イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2020年10月の私的トップ10ソングス+α、選びました

1月からはじめている【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は10月号です。前の月にリリースされた曲を中心に、しかしその縛りは出来る限り緩くした上で選んでみました。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。過去の私的トップ10ソングス、および2020年上半期の邦楽ベストソングスについてはこちらに。

ちなみに個人的に毎回チェックしているプレイリストは現時点において主に、New Music WednesdayNew Music Friday JapanNew Music FridayおよびMonday Spinとなっています。

 

 

さて、先月については心情の面でいつもとは違う月となってしまいました。というのも自分の住む地域で新型コロナウイルス感染者が多く発生し、自分の身近でも感染者が出ました。自分は濃厚接触者ではありませんが、罹患していなくとも気持ちが滅入った次第。さらには、自分の心配を冷たい言葉で切り捨てる同業者や、自分を感染間違いないと切り捨てる血縁者等に気持ちが踏み躙られた状況に、さらに追い詰められてしまったのです。新型コロナウイルスの登場は人の本性、心の汚さを浮き彫りにし、罹患しているしていないに関係なく尚の事生き辛い社会にさせてしまうのだと痛感しています。

ゆえに、音楽への感度や感動がこれまでになく薄れていたのが先月という次第。今は精神面が少し回復し、心がいい意味で揺さぶられる機会が増えてきました。新型コロナウイルスの収束を願うと共に、血縁者や同業者がその態度を変えようとしないならば逃げ場を設けることが必要だと強く感じた次第。この逃げ場という概念、今回挙げた問題のみならず様々な面において必要だと強く思うのです。 

そんな状況下で選んだ、10月の私的ベストを取り上げます。

 

 

10位 ウィズキッド feat. H.E.R.「Smile」

ドレイクの大ヒット曲「One Dance」(2016)に、カイラ共々客演参加していたのがナイジェリアの歌手、ウィズキッド。リリースされたばかりのニューアルバム『Made In Lagos』は同郷のバーナ・ボーイをはじめダミアン・マーリーやエラ・メイ等を招いていますが、ミュージックビデオが制作されたこちらを。レゲエテイストのビートにH.E.R.らしさが見事に混ざりあった、曲名の如く笑顔が生まれる一曲。

 

9位 オマー・アポロ feat. ルエル「Want U Around」

三連とファルセットが溶けます…その一言に尽きます。

 

8位 O.T.ジェナシス feat. クリス・ブラウン & チャーリー・ウィルソン「Back To You」

ギャップ・バンド「Outstanding」という大ネタ使い、さらにはそのギャップ・バンドのチャーリー・ウィルソン御大を呼んで最後の最後に一節歌わせるのですからときめかないわけがありません。御大の楽しそうな感じが伝わってきて嬉しいですね。

 

7位 藤井隆「14時まえにアレー」

上記は同曲も収録した、藤井隆さんによるレーベルのコンピレーションアルバム『SLENDERIE ideal』のトレーラー。この動画も含め、アルバムのデジタル、フィジカル双方のアプローチの素晴らしさについてはフィジカルとデジタルを共に充実させることが、最良のチャートアクションにも満足度上昇にもつながる(11月1日付)をご参照ください。

藤井隆さんについては『light showers』(2017)以来アルバムがリリースされておらず、この楽曲でその次作への願望を満たしているところです。それにしても今回、パソコン音楽クラブを招聘するとは…その嗅覚もまた素晴らしいと思います。 

 

6位 ケリー・ローランド「Crazy」

自身が出演する映画『Bad Hair (原題)』で披露した、役名(サンドラ)名義の曲が90年代のトニ・ブラクストン的で興味深いのですが(→YouTube)、今回はディスコティークなこちらを。Aメロではデスティニーズ・チャイルドの盟友、ビヨンセを彷彿とさせるのもニヤリ。

 

5位 MISIA「さよならも言わないままで」

夏に長時間の音楽番組で披露済のこの曲は、新型コロナウイルスの蔓延により奪われた命がテーマ。この曲を聴いて、MISIAさんの歌声の変化にハッとさせられた自分がいます。独特のソウルフルな歌声に混じって(いや時にはソウルフルな歌声以上に)表れる枯れたような声が、歌詞の持つ悲しさや切実さをより強く響かせているのです。歌の”うまさ”には技巧や表現力等が挙げられますが、年齢を経て得た味わいを見事に自分のものにしている点もまたうまさではないでしょうか。

 

4位 Yo-Sea「Coconuts」

間違いなくその音は今のR&B/ヒップホップであり、歌声もまた然り。このような音や声が日本人歌手から登場することがめちゃめちゃ新鮮だと感じています。 

 

3位 May'n「Living My Life」

上記は3種リリースのミニアルバムのうち、ソウルミュージックを軸にした作品のトレーラー。サビには一切の歌謡曲的落とし込みが排され、80年代のシティポップ感を取り込みつつサビ直前のパーカッション的音の挿入が90年代感っぽくもある不思議な曲。ソングライターには有坂美香さんの名があり、このソウル感に納得です。

 

2位 GFRIEND「Crossroads -JP ver.-」

上記動画は韓国語版。GFRIENDは「Apple」の日本語版も素晴らしかったのですが、「Crossroads」における80年代アニソン感がたまらないのです。サビへの高揚感の演出、サビが二段階用意されている点、二番の出だしの展開、そしてアウトロ…これをソングライトしたのが韓国のチームというのが素晴らしく、日本の楽曲を如何に細かく研究しているかを実感します。

 

1位 アリアナ・グランデ「Positions」

最新11月7日付米ビルボードソングスチャートで自身5曲目となる初登場首位(史上最多)を成し遂げた、同名アルバムからの先行曲。僅か3分にも満たない曲ながら、展開が完璧。音の世界はたとえばホイットニー・ヒューストン feat. フェイス・エヴァンス & ケリー・プライス「Heartbreak Hotel」(1998)やメアリー・J・ブライジ「Be Without You」(2005)を思わせるR&Bですが、それらをタイトに濃縮されている感。弦楽やアリアナのファルセットの挿入等、すべてが見事だと思うのです。

 

 

以下、次点として10曲。

・ROTH BART BARON「極彩 | I G L (S)」

・GFRIEND「Apple -JP ver.-」

ジョイス・ライス feat. UMI「That's On You (Japanese Remix)」

メーガン・トレイナー feat. アース・ウインド & ファイアー「Holidays」

ラヒーム・デヴォーン「Mr. Midnight」

・ターシャ・コムズ・レナード feat. シアラ「In Spite Of Me」

・TOMORROW X TOGETHER「Blue Hour」

・ザ・ヴァンプス「Better」

・ウェザン feat. ザ・ウォンバッツ「Clouds」

・シャビエル・オマー feat. メレバ「Like I Feel」

なかなか感動する心に成れなかった10月ですが、メーガン・トレイナー feat. アース・ウインド & ファイアー「Holidays」はO.T.ジェナシス feat. クリス・ブラウン & チャーリー・ウィルソン「Back To You」同様、単純にアガりました。こういう純粋に楽しくあれ!と言ってくれているかのような曲の存在って貴重です。

 

Spotifyのプレイリストはこちらに。

今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。