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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり)【海外ビルボード】スーパーボウルハーフタイムショー効果、ケンドリック・ラマーが米トップ3独占

(※追記(2月19日20時00分):Global 200における日本の楽曲動向を追記しています。)

 

 

 

現地時間の2月17日月曜が祝日につき翌18日に発表された、最新2月22日付米ビルボードソングチャート(集計期間:2月7~13日)。前週首位に返り咲いたレディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」は4位に後退、ケンドリック・ラマー「Not Like Us」が昨年7月20日付以来となる通算3週目の首位を獲得しています。

ケンドリック・ラマー「Not Like Us」はストリーミングが前週比156%アップの4900万、ダウンロードが同432%アップの33,000およびラジオが同31%アップの2050万を記録。ストリーミングは昨年7月27日付以来となる通算7週目の首位、ダウンロードは同曲最高数に伴い初の首位、そして昨年8月に最高7位を記録したラジオでは今回30位に達しています。なお「Not Like Us」が今回記録したストリーミング数は同曲における歴代6位となります。

「Not Like Us」は総合ソングチャートと集計方法を同一とするホットR&B/ヒップホップソングチャートおよびホットラップソングチャートで首位に。前者では通算22週目の首位となり、シザ「Kill Bill」(2022-2023 21週)を抜き歴代最長記録を達成したほか、後者では同曲の持つ歴代最長首位記録を26週に伸ばしています。

 

ケンドリック・ラマーは今回のチャートでトップ3を独占。2位にはシザとの「Luther」が前週から1ランクアップし同曲最高位を更新、そして3位にはレフティ・ガンプレイをフィーチャーした「TV Off」が前週の10位から上昇。ストリーミングは前者が前週比94%アップの4270万、後者が同77%アップの3570万を記録しています。

ケンドリック・ラマーは昨年12月7日付にて「Squabble Up」「TV Off」および「Luther」がトップ3を独占。複数週に渡るトップ3独占はザ・ビートルズ(1964 5週)、ドレイク(2021-2023 3週)およびテイラー・スウィフト(2022-2024 3週)に続く記録となります。なおアリアナ・グランデは2019年に1週、トップ3を独占しています。

 

今回のケンドリック・ラマーによる上位独占は、集計期間中の2月9日にケンドリックがスーパーボウルハーフタイムショーに登場したことが大きく貢献した形です(こちらで映像が確認可能)。また前週2月2日にはグラミー賞にて「Not Like Us」が主要2部門(最優秀レコード賞および最優秀楽曲賞)を含む5部門を制したことも影響しています。

「Not Like Us」は昨年5月18日付で首位初登場を果たし、7月20日付で首位に返り咲くまでの間は2~6位内に在籍していました。

直近の上昇においてはライブにおける同曲の複数回披露が影響したほか、当週は集計期間前日に公開されたミュージックビデオが首位到達の原動力となっています。

当週におけるケンドリック・ラマー「Not Like Us」の首位返り咲きは前回から29週のブランクを要しており、米ビルボードソングチャート66年の歴史においてマイリー・サイラス「Wrecking Ball」(2013)およびオリヴィア・ロドリゴ「Vampire」(2023)が持つ9週(のブランク)を上回り、首位返り咲きまでのブランク記録において歴代3位となりました。

なお首位返り咲きまでのブランク記録における歴代最長はチャビー・チェッカー「The Twist」(1960-1962)の1年3ヶ月と3週。また2位のマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」は2019年のクリスマスシーズン以降毎年首位に返り咲いています。なお「Not Like Us」はクリスマス関連曲以外では初となる、2ヶ月以上のブランクを経ての返り咲きを二度記録した作品となります。

 

ケンドリック・ラマーはフューチャーとメトロ・ブーミンのコラボ作に客演参加した「Like That」が昨年4月に3週連続で首位を獲得しており、「Not Like Us」はケンドリックにとって首位獲得週数が自己最長タイに。なおケンドリックはこれまで5曲が首位を記録していますが、テイラー・スウィフトにフィーチャーされた「Bad Blood」(2015)、主演曲の「Humble.」(2017)および「Squabble Up」(2024年12月)はいずれも首位在籍が1週となっています。なお「Squabble Up」は当週においてストリーミングが前週比85%アップの2780万を記録し、20→5位に再浮上しています。

 

加えてケンドリック・ラマーは、シザに客演参加した「30 For 30」が22→10位に上昇。こちらもスーパーボウルハーフタイムショーで披露されたことが影響し、ストリーミングは前週比43%アップの2140万、ダウンロードは同75%アップの1,000およびラジオは同10%アップの1650万を記録しています。昨年12月にリリースされた「30 For 30」はシザにとって12曲目、ケンドリックにとっては23曲目のトップ10ヒットとなります。また同曲は総合ソングチャートと集計方法を同一とするホットR&Bソングチャートにて、初登場時以来となる首位に立っています。

