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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

ハイレベルな争いの最新ビルボードジャパンソングスチャート、トップ10曲の順位変動に影響を与えたものとは

一昨日発表された最新2月8日付ビルボードジャパンソングスチャートは7位までが1万ポイントを超えるハイレベルな週となりました。

1位の乃木坂46「僕は僕を好きになる」はCD関連指標初加算に伴い急伸しましたが、その構成指標の内容を踏まえれば次週の動向が気がかりであると昨日指摘した次第です。

 

さて、今週のトップ10在籍曲のポイント推移をみると、面白い点がみえてきます。

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CDセールスが10万以上を獲得した曲はCD関連指標初加算週にポイントおよび順位が飛躍する一方、翌週その反動が訪れることになります。前週首位のSnow Man「Grandeur」はポイント前週比が26.4%となったのがその例と言えますが、しかしながら前作「KISSIN' MY LIPS」の14.5%、デビュー曲「D.D.」の20.4%を上回っており、1万ポイント台をキープ。アイドルソングにおけるCD関連指標加算2週目のポイント前週比20%超えは見事だと言えます。

 

一方で、「僕は僕を好きになる」「Grandeur」を除けば、ポイントの起伏が激しくない曲ばかり。LiSA「炎」および菅田将暉「虹」を除けば6曲がシングルCD未リリースとなっており、如何にCDに頼らない曲がヒットしているかが解ります。しかしながら、その中にあって「炎」のダウン傾向が目立つのです。

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上記は最新トップ10ランクイン曲の2021年度におけるポイント推移。50位未満はポイント未表示のため、当週もしくは前週にポイント未表示の場合は[(不明)]と記載。プラスを水色、マイナスをピンクで表示し、前週比5割以上増減した場合は色を濃くしています。

これをみると、LiSA「炎」が1週を除きダウン。唯一上昇した1月11日付は集計期間が年末年始であり、日本レコード大賞紅白歌合戦の影響を如実に表しています。逆に、年末年始の露出がなかったと言える優里「ドライフラワー」やEve「廻廻奇譚」は当該週にポイントがダウンしています。

とはいえ、「炎」についてはそれら音楽賞や紅白の影響が持続したとは言い難い状況と言えます。1月18日付では反動でポイント前週比が7割台となっていますが、その後も2週続けて8割台に。このポイント前週比8割台という数値はとりわけ「炎」で多くみられるものですが、ともすればCDセールスがポイント前週比に影響を及ぼしているのかもしれません。

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上記は「炎」におけるチャート構成指標の推移。ピンクの表示は各指標におけるトップ10入りを指します。

数値が明らかになっているシングルCDセールス、ダウンロードおよびストリーミング再生回数において、CDセールスの売上前週比がストリーミングに比べて高くありません。ダウンロードも似たような動向を示しており、結果的には所有指標がポイント前週比割れの原因になっている可能性が高いと考えてよいでしょう(これは同時に、ストリーミング等他指標で所有指標のダウンを補完できていないと捉えることもできます)。これまで14週続けて2位以上をキープしていた「炎」ですが、この2週で5→7位とダウンしたのは他の曲の強さもさることながら、ポイント下落幅が他の曲より大きいことも理由として挙げられます。それでもCDセールスが現在も2千枚を大きく上回っているのは見事なのですが。

 

 

リリース時から昨年末までの勢いを踏まえれば、2021年度ビルボードジャパンソングスチャートをLiSA「炎」が制するのではという見方が生まれるのは自然なことでした。しかしながら、「炎」が今後も前週比9割弱のペースで推移するならば、他の曲が勢いをキープするならば、そして今後台頭する曲が出てくるならば、「炎」の年間チャート制覇は難しいかもしれないと思うようになっています。

とはいえ、CDをリリースしたことでポイント前週比のマイナス幅が大きくなっているとして、ポイント前週比9割弱をキープするのは凄いことです。「炎」のCDセールスは現在までに26万枚を突破していますが、たとえばCDセールス初週10万を超える曲で「炎」並にポイント前週比をキープし続ける曲は果たしてどれだけあるでしょう。「炎」が最新週においてストリーミング再生回数が前週を上回ったことや動画再生指標が5位にランクインしていることを踏まえれば、接触指標がロングヒットの要になっていることは明白。CDセールスに長けた曲が伸ばすべきポイントはここなのです。