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【海外ビルボード】テイラー・スウィフト『1989 (Taylor's Version)』収録曲がソングチャートを占拠

現地時間の11月6日月曜に発表された、最新11月11日付米ビルボードソングチャート(集計期間10月27日~11月2日)。テイラー・スウィフト「Cruel Summer」は6位に後退し、同じくテイラーによる「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」が初登場で首位を獲得しています。

ビルボードソングチャート65年の歴史において通算1,159曲目となる首位を獲得、初登場での首位到達は73曲目となるテイラー・スウィフト「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」はストリーミング3200万(同指標首位)、ダウンロード5,000(同指標7位)およびラジオ470万(同指標50位未満)を記録。テイラーにとって初登場での首位獲得は6曲目となり、初登場で首位に立った全73曲のリストは下記リンク先に掲載されています。

テイラー・スウィフトは11曲目の首位獲得となり、ホイットニー・ヒューストンに並びました。

<米ビルボードソングチャート 首位獲得曲数>

・20曲 ザ・ビートルズ

・19曲 マライア・キャリー

・14曲 リアーナ

・13曲 ドレイク、マイケル・ジャクソン

・12曲 マドンナ、ザ・シュープリームス

・11曲 ホイットニー・ヒューストンテイラー・スウィフト

・10曲 ジャネット・ジャクソンスティーヴィー・ワンダー

首位獲得曲数上位歌手一覧については、首位獲得作品も含め下記リンク先にて紹介されています。

 

テイラー・スウィフトは今回、”Taylor's Version”として2曲目の首位を獲得しています。

テイラー・スウィフトによる米ビルボードソングチャート首位獲得曲>

「We Are Never Ever Getting Back Together」(2012年9月1日付以降 3週)

「Shake It Off」(2014年9月6日付以降 4週)

「Blank Space」(2014年11月29日付以降 7週)

「Bad Blood (feat. ケンドリック・ラマー)」(2015年6月6日付 1週)

「Look What You Made Me Do」(2017年9月16日付以降 3週)

「Cardigan」(2020年8月8日付 1週)

「Willow」(2020年12月26日付 1週)

「All Too Well (Taylor's Version)」(2021年11月27日付 1週)

Anti-Hero」(2022年11月5日付以降 8週)

「Cruel Summer」(2023年10月28日付以降 2週)

「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」(2023年11月11日付 1週)

 

テイラー・スウィフトは2023年において3曲が首位に。アルバム『Midnights』(2022)から「Anti-Hero」、『Lover』(2019)から「Cruel Summer」、そして今回『1989 (Taylor's Version)』から「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」が首位に到達しています。

一年の間に一組の歌手が、すべて異なるアルバムから3曲をソングチャートの頂点に送り込んだのはテイラー・スウィフトが女性歌手では初となります。これは1970年におけるジャクソン5以来の記録達成であり(『Diana Ross Presents the Jackson 5』から「I Want You Back」、『ABC』から「The Love You Save / I Found That Girl」および『Third Album』から「I’ll Be There」)、またザ・ビートルズは1964年に5枚のアルバムから6曲を首位の座に輩出しています。

また「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」は自身の「Cruel Summer」から入れ替わる形で首位に。自身の曲による首位交代はテイラー・スウィフトにとって2回目であり(2014年11月29日付にて「Shake It Off」から「Blank Space」へ首位が交代)、女性歌手として二度の記録達成はテイラーが初となります。

 

今回はアルバム『1989 (Taylor's Version)』のアルバムチャート制覇に伴い、収録曲が大挙エントリーした形です。トップ10入りした7曲のストリーミング数は「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」が3200万、「Now That We Don't Talk (Taylor's Version)(From The Vault)」が2820万、「Slut! (Taylor's Version)(From The Vault)」が2700万、「Say Don't Go (Taylor's Version)(From The Vault)」が2580万、「Bad Blood (Taylor's Version)」が2164万、「Style (Taylor's Version)」が2158万、「Suburban Legends (Taylor's Version)(From The Vault)」が2020万となっています。

(※記事には記載がありませんが、「Bad Blood (Taylor's Version)」および「Style (Taylor's Version)」は一万の単位まで掲載されています。本来は四捨五入すれば2曲とも2160万となるため、このような記載になったものと思われます。)

