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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

スピッツ「チェリー」がカラオケ指標最高位更新…その影響源は、そしてチャート上昇に大切なこととは

スピッツ「チェリー」がカラオケチャートで上昇を続けています。

(上記はCHART insightにおける、「チェリー」直近150週分のチャートアクション。カラオケ指標は緑で表示されます。)

ビルボードジャパンソングスチャートは2019年度にカラオケ指標を導入(詳細はビルボードジャパンの総合チャートに“カラオケ”指標が誕生! 大手2社による初のデータ提供が実現 | Daily News | Billboard JAPAN(2018年11月29日付)参照)。曲のさらなるロングヒット化につながり、より多くの方に愛される曲がヒットする傾向が高まったと言えます。

そのカラオケ指標でスピッツ「チェリー」が、最新5月18日公開分(5月23日)において15位に上昇。同曲における最高位を更新しました。

「チェリー」については今年、ブログにてSpotifyチャートの動向を採り上げています。その際は桜の季節に合わせたチャートアクションを紹介したのですが、その後も好調に推移。「チェリー」はこの1ヶ月間、一度として100位を下回ることがありませんでした。

 

スピッツ「チェリー」の好調の理由はテレビでの特集、およびフォロワーの登場にあると考えます。

テレビの音楽番組においては過去曲をフィーチャーした企画が目立つ印象があります。上記2番組(『関ジャム 完全燃SHOW』『ミュージックステーション』)では共にスピッツの曲が、「チェリー」ではないものの選出されており、それがスピッツへの注目度を高めた理由と言えるかもしれません。

 

また、スピッツフォロワーというべき歌手の登場も影響していると考えます。きゃない「バニラ」は最新5月18日公開分(5月23日付)ビルボードジャパンソングスチャートで49位に上昇、初のトップ50入りを果たしています。またビルボードジャパンによるHeatseekers Songsチャートでは3週連続でトップに立ちました。

「バニラ」は『耳なじみの良いメロディや歌詞に隠されたストーリーが話題となっている』ことや『TikTokSNSでは、カバー動画や本楽曲を使った家族・カップルのVlog、推し動画などが増加』したことがブレイクの要因となっています(『』内はいずれも【Heatseekers Songs】きゃない「バニラ」初の首位獲得 『オオカミ』BGMで話題の汐れいらがトップ10初登場 | Daily News | Billboard JAPAN(5月4日付)より)。

弾き語り路上ライブを積極的に行ってきたきゃないさんのファンと思しき方がYouTubeにそのパフォーマンス映像をアップされているのですが、そこできゃないさんが「ロビンソン」「空も飛べるはず」そして「チェリー」といったスピッツの作品をカバーしていたことが判ります(YouTubeで"きゃない スピッツ"と検索するとヒットします)。なるほど、きゃないさんの曲の影響源にはスピッツがあるでしょうし、そのきゃないさんを機にスピッツに初めて、もしくはあらためて触れる人も少なくないのかもしれません。

 

 

今回、スピッツの旧譜のチャート上昇をカラオケを軸に紹介しましたが、たとえばカラオケで他人が歌った曲を気になったり、メディアで紹介された作品を後追いする場合、今の時代はCDを買うもしくは借りるよりもYouTubeやサブスクでまず探す方のほうが多いはずです。

スピッツはサブスク解禁やYouTubeでのミュージックビデオ公開といったデジタル環境を整えたことで、作品が注目を集めた際に即座にリーチできるようになっています。それがスピッツ熱を高め、最終的にカラオケで歌いたい欲をも高めたのではないでしょうか。