 

チャペル・ローン「Pink Pony Club」が18→9位に上昇。ストリーミングは前週比10%アップの2010万、ラジオは同11%アップの2070万を記録しています。チャペルは2月に開催されたグラミー賞にて最優秀新人賞を獲得したほか、その際の受賞スピーチが話題となっています。

チャペル・ローンにとって「Good Luck, Babe!」(2024年9月 4位)に次ぐキャリア2曲目のトップ10ヒットとなった「Pink Pony Club」は、元々2020年にリリースされた作品。2023年リリースのファーストアルバム『The Rise And Fall Of A Midwest Princess』に収録された曲として初のトップ10入りとなります。なおこのアルバムは昨年4月以降アルバムチャート40位以内に常時在籍し、最高2位を記録しています。

 

最新のトップ10はこちら。

1位 (前週15位) ケンドリック・ラマー「Not Like Us」

2位 (3位) ケンドリック・ラマー & シザ「Luther」

3位 (10位) ケンドリック・ラマー feat. レフティ・ガンプレイ「TV Off」

4位 (1位) レディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」

5位 (20位) ケンドリック・ラマー「Squabble Up」

6位 (4位) ビリー・アイリッシュ「Birds Of A Feather」

7位 (6位) ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」

8位 (5位) シャブージー「A Bar Song (Tipsy)」

9位 (18位) チャペル・ローン「Pink Pony Club」

10位 (22位) シザ feat. ケンドリック・ラマー「30 For 30」

 

レディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」は前週の首位から4位に後退。ラジオは前週比2%アップの6350万を記録し、同指標2週目の首位を獲得しています。

そして今回のソングチャートでは、6位までをインタースコープ在籍歌手の作品が独占しています(なおレディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」はインタースコープとアトランティスの双方からリリース)。ひとつのレコード会社による上位独占は昨年5月4日付におけるリパブリック所属のテイラー・スウィフト(14位まで独占)以来となります。

 

5→8位に後退したシャブージー「A Bar Song (Tipsy)」は、総合チャートと集計方法を同一とするホットカントリーソングチャートで通算34週目の首位となり、サム・ハント「Body Like A Back Road」(2017)に並び首位獲得週数が歴代2位に。最長記録はビービー・レクサ & フロリダ・ジョージア・ライン「Meant To Be」の50週(2017-2018)となります。

 

 

続いてグローバルチャートを紹介。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。2025年2月22日付ではGlobal 200において、スーパーボウルハーフタイムショー効果に伴いケンドリック・ラマー「Not Like Us」が首位に返り咲き、トップ10内には4曲がランクイン。またGlobal 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.ではレディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」が首位に返り咲いています。

Global 200において、ケンドリック・ラマー「Not Like Us」はストリーミングが前週比176%アップの1億1320万およびダウンロードが同424%アップの39,000を記録。同曲はこのチャートで昨年5月18日付にて首位初登場を果たした後、昨年7月20日付で二度目の首位を獲得しています。当週、前回の首位獲得から29週のブランクを要しており、クリスマス関連曲を除けば2020年のチャート新設以降最大のブランク記録となります。

Global 200においてはケンドリック・ラマーがトップ10に4曲を送り込んでいます。シザとの「Luther」が12→4位(同曲最高位タイ)、レフティ・ガンプレイを迎えた「TV Off」が27→8位(過去最高5位)に上昇。また2018年にリリースされたシザとの「All The Stars」が74→10位に入り、ケンドリックにとって12曲目、シザは8曲目となるトップ10ヒットとなっています。「Not Like Us」を含むトップ10ヒットはすべて、スーパーボウルハーフタイムショーで披露されています。

 

Global 200では前週初登場のレディー・ガガ「Abracadabra」が10→5位に上昇。2月2日に開催された第67回グラミー賞内、MastercardのCM中に初披露された同曲は当週が初の1週間フル加算となり、ストリーミングが4770万→7840万に上昇しています。

 

Global Excl. U.S.ではレディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」が首位返り咲き。ストリーミングは前週比3%アップの1億770万、ダウンロードは同8%ダウンの5,000を記録しています。

Global Excl. U.S.においてはケンドリック・ラマー「Not Like Us」が27→3位となり同曲最高位を更新したほか、ケンドリックとシザによる「Luther」が19→7位に(過去最高6位)。またレディー・ガガ「Abracadabra」が9→4位に上昇しています。

 

 

※追記(2月19日20時00分)

 

日本時間の2月19日夜、Global 200の全容が発表されました。日本の楽曲動向については、Xにて発信しています。