イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ソングスチャートは「Rockstar」3週目のトップ、そしてテイラーの勢いが...

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の10月30日月曜に発表された、11月11日付最新チャート。ポスト・マローン feat. 21サヴェージ「Rockstar」が3週目の首位を獲得、2曲が新たにトップ10入りを果たしました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

トップ5は先週と変わらず、なのですが1位と2位の差は大きく。

1位 「Rockstar」

・デジタルダウンロード 52000(同指標4位 前週比4%ダウン)

・ストリーミング 5300万(同指標1位 前週比2%ダウン)

・ラジオエアプレイ 5600万(同指標19位 前週比16%アップ)

2位 カーディ・B「Bodak Yellow (Money Moves)」

・デジタルダウンロード 33000(同指標8位 前週比11%ダウン)

・ストリーミング 3860万(同指標2位 前週比8%ダウン)

・ラジオエアプレイ 7100万(同指標11位 前週比3%ダウン)

「Rockstar」に対し「Bodak Yellow...」はラジオエアプレイで唯一勝っていたもののその差が一気に縮まっています。「Rockstar」が断トツに近い状況で首位をキープしてはいますが、デジタル2指標が落ちているため今後の首位固めはラジオエアプレイにかかっているといえそうです。

 

今週新たにトップ10入りしたのは2曲。

・ カミラ・カベロ feat. ヤング・サグ「Havana」(20→7位)

6分42秒という長尺のビデオ(早々に不倫発覚という展開がベタではありますが)が今月24日に公開されたことでストリーミングが前週比38%も上昇、同指標で8位にランクイン。これに牽引されてかデジタルダウンロードは前週比20%、ラジオエアプレイも同28%の大幅アップを果たし、元フィフス・ハーモニーのカミラにとって、ソロではマシン・ガン・ケリーとの「Bad Things」で4位を記録して以来2曲目(主演曲では初)のトップ10入りとなりました。またヤング・サグにとっては2014年に初めてランクインして以来初のトップ10入りに。ちなみに曲名である”Havana”はキューバの首都ですが、今年都市名が付いた曲でトップ10入りしたものは、ザ・チェインスモーカーズ「Paris (パリ)」(6位)、ドレイク「Portland (ポートランド)」(9位)、マイリー・サイラス「Malibu (マリブ)」(10位)に続き「Havana」が4曲目。都市名ブームでもあるのでしょうか?

 

エド・シーラン「Perfect」(18→10位)

デジタルダウンロードが前週比7%、ラジオエアプレイが同16%、ストリーミングが同14%、こちらも全指標で上昇。エドにとってはアルバム『÷ (Divide)』から「Shape Of You」(1位)、「Castle On The Hill」(6位)に続く3曲目のトップ10入りを果たしています。さらにこの曲をエドと共作した彼の兄、マシューにとってはこの曲で初のトップ10入りを果たしたことに。

 

ストリーミングは「Rockstar」、ラジオエアプレイではポルトガル・ザ・マン「Feel It Still」(総合4位)がそれぞれ首位を獲得していますが、デジタルダウンロードで1位に立ったのはこの曲。

テイラー・スウィフト「Gorgeous」は68000を売り上げ同指標トップに。これがテイラーにとって14曲目のトップ獲得、初登場での首位獲得となると13曲目となり、共にリアーナに並びました。

しかし「Gorgeous」の総合での順位は13位。ストリーミング等の低さもさることながら、デジタルダウンロードの初週売上においても、「Look What You Made Me Do」の353000、「...Ready For It?」の135000(いずれもアルバム『Reputation』(11月発売)収録)には遠く及びません(アルバム待ちによる買い控えの可能性もありますが)。次週のチャートでは「...Ready For It?」が、ミュージックビデオ公開に伴うストリーミングの上昇により再浮上すると予想されるものの、さすがのテイラーにも勢いに陰りが?といったところ。とはいえアルバムから3曲以上デジタルダウンロードで1位を輩出したのはドレイク『Views』(2015)以来ですし、今回の「Gorgeous」が39曲目のトップ20入りという記録達成は、さすがテイラーといったところです。

