今後のブレイク候補に躍り出た感があります。
今週のYouTube music charts : Japan 楽曲ランキングにて「神っぽいな」がまさかの1位になりました😇
— ピノキオピー (@pinocchiop) 2022年1月30日
沢山聴いていただき、ありがとうございます!🙏https://t.co/wfmgsDrhkp pic.twitter.com/vw1o22fTOU
ピノキオピー feat. 初音ミク「神っぽいな」上昇の要因には様々な要因が挙げられます。
今週のYouTubeの楽曲ランキング
— Ko Matsushima / 松島 功 (@komatsushima) 2022年1月30日
ピノキオピー 「神っぽいな feat. 初音ミク」がついに1位
UGCパワー感じる楽曲ランキングほんと面白いっすね...https://t.co/qlo4x6RKL2 pic.twitter.com/RpCvSWpcdb
arne代表の松島功さんが述べた"UGC"とはUser Generated Content(ユーザー生成コンテンツ)の略で、いわゆる歌ってみたや踊ってみたに代表される動画を指します。「神っぽいな」はこのUGCにて存在感を示してきました。
続く11位のピノキオピー「神っぽいな」も当週初登場。同曲はピノキオピーが9月17日に発表した初音ミクが歌唱する楽曲で、同月19日よりデジタル配信がスタートした。11月28日よりJOYSOUND、12月7日よりDAMにてそれぞれカラオケ配信がスタートしたことからさらに人気を伸ばし、当週はダウンロード、ストリーミング、カラオケの3指標がトップ300圏内を走っている。
上記はビルボードジャパンソングスチャートの構成指標から一部を取り出し、急上昇中の歌手の作品のみで構成したHeatseekers Songsチャートの、昨年12月22日公開分における記事(ランクイン条件は上記リンク先に掲載)。このチャートでは最新1月26日公開分(1月31日付)において「神っぽいな」は6位につけています(記事はこちら)。
この記事にあるように、ピノキオピー feat. 初音ミク「神っぽいな」はカラオケ配信開始効果も認知浸透に大きく寄与したものと思われます。その結果、ビルボードジャパンがUGCによる再生回数をまとめたTop User Generated Songsチャートで「神っぽいな」は3週続けて首位の座に就いているのです。Top User Generated Songsチャートはこちらから確認可能です。
上記はTop User Generated Songsチャートの2022年度第1四半期におけるトップ20在籍曲一覧ですが、ボカロPによる作品が圧倒的に強いことが解ります。たとえばKanaria「KING」は昨年度のこのチャートにおいて一度としてトップ3から脱落しておらず、今年度ピノキオピー feat. 初音ミク「神っぽいな」に逆転されてはじめてトップ3から陥落したことになるのです。
日本の音楽チャートにおいてボカロP文化の存在が大きいことはこれらチャートからもよく解るのですが、一方でビルボードジャパンの総合ソングスチャートにおける存在感が強くないというのが厳しくも私見です。しかしその理由の一端ははっきりしています。Kanaria「KING」を例に紹介した以前のエントリーを再掲します。
Top User Generated Songsチャートは、踊ってみたや歌ってみた動画に代表されるユーザー生成コンテンツ(User Generated Contents。以下UGC)を集計したもので、2021年度初週に動画再生指標のカウントから除外されたタイミングで別途設けられています。現在のビルボードジャパンソングスチャートにおける動画再生指標は、公式動画のみがカウントの対象となっています。
(中略)
一方で、総合ソングスチャートでは真逆ともいえる現象が発生します。
上記は2021年12月8日公開分(12月13日付)ビルボードジャパンソングスチャートまでの60週分におけるKanaria「KING」のCHART insightですが、赤で示された動画再生指標が2021年度初週となる2020年12月2日公開(12月7日付)で4→70位へと急落してしまいます。その後持ち直すものの、2021年に入ってからは一度100位に入った以外、動画再生指標は100位を割り込んでしまいます。総合での勢いも潰えてしまいました。
ビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標から仮にUGCが除外されなかったならば、Kanaria「KING」は昨年度の総合ソングスチャートで年間でも100位以内に入ることができたかもしれません。
UGC除外は米ビルボードでも行われており除外自体は自然と言えるでしょうが、一方ではボカロPによる作品のヒットが可視化されにくくなったと考えるのは自然なことでしょう。ゆえに上記ブログエントリーにて『UGCを動画再生指標に再度組み入れることは難しいとしても、動画再生指標自体のウエイトをアップすることは議論の余地がある』とビルボードジャパンに対して提案しました。
ボカロPの音楽がビルボードジャパンの総合ソングスチャートで存在感を示すにはビルボードジャパンのみならず、ともすればボカロPの音楽を共有する方々の意識強化にもかかっているのではと感じています。
上記は本日5時45分段階でYouTubeにて"神っぽいな"で検索し、再生回数順に並べたもの。また歌ってみた動画で最も再生回数の多いラプラス・ダークネスさんによる動画の概要欄をキャプチャしたものとなります。
気になったのは、歌ってみた動画の概要欄に本家の動画のリンク先はあるものの、ダウンロードやストリーミングのリンク先が記載されていないということ。これは上記キャプチャに登場する「神っぽいな」歌ってみた動画すべてに共通しているのです。本家ピノキオピーさんの動画には"Listen digitally on Apple Music, Spotify, and more"に続いて各種デジタルプラットフォームへの遷移先がまとめられたリンクが貼付されています。
(今回のYouTubeのキャプチャ画面については、ブログエントリー紹介の目的で実施しました。問題があれば削除いたします。)
このリンク、ともすれば本家のみが貼付を許されているのかもしれません。しかしそうでないのならば、歌ってみたや踊ってみた動画を発信する方は本家の動画を紹介するのみならず、本家作品の各種デジタルプラットフォームへの遷移先リンクを一緒に概要欄に貼付するのはいかがでしょう。そうなることで動画再生指標以外も刺激し、ビルボードジャパン総合ソングスチャートでボカロPがさらなる存在感を示せるはずです。
おそらくは次回2月2日公開分(2月7日付)ビルボードジャパンアルバムチャートでAdo『狂言』が首位に初登場を果たすことでしょう。またYOASOBIは「夜に駆ける」が2020年度の年間ソングスチャートを制し、昨年度の同チャートでは同曲を含む3曲をトップ10に送り込んでいます。ボカロPを含む広義のネット音楽が一大ジャンルを形成することが解るからこそ、勿体無いと思える乖離がなくなっていくことを願うばかりです。