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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】「残響散歌」7週首位のAimer、トップ20に4曲送り込んだ優里…見事な施策に唸る

最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。

2月7~13日を集計期間とする2月16日公開(2月21日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。Aimer「残響散歌」が5週連続、通算7週目の首位を獲得しました。

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2位には米津玄師「POP SONG」が初登場。ダウンロードおよびラジオを制したこの曲は11820ポイントを獲得。仮に前週までの3週間に初登場していたならば首位の座に到達できたレベルでした。

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しかし今回、Aimer「残響散歌」はポイントが前週からおよそ1.5倍に急増。この理由はビルボードジャパンの記事にも示されています。

「残響散歌」は、オープニングを飾るTVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』が最終回を迎えるなか、テレビ朝日系『ミュージックステーション』、YouTube『THE FIRST TAKE』での実演など、メディア露出が増え、ストリーミング、ダウンロード、動画再生、シングルセールス、Twitter、カラオケの6指標のポイントを伸ばした。米津玄師の「Lemon」、Official髭男dismの「Pretender」「I LOVE...」と並ぶ通算7度目の総合首位で、特に、動画再生は前週比182%増の5,979,516再生をマークし、総合ポイント49%増を大きく牽引した。これは前述の『THE FIRST TAKE』の再生回数が合算されたことによる(注)。

 

注:『THE FIRST TAKE』の合算は、実演楽曲が映像ではなく音源としてリリースされた場合、別計算となります。

(※注釈部分については明日のブログにて、私見を交えて紹介します。)

記事で紹介された以外にも、Aimerさんは『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)で「残響散歌」を含む複数曲を披露しています。メディア効果は以前ブログで紹介しましたが、『「鬼滅の刃遊郭編』(フジテレビ)の最終回効果も加わってとてつもない勢いに。集計期間中のスケジュールをまとめた下記ブログエントリーで予想した『初登場時、フィジカル初加算週に続くポイント面での三度目のピーク』は、見事に的中した形です。

最新ソングスチャートで100位以内にランクインしたAimerさんの4曲は「カタオモイ」がポイント前週比128.8%となり42→29位、「朝が来る」が同118.1%で36→30位とそれぞれ上昇。miletさんおよび幾田りらさんと共演しVaundyさんがプロデュースした「おもかげ」は順位こそ40位キープとなりましたがポイント前週比104.3%といずれも上昇しました。

テレビパフォーマンスについては偶然このタイミングになったと言えるかもしれません。地上波テレビ局は特番の常態化やオリンピック編成等に伴い、音楽番組が毎週放送されていない状態ゆえ尚の事です。一方でTHE FIRST TAKEはほぼ間違いなくソニーミュージックが関わっており、どのタイミングで公開し曲のピークを作るかはある程度コントロール可能と言えます。これらが『「鬼滅の刃遊郭編』最終回に重なったことで、Aimerさん自身の認知度や注目度の上昇につながったと言っていいでしょう。

 

歌手全体での勢いの凄まじさにおいては、優里さんも同様。「ドライフラワー」は7→8位、ポイント前週比94.4%とダウンした一方、「ベテルギウス」は2→4位となるものの同102.2%と上昇。また「レオ」はポイント前週比147.4%を記録し26→12位へ、「シャッター」は同121.8%となり23→17位にそれぞれアップ。「レオ」「シャッター」は最高位を更新し、優里さんは最新ソングスチャート20位以内に4曲を送り込んだのです。

「レオ」についてはミュージックビデオが最新ソングスチャートで初めて1週間フル加算されたことも影響していますが、TikTokでの人気も動画再生やストリーミング指標等の上昇に寄与していると言えます。

TikTok恒例曲が引き続き上位にチャートインし、「夜撫でるメノウ」に次いで、当週トップ10デビューしたのは優里「レオ」だ。犬と飼い主の絆をテーマにした<名前はレオ 名前呼んでよ>という歌詞に合わせて、ペットや乳児、はたまた自身の名前の由来などを紹介する動画投稿が多発して、当週10位についている。

優里さんについても、最新ソングスチャートの集計期間中における様々な施策をこのブログで紹介しました。

これら効果は、『壱』がビルボードジャパンの最新アルバムチャートで3位に再浮上したことからも明らかでしょう。

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チャート分析に長け、予想も行う紅蓮・疾風さんのツイートに引用する形でつぶやきましたが、優里さんの戦略も実に見事です。

 

 

今回紹介したAimerさんそして優里さんの公式Twitterアカウントでは、ビルボードジャパンソングスチャートについて言及されています。

優里さんについてはソングスチャートのストリーミング指標に関する言及ではありますが、このような感謝の意は単にチャートの順位を伝えるのみならず、コアなファンとの結びつきを強める効果も生まれるのです。この点も含めて、二組におけるスケジュールや施策の巧さに唸らされます。そしてAimerさんも優里さんもソニーミュージック系列の所属であり、同社の勢いと巧さを感じずにはいられません。