(追記あり)『金曜ロードSHOW!』のラインアップにみる日本テレビの”あざとさ”

※追記 (2020年8月14日11時45分):一部リンク先を修正しました。

 

 

安住アナウンサーの”勝ったんだよ”の告白、その熱弁を生放送で聴いて爆笑、そして拍手喝采。残念ながらradiko(プレミアム)のタイムフリーで聴くことは出来ませんが(この番組におけるこの対応は至極残念に思います)、上記リンク先にあるみやーんさんの書き起こしは是非読んでいただきたいなと。

 

さて、この”安住ぽろぽろ”の放送日が判明。

書き込みの内容を踏まえれば、2004年7月2日の『金スマ』が”安住ぽろぽろ”回。そして。

宮崎駿&ジブリ劇場作品TV放映リスト 最新データ補間ページ

同日、『おもひでぽろぽろ』が放送されており14.2%を獲得、と記載(Wikipediaも同様)。安住アナウンサーが記憶している視聴率に若干の差異はあれど、2004年7月2日で間違いないですね。

 

さて、この放送を聴いた後の自分のリアクションは下記に。

安住アナウンサーが明かした『ジブリの裏になりますよね。その週じゃない週に私は出たいんです』(書き起こしより)という”タレントのジブリ回避行動”には驚きました。ぶつけられた局側の本当に大変だなと痛感します。が、この放送を聞いてあらためて、日本テレビのあざとさを強烈に実感した次第、なのです。自分の考え、はコラムニストの木村隆志氏によるこの寄稿(の前半部分)に近いかと。ジブリ作品の放送回数の多さも掲載されています。

事実、日本テレビはほとんどの季節で、TBSの「金曜ドラマ」第1話放送日に合わせてジブリ映画を放送してきました。「1話を見てもらえないと、その後の継続視聴が厳しく、約2カ月半もの間、低迷し続ける」他局の連ドラにとっては、嫌がらせのような戦略です。 

・ テレビの映画再放送にイラッとする人の目線 | テレビ | 東洋経済オンライン(7月28日付)より

初回のみならず、金曜ドラマ枠が好調ならば日本テレビは”ジブリ”を最終回にもぶつける印象があります(ジブリ作品の放送スケジュールは宮崎駿&ジブリ劇場作品TV放映リスト 最新データ補間ページをご参照ください)。無論他局でも同様のスタンスを取ることはありますがそれでも、”ジブリ”という強力なコンテンツを持つ日本テレビの、金曜ドラマへのぶつけ方にはいやらしさも感じてしまいます。ジブリ作品自体を責めるつもりはありませんが、その姿勢が透けてみえると”ジブリ”ブランドへも距離を置く方が出てくるのでは?と思うのです。

 

コラムにおいて木村氏は、テレビ局の映画放送枠で新作(地上波初登場という意味で)が流れないのは視聴率が取れないからと記載しています。元来テレビ局が映画放送枠を用意したのは、映画をより多くの人に観てもらうという文化的意義があったはずですが、レンタルの普及、衛星放送や動画配信サービスの台頭等により、映画がいつでも観られるようになったことで、新作を放送する必要性が低くなったことも一因ではないかと考えます(映画放送枠自体の減少もこれが理由かと)。だからといって、映画の普及という文化的意義はなくなったわけではないため、視聴率にこだわりすぎて意義を忘れてはならないと思うのですが、日本テレビのやり方にはどうも他局潰し自局伸ばしの”視聴率第一主義”が見て取れるのです。いや、”視聴率第一主義じゃない、子どもへの普及という文化的意義があるのだ”というのであれば、『実際、ジブリ映画は重要なターゲットであるはずの子どもたちが見られない21時以降に放送』されてれる現状を見直し、『「視聴者のために再放送している」と言うのなら、21時以降ばかりではなく、ファミリー層が見やすい平日の19時スタート、土日の昼前後にも放送するほうが自然』です(『』内は木村隆志氏のコラムより)。

