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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】フィジカル初加算曲の上昇とロングヒットの鍵をビルボードジャパンの記事が明示している

毎週木曜以降は最新のビルボードジャパン各種チャートについてお伝えします。

最新9月14日公開分(9月19日付)ビルボードジャパンソングスチャートではAdo「新時代」が2週連続、通算4週目の首位を獲得しました。

今週はSexy Zone「Trust Me, Trust You.」のフィジカル関連指標初加算週となりましたが、Ado「新時代」の強さは桁違いであり、「Trust Me, Trust You.」の総合2位はやむなしの結果だったと言えるかもしれません。

今週はこの「Trust Me, Trust You.」をはじめ3曲がフィジカル関連指標初加算に伴い総合トップ10入りを果たしましたが、一方で指標構成の偏りがみられ、より加点できた可能性は十分あったと捉えています。次週のトップ10キープも難しいと考える、その理由を記載します。

 

 

・2位 (100位以内初登場) Sexy Zone「Trust Me, Trust You.」

(上記はショートバージョン。)

Sexy Zoneのフィジカルシングルは「夏のハイドレンジア」以来であり、前作は昨年8月11日公開分で総合首位を獲得。注目は上記CHART insightにおいて赤で示された動画再生指標であり、「夏のハイドレンジア」が18位に対し「Trust Me, Trust You.」は90位と大きく及んでいません。

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上記はフィジカル関連指標加算2週目における「夏のハイドレンジア」のCHART insight。フルバージョンのリリックビデオを公開したことで動画再生指標の下落幅を抑えて総合20位以内をキープしていますが、以前からこの指標が人気だったことが見て取れます。

他方「Trust Me, Trust You.」は一時300位以内から脱落し加点対象から外れたことも大きいと言えます。現段階で「Trust Me, Trust You.」には音楽に特化した追加動画が見られず、ともすれば次週の総合ソングスチャートにおける下落幅(順位、ポイント前週比双方において)が大きくなるかもしれません。

 

・3位 (100位以内再登場) Kep1er「Wing Wing」

日本デビュー作となるフィジカルシングル「FLY-UP」に収録された「Wing Wing」はフィジカル関連指標初加算週に3位に再登場。デジタル先行で5週前に81位を記録して以降は100位未満(300位圏内)をキープしていました。

気になるのはKep1erの接触指標群の強くなさ。動画再生指標はフィジカル関連指標初加算週に再浮上していますが77位にとどまっています。またCHART insightでは青で示されるストリーミングにおいては今週再度加点されていますが、言い換えれば前週は300位以内に入らなかったこととなります。

Kep1erは韓国でのファーストミニアルバム『First Impact』に収録された「WA DA DA」が日本でもヒット。フィジカル関連指標未加算ながら最高9位、25週連続でソングスチャート100位以内に登場していましたが、この原動力はストリーミングおよび動画再生にあることがはっきり解ります。この曲の日本語版も「FLY-UP」に収録され、THE FIRST TAKEでの日本語版の披露も最新週の100位以内再登場につながったと言えます。

(なおTHE FIRST TAKEバージョン等オリジナルバージョンと異なる音源はビルボードジャパンでは合算しないチャートポリシーを適用していますが、動画再生についてはその限りではありません。なお「WA DA DA」「Wing Wing」双方のTHE FIRST TAKEバージョンは今月28日にデジタルリリースされ、今後は動画再生指標もそのバージョンに紐づけされると考えられます。)

K-Pop曲は接触指標群が強いのが特徴ですが、K-Popアクトの日本オリジナル曲ではこの指標が強くないことが少なくありません。今回「Wing Wing」でその傾向があらためて可視化されたと言えるでしょう。

ビルボードジャパンソングスチャートにおいては、言語のみ異なるバージョンは合算されるチャートポリシーとなっています。そのチャート面で有利になるために、K-Popの日本向けシングル表題曲はグローバル向け曲の日本語訳バージョンに特化する方向に戦略を見直す必要があるのではと感じています。

 

・10位 (100位以内再登場) THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「THE POWER」

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「THE POWER」は7月6日公開分(7月11日付)ビルボードジャパンソングスチャートで75位に登場して以来となる100位以内エントリーにして、フィジカル関連指標初加算を武器にトップ10入りを果たしました。ポイントの4分の1を黄緑で示されるラジオ指標が占めていますが、これはこの曲が主題歌となった映画『HiGH&LOW THE WORST X』(9月9日公開)のプロモーション効果も大きいでしょう。

