イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2020年秋以降のジャニーズ良曲を紹介、その度にデジタル解禁の願いが強まる…昨日のラジオ番組内容まとめ

昨日は地元のラジオ局の番組で、音楽特集の機会をいただきました。この番組で自分は11月にBE:FIRST、1月にはDa-iCEを紹介しています。

今回紹介したのは、この1年半におけるジャニーズ事務所所属歌手のおすすめ曲です。

 

企画を用意した理由はいくつかあります。担当させていただいた番組ではジャニーズ関連特集が多く、先日もなにわ男子デビューの際にデビュー曲特集が行われたのですが、その時紹介された歌手は昭和から平成初期、またはKing & Prince以降が多く、いわば中堅と呼ばれる方々にも好い曲は沢山あることを伝えたかったということがひとつ。

またこのブログではこれまでジャンル等に関係なくお勧め曲を紹介しています。嵐やSexy Zoneの素晴らしい曲に触れ、きちんと紹介したいと考えていました。そして末席かもしれませんがメディアの一員としてBE:FIRSTやDa-iCEに加えてジャニーズも紹介し、業界全体が様々な枷を取り払い、分け隔てることなく採り上げるべきだという思いを自分が態度で示し、メディアに伝えたかったことも一因です。

 

・2月13日放送『わがままWAVE It's Cool!!』

 (FMアップルウェーブ 日曜17時)

 音楽特集【不定期ジャニーズ特集第2弾 最近のおすすめソング】

 

<お送りした曲目>

01. SixTONES「マスカラ」(2021年)

02. King & Prince「Magic Touch」(2021年)

 

~ここから特集~

特集OP. なにわ男子「初心LOVE」(2021年)

03. Sexy Zone「RIGHT NEXT TO YOU」(2021年)

04. Snow Man「Super Sexy」(2021年)

05. V6「雨」(2021年)

06. 嵐「Whenever You Call」(2020年)

07. Hey! Say! JUMP「群青ランナウェイ」(2021年)

08. King & Prince「Namae Oshiete」(2021年)

09. ジャニーズWEST「黎明」(2022年)

 

~ここまで特集~

 

10. ENDRECHERI「ENDRECHERI Party」(2021年)

 

2021年にシングルリリースされた攻めの作品群を冒頭に据え、そこから特集へ。R&B好きゆえそのジャンルを主体とした選曲となりましたが、そのR&B系統の作品は以前紹介していますので、下記ブログエントリー等をご参照ください。

特集のきっかけとなったSexy Zone「RIGHT NEXT TO YOU」、そして嵐「Whenever You Call」については別途記載しています。

「Whenever You Call」をブルーノ・マーズと共に手掛けたDマイルは、ブルーノがアンダーソン・パークと組んだシルク・ソニックの一連の作品に参加。昨年はH.E.R.の2曲でグラミー賞の最優秀楽曲賞(「I Can't Breathe」)とアカデミー賞の歌曲賞(「IFight For You」)を受賞する快挙を達成。先週リリースのメアリー・J. ブライジのニューアルバムにも関わっており、今後のR&B界を担う重要人物なのです。

 

ジャニーズと海外プロデューサーとのコネクションとしてさらに驚かされたのが、R&Bを代表するプロデューサーのベイビーフェイスがKing & Prince「Namae Oshiete」を提供したこと。ボーイズIIメンホイットニー・ヒューストントニ・ブラクストンR&Bのみならずそれ以外のフィールドでも活躍し、エリック・クラプトン「Change The World」を担当…そう聴けば彼の凄さを実感する方は多いでしょう。

それも、恋の始まる予感をテーマにした作品は、以前ベイビーフェイスが手掛けたテヴィン・キャンベル「Can We Talk」(1993年 米ビルボードソングスチャート最高9位)を思わせます。R&Bを代表する美しく甘いラブソングのエッセンスは、「Namae Oshiete」に引き継がれているといっても過言ではないでしょう。

 

 

以下、これまでのブログエントリーで触れていなかった作品を紹介。

V6「雨」はラッパーのKOHHさんが本名の名義にて提供した作品で、昨年V6がリリースした最後のオリジナルアルバム、そして解散日のラストライブでも冒頭を飾っています。特に極限まで削いだサビの言葉にメンバーが乗せる様々な感情、そしてミュージックビデオにおいてその感情をまさに体現したと言える6人の演技に浸ってほしいと思います。