事実、現在の『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系 金曜21時)は、ジブリ作品ではないものの”ハリー・ポッターの秋”と題して10月20日から4週連続でシリーズを放送しており、裏の『コウノドリ』(TBS系 金曜22時)の2回目以降にぶつけています。『コウノドリ』の第1話には『デイ・アフター・トゥモロー』を用意しており必ずしもジブリ等ではありませんでしたが、今年の『金曜ロードSHOW!』枠では1月に3週連続ジブリ作品が用意されていることからTBS側は油断出来ない状況と言えるでしょう。

 

無論、これは大前提としてですが、TBS側が日本テレビの思惑に負けないくらいのコンテンツを用意することが求められます。ミステリーが多かったのは一話でも見逃すとドロップしやすいのを逆手に取り、物語の求心力で視聴者を引きつけ視聴率が乱高下しない効果があるため(湊かなえさん作品が多いのもその理由かと)。コウノドリも前シリーズが11.5%と悪くなかったのもドラマの質の高さゆえと思われます。全局のドラマ枠の中でも最大の逆風に晒されていることで、TBS側は戦々恐々としながらも逆に気持ちを引き締めることが出来ているかもしれません。次作が『逃げるは恥だが役に立つ』の脚色で注目を集めた野木亜紀子氏によるオリジナル脚本『アンナチュラル』(主演は石原さとみさん)に決まっていて、こちらも既に注目が集まっています。

一方で、昨日の安住アナウンサーの発言(これは局の見方と言っても過言ではないでしょう)で、日本テレビのやり方は戦略としては”正しいかもしれないがしかしあざとい”と思う自分の見方が正しかったことが証明されたように思います。テレビ番組の満足度では、視聴率でトップを走り続ける日本テレビの番組が必ずしも高くない(数字に対し満足度が比例しない)ことも証明されてきていると聞きますし、今回紹介した戦略で日本テレビを(最終的に)見限る人が増えれば、近い将来視聴者の”日本テレビ離れ”が起きることも想像出来ます。そうなる前に、もっとフェアな態度を日本テレビには採っていただきたいというのが自分の思いです。

岡村靖幸トップ10入りの今だからこそ出してほしい、”渡辺美里×岡村靖幸”作品集

まさに”ステップアップ”。

DAOKOさんが岡村靖幸さんと組み先週リリースした「ステップアップLOVE」は、10月30日付ビルボードジャパンソングスチャートで10位、CDセールスのみを対象とした同日付オリコンシングルランキングでは8位と好調。DAOKOさんにとっては米津玄師さんと組んだ「打上花火」に次ぐトップ10入りを果たしました。

そして岡村靖幸さんにとっても久々の(いや、もしかしたら初の?)トップ10入りに。オリコンCDシングルランキングで曲単位のデータが残っているもので見ると、2007年以降の作品において「ビバナミダ」(2007)が15位、Base Ball Bear小出祐介さんとの「愛はおしゃれじゃない」(2014)が12位、単独名義に戻り「彼氏になって優しくなって」(2014)が15位、木津茂里さんとの「東京音頭 - TOKYO RHYTHM」(2015)が74位、またも単独名義に戻り「ラブメッセージ」(2015)が23位となっており、今作がセールス面で最高位となりました。更には複合指標によるビルボードジャパンでもトップ10入りを果たしており、多角的に支持を集めていることが解ります。そんな中、今日解禁の情報では通常盤Bに収録された岡村靖幸さんの(単独名義による)新曲のミュージックビデオが紹介されており、「ステップアップLOVE」通常盤Bでは静と動の岡村靖幸さんを堪能出来るのも嬉しいところ。チャートでの成功も踏まえればまさに、”岡村ちゃんカムバック!”と言えるかもしれません。