3位はTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE「THE POWER」が前週177位から大きく浮上した。映画『HiGH&LOW THE WORST X』主題歌となる9月7日リリースの同シングル曲。6月29日の配信リリースに先行し自身の番組「WEEKEND THE RAMPAGE」(bayfm)の同24日放送回に解禁され、配信リリース週には53位に初登場。その後、幾つか持つ自身の番組を中心に定期的に紹介しつつ、CDシングルリリースおよび映画公開が重なった今週、いっきに急伸したかっこうだ。

帯番組・定期枠でのオンエアが基盤ながら、AMでも広くオンエアを獲得している点はさすが。オンエア獲得ステーション数はTOP3中もっとも多く、全体の77.4%の局でオンエアされたことも特筆点だ。

ラジオ指標の基となるプランテックのOAチャートではTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE「THE POWER」は3位となっていますが、聴取可能人口等を加味したビルボードジャパンソングスチャートのラジオ指標では3位となっており、首都圏AM局等でのOAも功を奏したと言えます。LDHグループは今年度第3四半期にも2組がラジオ指標でトップ5入りを果たしており、ラジオへ注力する姿勢も感じられます。

フィジカルセールス、ラジオおよびTwitterの3指標でトップ10入りしたTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE「THE POWER」は、一方でデジタル関連が強くありません。ストリーミングは81位に入りましたが、これは同曲がLINE MUSIC再生キャンペーンを開催したことが大きいでしょう。下記ツイートやこちらから確認できます。

実は「THE POWER」におけるLINE MUSIC再生キャンペーンは二度目であり、前回は配信開始日となる6月29日より開催されています。

主題歌に起用された映画の宣伝の意味でも先行解禁したのかもしれませんが、キャンペーンが二度になったことで二度目の開催における勢いが高くなかったと言えるかもしれません。

またルックアップの高くなさも気になります。ルックアップとはCDをパソコン等にインポートした際にインターネットデータベースのGracenoteにアクセスする数を指し、売上枚数に対する実際の購入者数(ユニークユーザー数)やレンタル枚数の推測を可能とします。THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「THE POWER」はフィジカルセールス4位の一方でルックアップ86位と大差がついているのは気になるところです。

ダウンロードについては再度加点されていますが、100位未満(300位圏内)という状況。映画公開のタイミングでフィジカル購入には至らずもデジタルを(単曲で)所有するという行動は冒頭で紹介した『ONE PIECE FILM RED』主題歌のAdo「新時代」にみられますが、『HiGH&LOW THE WORST X』主題歌のTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE「THE POWER」ではその流れが大きくは出ていないと言えます。

 

 

いずれの作品も、次週の急落が予想されます。ロングヒットの要である接触指標群が強くないことがその理由であり、この部分を強くすることが急務でしょう。Sexy Zoneにおいてはドラマ主題歌というライト層に届きやすい利点を活かしデジタルを開放するという判断も必要と考えます。無論所属事務所の存在は大きいでしょうが、「夏のハイドレンジア」のフルバージョン動画の成功例を活かしてほしいというのが私見です。

 

実はビルボードジャパン総合ソングスチャートの記事に、改善と浮上のヒントが書かれています。Sexy Zone「Trust Me, Trust You.」では『動画再生指標でのポイント差が響き、総合2位に』、Kep1er「Wing Wing」では『シングル2位となったが、他指標が奮わず総合3位に』、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「THE POWER」では『デジタル系指標が奮わず総合10位となった』と記されているのです(冒頭のツイート内リンク先より)。

前週フィジカルセールス初加算に伴い100位以内に初めてランクインしたベアードアード「ヒストリア」(フィジカルセールス指標3位/総合ソングスチャート21位)、ASP「Hyper Cracker」(5位/53位)、BiSH「サヨナラサラバ」(6位/28位)、THE SUPER FRUIT「チグハグ」(7位/50位)そしてチャン・グンソク「Beautiful」(9位/47位) はいずれも今週総合100位以内から姿を消しました。前週フィジカルセールス4位のINI「Password」は総合12→36位、同2位のTOMORROW X TOGETHER「Good Boy Gone Bad」は3→20位、そして同1位の乃木坂46「好きというのはロックだぜ!」は2→7位にいずれもダウンしており、フィジカルセールスの強さは瞬発力に長けても持続力に有効ではないと言えるでしょう。デジタル、それも接触指標群の高値安定が社会的ヒットに至る鍵なのです。