イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

後味の悪いラジオCMに宿る、”逆謙譲”表現を改めよ

うーん…という後味の悪さ。伝え方に問題あるのではないか?と思い、実例を挙げて指摘させていただきます。

 

先週土曜に耳にした、とあるラジオ番組の冠スポンサーのCMに違和感を覚えました。

ラジオCM | CM・メディア情報 | コスモエネルギーホールディングス

上記リンク先における『エコカード 500円で、できること』がそれ。500円があれば地球環境保全に役立ちますよ(その活動をサポートしている)と謳っているのですが(詳細はコスモ・ザ・カード・ハウス「エコ」|コスモビークルライフをご参照ください)。

この取り組みを批判するつもりはなく、素晴らしいことだと思うのです。が、このCMにおいて、500円あれば何に使うかを何人かに質問しており、その返答の順番に驚いたのです。

(質問者) あなたは500円で、何をしますか?

(学生と思しき女性) バーガーセット、食べます。

(質問者) あなたは500円で、何をしますか?

(若い男性) うーん、回転寿司、5皿いっちゃいます。

(質問者) あなたは500円で、何をしますか?

(若い女性) 500円貯金します。

(質問者) あなたは500円で、何をしますか?

(サラリーマンと思しき男性) 子どもに本を買って帰ります。

(質問者) あなたは500円で、何をしますか?

(若い女性) 富士山の森を、守ります。

 

(ナレーション) そう、コスモエコカード会員になって、年500円を寄付していただくと、私たちコスモ石油の環境活動に、参加することが出来ます。

ラジオCM | CM・メディア情報 | コスモエネルギーホールディングスより前半部分を抜粋

CMはそのまま環境活動の内容を伝える等した後、最後に『あなたは500円で、何をしますか?』と締めくくるのですが、”富士山の森を守る”とハキハキ言った女性に至るまでの4名の回答があたかも好くないこと、いや好いことだとしても順番を踏まえれば地球環境保全活動に劣るかのように聴こえてしまうのです。仮に最初の3名が自分のためのことゆえ自己勝手と捉えたとして、その後の子どもに本を買うという行為は他者のためという善行のはず。それすら否定された気がしてならないのは、自分がひねくれているからでしょうか。地球環境保全活動は素晴らしい行為です。が、それを訴求するのになぜ他の選択肢を引き合いに出して優劣をつけるのでしょう。私はこの行為を【逆謙譲】と呼んでいますが、快いものではないと感じています。

この【逆謙譲】について、以前その方法を用いたラジオCMがあることを2年半近く前に書いたのですが(イメージダウンを招きかねないラジオCM3種(2015年7月15日付)参照)、そのCM(日本通運『単身パック』がそれ。学生がアパートから商品を用いて引っ越す際、大家にしっかりしていると褒められ照れると、”アンタじゃないよ単身パック(だよ)”と言うもの)は今でもエフエム青森ヒルモット』(月-金曜 11時30分)で流れます。以前は匿名で記載したのですが、やはりああいう”若いものはなっとらん”的ステレオタイプな視点は聴いていて快くないのです。もしかしたら自分だけが感じているものかもしれません(大袈裟に捉えすぎと言われるかもしれません)…が、聴いて悪い意味で引っかかるものは早急な手直しが必要だと思い、今回記載させていただいた次第です。

 

今回挙げた2つのCMにおいて共通する”ステレオタイプによる決めつけ”的な見方は、なにもラジオCMに限らず、言ってしまえばどんな人間にも備わっているものです。ならば、自分が決めつけ”られる”側に立ったときの気味悪さを理解すれば、自ずと不快感を抱かせるCMはなくなるものと考えますし、そう願いたいものです。