 

個人的には岡村靖幸さんといえばファンクゆえ、「ステップLOVE」で見せたその片鱗には拍手喝采です(し、米津玄師さんに続くコラボレーション相手を岡村さんに決めたDAOKOさんの人選は見事)。で、岡村さんと女性歌手って相性よかったよなあと考えるうちに、渡辺美里さんを思い出した次第です。

低音が印象的なAメロから大サビでの高音に至るレンジの広さ。この岡村さん独特のファンクネスを堂々とこなす美里さんの格好良さたるや。この曲は彼女の代表作(であり、最近テレビ出演した際ほぼこの曲しかやらない気がする)「My Revolution」同様、オリコンシングルランキングで首位を獲得しています。

美里さんは所属レーベルの関係か、同じソニー系に所属していた小室哲哉さんや木根尚登さん、大江千里さん等と共作しており、岡村さんもそのひとり。歌ネットによれば”渡辺美里×岡村靖幸”タッグによる曲は21曲(バージョン違いを除く)となっており、ならば以前工藤静香さんが中島みゆき×後藤次利両氏作品集松井五郎氏作品集をリリースしたように、美里さんによる【岡村靖幸作品集】を出していいのでは?と思うのです、いや切望します。

尤も、最近の美里さんはデビューアルバム『eyes』(1985)および『Lovin' you』(1986)のそれぞれ”30th Anniversary Edition”をリリースしており、前者では4曲、後者では8曲、つまち初期2作品で岡村さん提供曲の半分以上が再発されています。今後も30周年記念盤はリリースされると思いますが、しかし彼女の3枚組ベストアルバム『M・Renaissance〜エム・ルネサンス〜』(2005)には岡村さん提供曲は3曲にとどまり、しかも先述した「虹をみたかい」は選外...ならばどこかのタイミングでコンパイルしてほしいですし出すなら徐々に”岡村ちゃん”機運が高まっているであろう今がその時かもしれません。世間における美里さんのイメージが「My Revolution」に固まりつつあることが悪いとは言わないまでも、岡村さんとの相性の好さを知らないのは機会損失だと思う身には、やはりコラボ作は出してほしいと思うのです。

個人的にこのコラボ作で好きなのは以前ブログに書いた「シャララ」のほか、「BIG WAVEやってきた」(デーモン閣下のコーラスが絶品!)や「泣いちゃいそうだよ」、「はだかの気持」と、どちらかといえばファンクより美メロ側が多いのですが静も動も多岐にわたっていて、やはりコンパイルされていたら嬉しいなと(無論オリジナルアルバムをチェックすることも必須ですが)。そして仮にリリースされることがあれば今また注目されてきている岡村さんと美里さんとで新曲を作ってくれたなら...と淡い期待を抱く自分がいます。

 

なお、ボーナストラックには「恋したっていいじゃない」(作曲は伊秩弘将さん)をお願いしたいところ。作曲には関わっていないものの最後のサビ前のコーラスに岡村さんが登場しており、それが主役を食うくらいの存在感を放っているのです。

後味の悪いラジオCMに宿る、”逆謙譲”表現を改めよ

うーん…という後味の悪さ。伝え方に問題あるのではないか?と思い、実例を挙げて指摘させていただきます。

 

先週土曜に耳にした、とあるラジオ番組の冠スポンサーのCMに違和感を覚えました。

ラジオCM | CM・メディア情報 | コスモエネルギーホールディングス

上記リンク先における『エコカード 500円で、できること』がそれ。500円があれば地球環境保全に役立ちますよ(その活動をサポートしている)と謳っているのですが(詳細はコスモ・ザ・カード・ハウス「エコ」|コスモビークルライフをご参照ください)。

この取り組みを批判するつもりはなく、素晴らしいことだと思うのです。が、このCMにおいて、500円あれば何に使うかを何人かに質問しており、その返答の順番に驚いたのです。

(質問者) あなたは500円で、何をしますか?