Hey! Say! JUMPについては以前、女王蜂が手掛けた「狼青年」をブログで紹介しましたが、同曲が収録されたアルバム『Fab! -Music speaks.-』以降のシングル(表題曲)もバラエティ豊か。その中で選んだのは、ボカロPとしても活躍するNEEのギター&ボーカル、くぅさんが曲提供した「群青ランナウェイ」。ボカロP特有の複雑な構成を乗りこなした、2021年屈指のポップスと言えます。

 

ジャニーズWEST「黎明」を手掛けたのは、久保田真悟さんと栗原暁さんによるユニット、Jazzin'park。なにわ男子「初心LOVE」やSnow Man「Secret Touch」(2021年)等ジャニーズ曲をはじめとする様々な作品を、単独または共同で手掛けています。加えて「黎明」には青森県黒石市出身の岡嶋かな多さんが参加。同じくジャニーズ関連や三浦大知「EXCITE」(2017年)などで知られ、岡嶋さん提供曲でいつか特集を…と考えています。

「黎明」の進行はヴァネッサ・カールトン「A Thousand Miles」(2002年 米ビルボードソングスチャート最高5位)を思わせるのですがサビに入ると一転、聴き手が一瞬リズムの迷子に陥るかの如き瞬間が。1番のサビのオケが2番以降と異なることで生まれる緊張感が「黎明」をよりドラマティックに演出しているのです。今年ジャニーズ初のシングルとなったこの曲は、今年の豊作を予感させてくれるに十分だと感じています。

 

 

R&Bジャンルを敷いた作品を中心に、ジャニーズお勧め曲をお届けしてきましたが如何だったでしょうか。

今回ラジオを共に担当した方は少年隊や、直近では近藤真彦さんを特集しているのですが、今のジャニーズ曲のバラエティに富んだ、そして高質な作品群に驚いていました。そして海外作品に引けを取らないと評した上で、幾度となく"デジタル解禁を…!"と訴えていたことが印象的でした。

自分が今回特集したのは、まさにそのデジタル解禁を願う思いを込めて、でもあります。基本的にレンタルしやすいというのがジャニーズ作品の特徴ではありますが、レンタル店舗は減少しておりその環境は悪化。フルで聴くことのできるミュージックビデオもジャニーズ曲では限られ、フィジカルの購入以外に触れる手段が少ないのが現状です。気になってもチェックできにくい環境をもどかしく思う方は少なくないでしょう。

その環境下にあって、SixTONESが元日にTHE FIRST TAKEに登場したことは、ジャニーズの2022年の体制がいい意味で変わるかもしれないと予感させるに十分でした。YouTubeではジャニーズが積極的にチャンネルを開設しており、SixTONESをはじめとする若手の歌手別チャンネルのみならずゲーム専用チャンネル、さらにグループを横断したジャにのちゃんねるが登場しています。

このジャにのちゃんねるは嵐の二宮和也さんが中心人物となり、登録者数は300万を突破する一大YouTubeチャンネルへと成長。嵐もデジタル解禁を行ったことで、活動休止中でも彼らの作品へ容易にリーチできる環境が醸成されました。たとえば「カイト」(2020年)は翌年に延期された東京オリンピックの開催時にビルボードジャパンソングスチャートで再浮上を果たしましたが、これはデジタル解禁の賜物と言えます。

2020年秋以降のジャニーズ曲はデジタルに積極的な姿勢をみせはじめており、その結果がビルボードジャパンソングスチャートでも表れていることは以前紹介しました。フィジカルセールスのヒットだけでは社会的ヒットとなりづらい現状において、なにわ男子「初心LOVE」はYouTubeTikTokを活用することでロングヒットに至り、フィジカルセールスにも反映されています。だからこそデジタル解禁を願うばかり、なのです。

 

そしてジャニーズ事務所が柔軟な姿勢をみせてくれれば、メディアが築くと考える枷もなくなっていくでしょうし、そう信じています。これら様々な願いを込めて、今回の特集を組んだ次第です。