イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり)『金曜ロードSHOW!』のラインアップにみる日本テレビの”あざとさ”

※追記 (2020年8月14日11時45分):一部リンク先を修正しました。

 

 

安住アナウンサーの”勝ったんだよ”の告白、その熱弁を生放送で聴いて爆笑、そして拍手喝采。残念ながらradiko(プレミアム)のタイムフリーで聴くことは出来ませんが(この番組におけるこの対応は至極残念に思います)、上記リンク先にあるみやーんさんの書き起こしは是非読んでいただきたいなと。

 

さて、この”安住ぽろぽろ”の放送日が判明。

書き込みの内容を踏まえれば、2004年7月2日の『金スマ』が”安住ぽろぽろ”回。そして。

宮崎駿&ジブリ劇場作品TV放映リスト 最新データ補間ページ

同日、『おもひでぽろぽろ』が放送されており14.2%を獲得、と記載(Wikipediaも同様)。安住アナウンサーが記憶している視聴率に若干の差異はあれど、2004年7月2日で間違いないですね。

 

さて、この放送を聴いた後の自分のリアクションは下記に。

安住アナウンサーが明かした『ジブリの裏になりますよね。その週じゃない週に私は出たいんです』(書き起こしより)という”タレントのジブリ回避行動”には驚きました。ぶつけられた局側の本当に大変だなと痛感します。が、この放送を聞いてあらためて、日本テレビのあざとさを強烈に実感した次第、なのです。自分の考え、はコラムニストの木村隆志氏によるこの寄稿(の前半部分)に近いかと。ジブリ作品の放送回数の多さも掲載されています。

事実、日本テレビはほとんどの季節で、TBSの「金曜ドラマ」第1話放送日に合わせてジブリ映画を放送してきました。「1話を見てもらえないと、その後の継続視聴が厳しく、約2カ月半もの間、低迷し続ける」他局の連ドラにとっては、嫌がらせのような戦略です。 

・ テレビの映画再放送にイラッとする人の目線 | テレビ | 東洋経済オンライン(7月28日付)より

初回のみならず、金曜ドラマ枠が好調ならば日本テレビは”ジブリ”を最終回にもぶつける印象があります(ジブリ作品の放送スケジュールは宮崎駿&ジブリ劇場作品TV放映リスト 最新データ補間ページをご参照ください)。無論他局でも同様のスタンスを取ることはありますがそれでも、”ジブリ”という強力なコンテンツを持つ日本テレビの、金曜ドラマへのぶつけ方にはいやらしさも感じてしまいます。ジブリ作品自体を責めるつもりはありませんが、その姿勢が透けてみえると”ジブリ”ブランドへも距離を置く方が出てくるのでは?と思うのです。

 

コラムにおいて木村氏は、テレビ局の映画放送枠で新作(地上波初登場という意味で)が流れないのは視聴率が取れないからと記載しています。元来テレビ局が映画放送枠を用意したのは、映画をより多くの人に観てもらうという文化的意義があったはずですが、レンタルの普及、衛星放送や動画配信サービスの台頭等により、映画がいつでも観られるようになったことで、新作を放送する必要性が低くなったことも一因ではないかと考えます(映画放送枠自体の減少もこれが理由かと)。だからといって、映画の普及という文化的意義はなくなったわけではないため、視聴率にこだわりすぎて意義を忘れてはならないと思うのですが、日本テレビのやり方にはどうも他局潰し自局伸ばしの”視聴率第一主義”が見て取れるのです。いや、”視聴率第一主義じゃない、子どもへの普及という文化的意義があるのだ”というのであれば、『実際、ジブリ映画は重要なターゲットであるはずの子どもたちが見られない21時以降に放送』されてれる現状を見直し、『「視聴者のために再放送している」と言うのなら、21時以降ばかりではなく、ファミリー層が見やすい平日の19時スタート、土日の昼前後にも放送するほうが自然』です(『』内は木村隆志氏のコラムより)。

事実、現在の『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系 金曜21時)は、ジブリ作品ではないものの”ハリー・ポッターの秋”と題して10月20日から4週連続でシリーズを放送しており、裏の『コウノドリ』(TBS系 金曜22時)の2回目以降にぶつけています。『コウノドリ』の第1話には『デイ・アフター・トゥモロー』を用意しており必ずしもジブリ等ではありませんでしたが、今年の『金曜ロードSHOW!』枠では1月に3週連続ジブリ作品が用意されていることからTBS側は油断出来ない状況と言えるでしょう。

 

無論、これは大前提としてですが、TBS側が日本テレビの思惑に負けないくらいのコンテンツを用意することが求められます。ミステリーが多かったのは一話でも見逃すとドロップしやすいのを逆手に取り、物語の求心力で視聴者を引きつけ視聴率が乱高下しない効果があるため(湊かなえさん作品が多いのもその理由かと)。コウノドリも前シリーズが11.5%と悪くなかったのもドラマの質の高さゆえと思われます。全局のドラマ枠の中でも最大の逆風に晒されていることで、TBS側は戦々恐々としながらも逆に気持ちを引き締めることが出来ているかもしれません。次作が『逃げるは恥だが役に立つ』の脚色で注目を集めた野木亜紀子氏によるオリジナル脚本『アンナチュラル』(主演は石原さとみさん)に決まっていて、こちらも既に注目が集まっています。

一方で、昨日の安住アナウンサーの発言(これは局の見方と言っても過言ではないでしょう)で、日本テレビのやり方は戦略としては”正しいかもしれないがしかしあざとい”と思う自分の見方が正しかったことが証明されたように思います。テレビ番組の満足度では、視聴率でトップを走り続ける日本テレビの番組が必ずしも高くない(数字に対し満足度が比例しない)ことも証明されてきていると聞きますし、今回紹介した戦略で日本テレビを(最終的に)見限る人が増えれば、近い将来視聴者の”日本テレビ離れ”が起きることも想像出来ます。そうなる前に、もっとフェアな態度を日本テレビには採っていただきたいというのが自分の思いです。