(学生と思しき女性) バーガーセット、食べます。

(質問者) あなたは500円で、何をしますか?

(若い男性) うーん、回転寿司、5皿いっちゃいます。

(質問者) あなたは500円で、何をしますか?

(若い女性) 500円貯金します。

(質問者) あなたは500円で、何をしますか?

(サラリーマンと思しき男性) 子どもに本を買って帰ります。

(質問者) あなたは500円で、何をしますか?

(若い女性) 富士山の森を、守ります。

 

(ナレーション) そう、コスモエコカード会員になって、年500円を寄付していただくと、私たちコスモ石油の環境活動に、参加することが出来ます。

ラジオCM | CM・メディア情報 | コスモエネルギーホールディングスより前半部分を抜粋

CMはそのまま環境活動の内容を伝える等した後、最後に『あなたは500円で、何をしますか?』と締めくくるのですが、”富士山の森を守る”とハキハキ言った女性に至るまでの4名の回答があたかも好くないこと、いや好いことだとしても順番を踏まえれば地球環境保全活動に劣るかのように聴こえてしまうのです。仮に最初の3名が自分のためのことゆえ自己勝手と捉えたとして、その後の子どもに本を買うという行為は他者のためという善行のはず。それすら否定された気がしてならないのは、自分がひねくれているからでしょうか。地球環境保全活動は素晴らしい行為です。が、それを訴求するのになぜ他の選択肢を引き合いに出して優劣をつけるのでしょう。私はこの行為を【逆謙譲】と呼んでいますが、快いものではないと感じています。

この【逆謙譲】について、以前その方法を用いたラジオCMがあることを2年半近く前に書いたのですが(イメージダウンを招きかねないラジオCM3種(2015年7月15日付)参照)、そのCM(日本通運『単身パック』がそれ。学生がアパートから商品を用いて引っ越す際、大家にしっかりしていると褒められ照れると、”アンタじゃないよ単身パック(だよ)”と言うもの)は今でもエフエム青森ヒルモット』(月-金曜 11時30分)で流れます。以前は匿名で記載したのですが、やはりああいう”若いものはなっとらん”的ステレオタイプな視点は聴いていて快くないのです。もしかしたら自分だけが感じているものかもしれません(大袈裟に捉えすぎと言われるかもしれません)…が、聴いて悪い意味で引っかかるものは早急な手直しが必要だと思い、今回記載させていただいた次第です。

 

今回挙げた2つのCMにおいて共通する”ステレオタイプによる決めつけ”的な見方は、なにもラジオCMに限らず、言ってしまえばどんな人間にも備わっているものです。ならば、自分が決めつけ”られる”側に立ったときの気味悪さを理解すれば、自ずと不快感を抱かせるCMはなくなるものと考えますし、そう願いたいものです。

立憲民主党川内博史氏の当選は全ての音楽好きな方に知ってもらいたい

遅ればせながら、衆議院選挙の結果にはいろいろ思うことや言いたいことがあります。が、TBSラジオの選挙特番、その当確情報において出演者内で最も驚きと感銘の声が上がったと思しきこの方の当選は、全ての音楽好きな方が知っておくべきだと思うのです。

民主党立憲民主党所属、鹿児島1区で当選を果たした川内氏。彼のことを”全ての音楽好きな方”に知ってほしいと書いたのは、2004年の著作権法改正法案が全ての輸入盤CDの輸入禁止の可能性を孕んでいることについて、その情報を音楽関係者から聞き、世間に伝播し、国に立ち向かったから。彼と(同じく旧民主党所属の)佐藤謙一郎氏が奔走してくださったことで、最終的には法案は可決されてしまったものの今も輸入盤CDは手に入れることが出来るのです。詳細は下記に詳しく記載されています。

