシュタグを用いて徒党を組む必要はありません。視聴率が下がったとして番組評価の一側面と捉えることを勧めます。
自分は番組の演出面の問題を以前から感じていますが(ただこの演出の”いなたさ”と呼べるものは、家族をターゲットとするならば必要かもしれません)、出場歌手選考についてはどんどん好くなっていると考えます。昨年放送分の私見等については下記リンク先をご参照ください。今年の放送についても、来年早々のブログエントリーで記す予定です。
最後に。昨日出演したラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)では、紅白初出場歌手を中心とした音楽特集を組み、今後出場が見込める歌手の曲も紹介しました。下記動画やプレイリスト等でお楽しみください。
・11月27日放送『わがままWAVE It's Cool!!』
(FMアップルウェーブ 日曜17時)
音楽特集【2022紅白初出場 初出場アーティスト】
<お送りした曲目>
01. 松浦亜弥「Addicted」 ※追加出場の可能性を踏まえて
(上記はリリックビデオ。)
02. JO1「SuperCali」 ※初出場
~ここから特集~
(特集オープニングから9曲目まではすべて初出場歌手の作品。なおLE SSERAFIMについては現段階で日本語曲がないことや曲数の関係上、割愛させていただいたことをご了承ください。)
特集OP. 緑黄色社会「Mela!」
03. Ado「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」
04. IVE「ELEVEN -Japanese ver.-」
05. Aimer「残響散歌」
06. Vaundy「瞳惚れ」
07. Saucy Dog「シンデレラボーイ」
08. なにわ男子「初心LOVE」
(上記はダンスバージョン。ミュージックビデオがショートバージョンでアップされていることから、フルバージョンの動画を貼付しています。)
09. BE:FIRST「Bye-Good-Bye」
~ここまで特集~
10. 篠原涼子 with t.komuro「恋しさと せつなさと 心強さと 2023」 ※再出場
(上記はオーディオ。)
以下プレイリストは今回のブログで紹介した作品一覧となります。なお、なにわ男子や男闘呼組はサブスク未解禁ゆえ紹介できません。ご了承ください。