今回のチャートインに伴い、テイラー・スウィフトのトップ10ヒットは49曲となり歴代2位、女性歌手では最多となりました。

<米ビルボードソングチャート トップ10ヒット曲数>

76曲 ドレイク

49曲 テイラー・スウィフト

38曲 マドンナ

34曲 ザ・ビートルズ

32曲 リアーナ

30曲 マイケル・ジャクソン

29曲 エルトン・ジョン

28曲 マライア・キャリー

28曲 スティーヴィー・ワンダー

27曲 ジャネット・ジャクソン

26曲 ジャスティン・ビーバー

25曲 リル・ウェイン

25曲 エルヴィス・プレスリー

(エルヴィス・プレスリーは1958年8月のチャート開始前よりキャリアがスタート。)

またテイラー・スウィフトは、「Bad Blood (Taylor's Version)」が7位、「Style (Taylor's Version)」が9位にそれぞれ初登場を果たしています。オリジナルバージョンは前者が2015年にチャートを制し、後者は同年6位を記録しています。

テイラー・スウィフトによるセルフカバー版がトップ10入りするのは今回が初となります。これまでは2021年における「Love Story (Taylor's Version)」の11位が最高位となっていました(オリジナルバージョンは2009年に4位を記録)。異なるバージョンでのトップ10入りはこの20年ではテイラーが初。ドビー・グレイは1973年に「Drift Away」が5位を記録していますが、アンクル・クラッカーがドビーを迎える形でカバー(アップデート)したバージョンが2003年8月に9位を獲得しています。

(なお「Bad Blood」のオリジナルバージョンにおいてはケンドリック・ラマーをフィーチャーしたバージョンが2015年に追加され、今回の『1989 (Taylor's Version)』にもケンドリック・ラマー参加版が収録されていますが、2種類の「Bad Blood (Taylor's Version)」ではテイラー・スウィフト単独版のほうが獲得ポイントにおいて過半数となったため、チャート上ではケンドリック・ラマーはクレジットされていません。)

 

テイラー・スウィフトのソングチャートトップ3占拠は通算2週目。2022年11月5日付、アルバム『Midnights』初登場時にトップ10を占拠して以来となります。トップ3占拠はザ・ビートルズ(1964 通算5週)、ドレイク(2021-2023 通算3週)そしてテイラーの3組のみ複数週で記録しており、アリアナ・グランデは2019年に1週この記録を達成しています。

また今回、テイラー・スウィフトはソングチャートトップ10内に8曲を送り込んでいます。この8曲以上の同時エントリーはテイラーにおいては先述した2022年11月5日付以来二度目となり、その他にはドレイクが2021年9月18日付にて9曲、2022年11月19日付にて8曲、いずれも収録アルバムの初登場時に送り込んでいます。

 

今回のソングチャートではドージャ・キャット「Paint The Town Red」が4位、シザ「Snooze」が8位に入り、女性歌手がトップ10を占拠しています。これは2022年11月5日付にてテイラー・スウィフトがトップ10を占拠して以来二度目となります(なお同日付では「Snow On The Beach」(4位)にてラナ・デル・レイが客演歌手としてクレジットされています)。

テイラー・スウィフトのトップ10ヒットは49曲になりましたが、ソングライターとしては50曲目に。テイラーの49曲はいずれも自身がソングライトに関わり、加えてオリヴィア・ロドリゴDeja Vu」(2021 3位)にてテイラーがクレジットされています。これは「Deja Vu」がテイラーによる「Cruel Summer」の影響を受けたことでソングライターに追加されたためです(記事はこちら)。

今回のテイラー・スウィフトによるトップ10入りに伴い、「Say Don't Go (Taylor's Version)(From The Vault)」ではテイラーとコライトしたダイアン・ウォーレン、「Bad Blood (Taylor's Version)」および「Style (Taylor's Version)」では同じくコライトしたマックス・マーティンのソングライターとしてのトップ10ヒットが増加。ダイアンは(チャートインとして)40年6ヶ月以上のキャリアの中で33曲目、マックスは同じく26年4ヶ月のキャリアにて78曲目のトップ10ヒットが誕生した形です。ダイアン・ウォーレンによる作品のトップ10ヒット一覧は下記リンク先にて掲載されています。

 