音楽レコードの還流防止措置 - Wikipedia

自分はこの時期ゴスペルクワイアに所属していたため、国内盤がリリースされないゴスペルの輸入盤CDが入ってこないのは死活問題でしたし、なにより本来還流CD禁止を謳うはずの改正法案が全ての輸入盤CD禁止の可能性を秘めていたこと、さらに国会議員への説明時に還流ではなく”海賊盤禁止目的”と虚偽の説明を行っていたこと等が強く引っ掛かり、以前のブログで問題点や動き等を記載し続けました。この2年前に導入されたコピーコントロールCD同様、レコード会社等の規制賛成派の意識下にあるであろう”消費者は犯罪者予備軍”という考え方が許せず、少しでも多くの方に知ってもらおうと動いたものです。そのブログは(実際は様々な事情により)更新を終了してしまいましたが今も残しています

川内氏の行動は、音楽を発信する権利者側ではなく、享受する消費者側の視点に立ち、守ろうとした…その行動こそ政治の基本ではないかと思う故、”全ての音楽好きな方”が敬意を表するべきじゃないかと思うのです。輸入盤CDが入らなかったら...当時はデジタルダウンロードも充実しておらずましてやストリーミングはもっと不十分だったため、海外からの音楽は急激に途絶え、音楽フェス文化が根付かなかったのではとも考えます。

 

2004年の著作権法改正法案にいち早く反対の声を上げ、川内氏を動かし、川内氏と共に奔走したのが音楽評論家の高橋健太郎氏。

高橋氏の思い等はまとめられていますので下記を是非。

そして。

 

著作権法改正法案への行動ひとつをとってみても、川内氏の行動理念は氏が所属する立憲民主党の、枝野代表が訴えるそれに合致するように思います。自分は13年前のこの問題によって、(それまでも投票はしていましたが)政治への興味と投票への意義を強く持つようになりました。その点でも川内氏には感謝しています。国政へのカムバックにより、文化が一部の利権確保を目的とする権力者によって破壊されかねない事態が生じた際に活躍してくださることを強く希望します。

”めちゃイケ”効果が如実に表れた三浦大知のチャートアクションとデジタルへ懐疑的な方々への願い

三浦大知さんが今年の春にリリースしたアルバム『HIT』が”めちゃイケ”効果でビルボードジャパンアルバムチャートに再浮上したことは先週お伝えしました。

そして”めちゃイケ”放送後の月曜からの一週間を集計期間とする、最新10月30日付ビルボードジャパンアルバムチャートで、ついに。

トップ10への返り咲きは実に30週ぶりというのですから驚きです。が、今回が初登場週に次ぐ2週目のトップ10入りというのは、内容の充実度合いからすれば寂しいところ。もっと評価されていい作品だと思います。

そしてめちゃイケ効果はビルボードジャパンのソングスチャートにも。

「(RE)PLAY」が前週90位から17位にジャンプアップしたほか、「EXCITE」が同68位から26位に、そして「Cry & Fight」は31位に再登場を果たしています。面白いのは、ソングスチャートの構成指標のひとつである国内動画再生回数においては、「(RE)PLAY」が7位、「Cry & Fight」が8位、そして「EXCITE」が17位となっており、ダンスが魅力的な動画がこぞって上位進出したことで”めちゃイケ”効果が如実に表れた形と言えるでしょう。ダウンロードやストリーミングのみならず(ストリーミングの一種ではありますが)動画再生回数でも上位に来ていることで、これらデジタル面での強さが見事にチャートに反映されています。

 

