毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。
10月26日~11月1日を集計期間とする11月9日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)は、LiSA「炎」が3連覇を達成。2位には「紅蓮華」がキープし、LiSAさんは2週連続となるワンツーフィニッシュを果たしました。
【ビルボード】LiSA「炎」「紅蓮華」が2週連続で総合1・2フィニッシュ https://t.co/WmhTJ0s5mS pic.twitter.com/Pe2SFvCobR
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年11月4日
最新のチャート構成比(CHART insight)はこちら。
「炎」は今週32819ポイントを獲得し、ポイント前週比は89.9%。上記記事では各指標の数値が出ており、シングルCDセールスは38558→28832枚(前週比74.8%)、ダウンロードは136233→104204DL(前週比76.5%)、サブスクの再生等に伴うストリーミングは18901974→18880651再生(前週比99.9%)、そして動画再生は8621198→8084681再生(前週比93.8%)となっています。ストリーミングのポイントは有料サービス会員の1再生と無料会員とのそれでウェイトが異なるため再生回数がそのまま反映されるわけではありませんが、それでもダウン幅は所有指標より接触指標のほうが抑えられていることがよく解ります。
そしてこの傾向はもうひとつの指標にも大きく反映。
上記は前週(11月2日付)のCHART insightですが、チャート構成比を示す円グラフにおいて今週はオレンジの比率がおよそ倍増していることが解ります。このオレンジの指標はルックアップであり、パソコン等にCDを取り込んだ際にインターネットデータベースへアクセスされる数を示しています。集計期間中にレンタルが解禁され、終盤2日間にその分の取込が反映されたことで同指標が大きく伸びた形です。次週はレンタルに伴うルックアップが1週間丸々加算されるため、この接触分も大きく反映されることとなります。
3週で10万ポイント超えを果たしたLiSA「炎」の凄さは、チャートを構成する各指標の順位にも大きく表れています。
細かな表ではありますが、こちらは「炎」が初の首位を獲得した際のブログエントリー((追記あり) LiSA「炎」が完勝、3万を超えるポイントは誇るべき内容…10月26日付ビルボードジャパンソングスチャートを掘り下げる(10月22日付)で用いた表をアレンジし、チャートを構成する8指標の順位を加えたもの。LiSA「炎」は今年初となる、チャート構成8指標すべてトップ10入りという快挙、いわば”完璧な勝利”を成し遂げているのです。
シングルCDセールスが10万を超える作品がこの3週間出ていないことが「炎」を優位にしているという声も聞こえてきそうですが、仮にそのような作品が出ていてもCDセールスに頼った戦略では他指標が振るわない限り早々の急落は免れず、また2週目のCDセールス自体も大きく落ち込みがちと言えます。「炎」はシングルCDセールスでも下降幅が大きくないのは表の通りであり、その点でも極めて優れた動きをしていると言えるでしょう。さらに次週は先述したレンタル解禁の影響で全指標完璧な加算が始まることから、Twitterおよびラジオエアプレイの動向次第では2週連続の全指標トップ10入りもあり得るかもしれません。
その次週は、Sexy Zone「NOT FOUND」がシングルCDセールス初加算に伴い上位に登場することが見込まれます。
移籍第一弾シングルとなった前作「RUN」が前々作を1万ポイント以上上回る29214ポイントを獲得して8月17日付で首位に立ちましたが、仮に同レベルのポイントを獲得すればLiSA「炎」との熾烈な首位争いとなることでしょう。無論CDセールス加算2週目以降の動向も大事ですが、仮に「NOT FOUND」が次週首位を獲得できなかったならばジャニーズ事務所はデジタルの重要性を痛感し、方向転換を迫られる大きな転換点に立つのではないかと考えます。