なおラジオではテイラー・スウィフト「Cruel Summer」(総合6位)が制覇。前週比6%ダウンの7540万を記録し、同指標3週目の首位を獲得しています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (初登場) テイラー・スウィフト「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」

2位 (初登場) テイラー・スウィフト「Now That We Don't Talk (Taylor's Version)(From The Vault)」

3位 (初登場) テイラー・スウィフト「Slut! (Taylor's Version)(From The Vault)」

4位 (2位) ドージャ・キャット「Paint The Town Red」

5位 (初登場) テイラー・スウィフト「Say Don't Go (Taylor's Version)(From The Vault)」

6位 (1位) テイラー・スウィフト「Cruel Summer」

7位 (初登場) テイラー・スウィフト「Bad Blood (Taylor's Version)」

8位 (3位) シザ「Snooze」

9位 (初登場) テイラー・スウィフト「Style (Taylor's Version)」

10位 (初登場) テイラー・スウィフト「Suburban Legends (Taylor's Version)(From The Vault)」

なお、テイラー・スウィフトは『1989 (Taylor's Version)』収録の21曲を43位までに送り込んでいます。下記リンク先にあるように、テイラーはトップ5ヒットが31曲となりザ・ビートルズマライア・キャリーおよびマドンナを抜いてドレイク(41曲)に次ぐ歴代2位に。またトップ10ヒット(49曲)、トップ20ヒット(85曲)およびトップ40ヒット(137曲)において、いずれもドレイクに次ぐ歴代2位を記録しています(ドレイクは順に76曲、132曲、199曲)。

また今回、テイラー・スウィフトのソングチャート100位以内エントリーは231曲となり、ドレイクの321曲に次ぐ歴代2位を記録しています。ソングチャートで100曲以上エントリーを果たした歌手の一覧は下記リンク先にて掲載されています。

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。11月11日付ではGlobal 200にてテイラー・スウィフト「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」が初登場で首位を獲得、Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.ではイニゴ・クインテロ「Si No Estás」が2連覇を達成しています。

Global 200ではテイラー・スウィフト「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」が初登場で首位を獲得。ストリーミング6370万、ダウンロード7,000をそれぞれ記録しています。テイラーにとっては前週首位を獲得した「Cruel Summer」に続くキャリア4曲目の首位獲得曲となります(その他、「All Too Well (Taylor's Version)」(2021年11月 1週)、「Anti-Hero」(2022年11月以降 4週)が首位を獲得)。

Global 200における首位獲得曲数において、テイラー・スウィフトはオリヴィア・ロドリゴを上回り女性歌手では単独最多となりました。最も多いのはBTSの7曲であり、テイラーはバッド・バニーと並び歴代2位タイ(ソロ歌手では最多)となっています。

アルバム『1989 (Taylor's Version)』からは7曲がトップ10入りし、うち6位までを占拠。総合6位までのストリーミング数は「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」が6370万、「Now That We Don't Talk (Taylor's Version)(From The Vault)」が5590万、「Slut! (Taylor's Version)(From The Vault)」が5500万、「Say Don't Go (Taylor's Version)(From The Vault)」が5340万、「Style (Taylor's Version)」が5200万、「Bad Blood (Taylor's Version)」が4630万となっています。また9位に入った「Blank Space (Taylor's Version)」はストリーミング4520万を記録しています。

今回7曲がトップ10入りしたことに伴い、テイラー・スウィフトのGlobal 200におけるトップ10ヒットは24曲に。バッド・バニーの19曲を上回り、ドレイクの35曲に次ぐ歴代2位となりました。

なお前週首位のテイラー・スウィフト「Cruel Summer」は11位に後退しています。

 

Global Excl. U.S.ではイニゴ・クインテロ「Si No Estás」が2連覇を達成。ストリーミングは前週比5%ダウンの5160万、ダウンロードは同9%ダウンの1,000を、それぞれ記録しています。

こちらのチャートでもテイラー・スウィフト『1989 (Taylor's Version)』から3曲がトップ10入り。「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」が5位に(ストリーミングは3210万)、「Style (Taylor's Version)」が7位に(同3070万)、そして「Now That We Don't Talk (Taylor's Version)(From The Vault)」が10位に(同2790万)、それぞれランクインしています。

Global Excl. U.S.におけるテイラー・スウィフトのトップ10ヒットは14曲となり、バッド・バニーが持つ最多記録の18曲に迫っています。