CDセールスと分けてカウントしているオリコンのデジタルアルバムランキングでも『HIT』はトップ3入りを果たしています。

ビルボードジャパンとオリコンの差、ならびにどちらを重視すべきかという私見先週のブログを拝見していただきたいと思います。

さて、今週オリコンCDセールスランキングでもビルボードジャパンアルバムチャートでもトップに立った嵐『「untitled」』について思うところが。上記ビルボードジャパンの記事には『ダウンロード・ポイントのブランクを補って余りある総合ポイントを稼ぎ、“Hot Albums”の首位に立った』と表記されており、また画像使用禁止ゆえか同チャート紹介ツイートにはジャケット写真が掲載されていません。嵐が所属するジャニーズ事務所の方針がネットに懐疑的なのはよく知られたところではありますし、事務所方針を撤回しろとは言いません。しかしながら、たとえば三浦大知さんについてはこのような記事が”海外発信”されているのです。

この記事は、ビルボードジャパン掲載記事の米ビルボードへの”輸出”であり、三浦大知さんやMIYAVIさん等の簡潔なバイオグラフィーも添えられています。ネット時代において世界の音楽にアクセスしやすくなり、海外から日本の音楽に興味を抱く方も増え、”音楽の国境”が取り払われつつある現在において、他方で嵐の今作に限らず所属事務所側の配信禁止措置により海外発信出来ない、そして写真禁止で情報の流布が出来ないというのはものすごい機会損失ではないかと思ってしまいます。仮に事務所側がドメスティックな商圏にこだわるのだとしても、音楽の聴かれ方が変わりつつある現状に対処しようとしない姿勢にも捉えられかねません。退社したSMAPの3人が立ち上げた新しい地図がネット発信を開始しフレキシブルな動きをみせることで、事務所の”旧時代的な方針はよりはっきりしてしまったように思います。先週触れたオリコンに対する違和感(そしてそれを重視するメディア)と同様の感情を、今週のアルバムチャートから抱いた次第です。今からでも遅くありません、優秀な人材や才能が豊富に揃っているだけに、一度でもいいからデジタル解禁を検討材料にしていただきたいと強く思います。そうしてデジタルを頑なに拒否している間に、三浦大知さんをはじめブログで以前取り上げたSKY-HIさんやw-inds.などはどんどん躍進しているのです。

今になって米チャートを上昇しはじめたイジー・ビズ「Diamond」

ビルボード最新チャートからひとつかみ。

最新11月4日付のアダルトR&Bソングスチャートで25位に初登場を果たしたのがイギリスの歌手、イジー・ビズによる「Diamond」。

アルバム『A Moment Of Madness』(2016)の冒頭を飾る、しかしながらこの曲自体のリリースはその前年というわけで、実に2年を経ての米上陸という形に。米以外では、このアルバムから既に「White Tiger」がヒット済で、たとえば『J-WAVE TOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)では昨年の年間チャートで75位にランクインしています。

ジーのプロフィールはこちらに詳しく。声がもつレトロポップな雰囲気からエイミー・ワインハウスと比較されることもあるようですが、アレンジ等を踏まえればよりポップな印象がありますね。それゆえでしょうか、今夏のコールドプレイのアメリカでのツアーに抜擢されたそうで、これが今回のチャートインの原動力となったのでしょう。コールドプレイのクリス・マーティンは「White Tiger」がお気に入り(ゆえの抜擢)とのことですが、ヴィオラ・ビーチの件といい、クリスのフックアップは各所に影響を与えているのだなあと、そのインフルエンサー度合いの高さに驚かされます。

 

ちなみに米R&Bニュースサイトのひとつ、ソウルトラックスでは今回の「Diamond」のチャートアクションに際し、実は昨年からヒットを予想していたと報じています。

実際に同サイトでは昨年、アルバム紹介時に「Diamond」についても言及済。これで”ヒットを予想”というのは図々しいのではと思う部分も否めませんが、良質なソウルミュージックへの感度の鋭さを感じずにはいられません。

 

『A Moment Of Madness』は日本ではレンタルも解禁されていますので手に取りやすい環境です(なお下記にApple Musicのリンクを掲載します)。この作品を聴きつつ、アメリカでの今後のチャートアクションに注目しましょう。

A Moment of Madness

A Moment of Madness

  • Izzy Bizu
  • R&B/ソウル
  • ¥2100