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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンでAimer「残響散歌」が8週首位を獲得した外的要因、そしてオールタイムチャート設立の切望

最新の2月23日公開(2月28日付)ビルボードジャパンソングスチャートではAimer「残響散歌」が通算8週目の首位を獲得。この大記録達成については昨日紹介しました。

ここでタイトルに内的要因と用いたのは、一方で外的要因も首位獲得の理由に成っていると捉えているためです。

 

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上記は今年度におけるビルボードジャパンソングスチャートの週毎における首位獲得曲リスト。これまでも用いてきた表ですが、オレンジおよび黄色については後述するチャートポリシー変更を踏まえ、今年度に基準値を変更しています。

Aimer「残響散歌」はデジタル初加算週にソングスチャートを制し、フィジカル関連指標加算後は6週すべてにおいて首位を獲得しています。一方で今年度ここまでの11週においては10万枚以上のフィジカルセールスを獲得し総合で首位に到達した作品が2曲にとどまっています。それら作品は翌週のポイント急落もまた大きな特徴ですが、しかし瞬間的ながらでも最上位に到達する曲が減っている印象を抱くのです。

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実際、今年度に入ってからは週間フィジカルセールスが10万枚を突破した曲が少ないと言えます。30万枚突破ともなるとわずか2曲となっているのが現状です。では、Aimer「残響散歌」と首位獲得週数でタイとなるLiSA「炎」についてみてみましょう。

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2020年10月21日公開分(10月26日付)で首位に登場したLiSA「炎」は、その登場から13週のうち8週首位を獲得していますが、その13週のうちフィジカルセールス10万枚を突破した曲が8週分あり、30万を超えたのは4曲に至ります。ただその8週分のうち3週は「炎」が総合で首位を獲得しており、総合力の強さがフィジカルに強い曲を抑えたと言えます。また「炎」登場の前にもフィジカルに強い曲が並んでいます。

フィジカルセールスの状況を踏まえれば、Aimer「残響散歌」においてはフィジカルに強い歌手がほとんどリリースしておらず、ゆえに最上位をキープできているとも言えそうです。おそらくは新型コロナウイルスの影響を踏まえてフィジカルリリースを遅らせる措置が採られており、それがデジタルに強い曲を際立たせていると捉えていいのかもしれません。

 

ちなみに、LiSA「炎」の登場からAimer「残響散歌」までの間、ビルボードジャパンは各四半期初週のたびにチャートポリシー(集計方法)を変更しています。動画再生におけるUGC(ユーザー生成コンテンツ)のカウント除外、ダウンロードのウエイト上昇の一方でストリーミングやルックアップ、Twitterが減少、そしてフィジカルセールスのウエイトが2021年度下半期初週、2022年度初週の二度に渡り減少する措置が採られています。

フィジカルセールスのウエイト減少は厳密には係数処理適用枚数の引き下げを指すのですが(上記リンク先参照)、これが特に首位獲得曲を中心にポイントが低下した理由。Aimer「残響散歌」は、仮にLiSA「炎」初登場時のチャートポリシーがそのままだったならば1月26日公開分(1月31日付)においてジャニーズWEST「黎明」に首位の座を譲った可能性は高いでしょう。また「炎」リリース時に現在のチャートポリシーが踏襲されていたならば、同曲の10週以上の首位は堅かったはずです。

 

 

チャートポリシー変更は時代に伴う各指標の影響力の増減に応じて柔軟に行われなければいけないため、あの時のチャートポリシーだったらと仮定するのは意味のないことかもしれません。そしてLiSA「炎」そしてAimer「残響散歌」も成し遂げた8週首位が見事な記録であることは間違いありません。

そのチャートポリシーに関連して、大きな動きと呼べる記事が登場しました。『認定ランク「シルバー」については、ストリーミング市場が順調に成長し、認定作品数も増加していることなどを踏まえ、2021年12月度を持って廃止する』と上記記事で記されており、シルバーすなわちストリーミング3000万回再生はヒット曲としてみなされにくくなったと言えます。これもまた時代に伴う変化です。

 

Aimer「残響散歌」が今後急落する可能性も否めないため、LiSA「炎」を首位獲得週数で上回っても総合では及ばない可能性もあります。しかしチャートポリシーの変化が続くことで過去のチャートと現在とでは比較がしにくいのが現状です。

そこでビルボードジャパンには、米ビルボードの【Greatest of All Time Hot 100 Songs】(→こちら)を踏まえた、日本でのローンチ以降のオールタイムチャートを作成してほしいと願います。それこそが時代の波に関係なくヒットした曲を知る基準に成ると言えるでしょう。

この旨は以前にも提案しています(上記ブログエントリーの⑤参照)。再来週が2022年度第2四半期初週にあたるため、チャートポリシー変更が行われる可能性も低くありません。議論のテーブルに乗せてくださることを願っています。