イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり)【海外ビルボード】米ではドレイク feat. シザが首位初登場、グローバルはドージャ・キャットが制覇

(※追記(9月27日5時41分):米ビルボードは現地時間の9月26日、グローバルチャートのうちGlobal Excl. U.S.の順位を訂正しています。このブログエントリーでは訂正された記事の内容を反映し、Global Excl. U.S.トップ10紹介画像を掲載したポスト(ツイート)も差替えています。)

(※追記(10月3日4時54分):米ビルボードがGlobal Excl. U.S.を訂正したことにより、当初トップ10入りが報じられていたカッソー、レイ & D-ブロック・ヨーロッパ「Prada」が10→11位となりトップ10から外れました。しかしながら同曲をトップ10入りしたとして誤って掲載し続けたため、同曲の動画および紹介内容を削除しています。)

 

 

 

現地時間の9月25日月曜に発表された、最新9月30日付米ビルボードソングチャート(集計期間:9月15~21日)。前週首位に返り咲いたオリヴィア・ロドリゴ「Vampire」は7位へ後退、ドレイク feat. シザ「Slime You Out」が初登場で首位を獲得しました。

ビルボードソングチャート65年の歴史において1,156曲目、初登場曲としては71曲目の首位となったドレイク feat. シザ「Slime You Out」。ストリーミングは3260万(同指標首位)、ダウンロードは2,000(同指標29位)、ラジオは520万(同指標50位未満)を記録しています。なお「Slime You Out」は9月15日12時(東部標準時)にリリースされ、初週のカウント対象は6日12時間となります。

 

「Slime You Out」はドレイクにとって12曲目の首位獲得作品となり、歴代5位となる首位獲得歌手に。あと1曲でマイケル・ジャクソンに並び、男性ソロ歌手で最多となります。

<米ビルボード最多首位獲得歌手>

・20曲 ザ・ビートルズ

・19曲 マライア・キャリー

・14曲 リアーナ

・13曲 マイケル・ジャクソン

・12曲 ドレイク、マドンナ、ザ・シュープリームス

・11曲 ホイットニー・ヒューストン

・10曲 ジャネット・ジャクソンスティーヴィー・ワンダー

<ドレイク 首位獲得曲一覧>

・「What's My Name?」(リアーナ feat. ドレイク 2010年11月20日付 1週)

・「Work」(リアーナ feat. ドレイク 2016年3月5日付以降 9週)

・「One Dance (feat. ウィズキッド & カイラ)」(2016年5月21日付以降 10週)

・「God's Plan」(2018年2月3日付以降 11週)

・「Nice For What」(2018年4月21日付以降 8週)

・「In My Feelings」(2018年7月21日付以降 10週)

・「Toosie Slide」(2020年4月18日付 1週)

・「What's Next」(2021年3月20日付 1週)

・ 「Way 2 Sexy (feat. フューチャー & ヤング・サグ」(2021年9月18日付 1週)

・「Wait For U」(フューチャー feat. ドレイク & テムズ 2022年5月14日付 1週)

・「Jimmy Cooks (feat. 21サヴェージ)」(2022年7月2日付 1週)

・「Slime You Out (feat. シザ)」(2023年9月30日付 1週)

 

客演参加のシザにとっては「Slime You Out」が2曲目の首位獲得作品に。今年4月に「Kill Bill」で制して以来となり、また初登場での首位獲得も初に。なお「Kill Bill」は登場19週目、通算8週もの間2位にとどまった後の首位到達でした。

(米ビルボードの記事では通算7週もの間2位と記載されていますが、「Kill Bill」が首位に到達した際の記事では8週と記載されています。その翻訳内容はこちら。)

なお2023年において複数の作品を首位の座に送り込んだのはシザが初。昨年はドレイクのみがこの記録を達成しています(フューチャー feat. ドレイク & テムズ名義での「Wait For U」、および21サヴェージを迎えた「Jimmy Cooks」)。

 

初登場での首位獲得はドレイクが最多となる8曲に。上記首位作品一覧では「God's Plan」以降の作品(「In My Feelings」を除く)が該当します。また「Slime You Out」の首位獲得により、様々な記録が誕生しています。

<ドレイクの記録一覧>

・トップ5ヒット:37曲 (2位以降はザ・ビートルズ(29曲)、マドンナ(28曲))

・トップ10ヒット:70曲 (2位以降はテイラー・スウィフト(42曲)、マドンナ(38曲))

・トップ40ヒット:178曲 (2位以降はテイラー・スウィフト(119曲)、リル・ウェイン(88曲)、エルヴィス・プレスリー(81曲 ただしチャート開始の2年前にキャリアがスタート))

・トップ100ヒット:299曲 (2位以降はテイラー・スウィフト(212曲)、グリー・キャスト(207曲))

ドレイクは他にも様々な記録を保持しており、下記ポスト掲載の記事にてまとめられています。

 

ドレイクは2020年代において「Slime You Out」が6曲目の首位獲得曲となり、BTSに並びました。なお2010年代は6曲を首位に送り込み、リアーナの9曲、ケイティ・ペリーの8曲、ブルーノ・マーズの7曲に続いています。

<各年代における最多首位獲得歌手>

2020年代BTS、ドレイク (6曲)

・2010年代:リアーナ (9曲)

・2000年代:アッシャー (7曲)

・1990年代:マライア・キャリー (14曲)

・1980年代:マイケル・ジャクソン (9曲)

・1970年代:ビー・ジーズ (9曲)

・1960年代:ザ・ビートルズ (18曲)

※1958年8月4日付開始の米ビルボードソングチャートにおいて、1950年代(1958-1959年)はフランキー・アヴァロンおよびフリートウッズが最多となる2曲を首位に送り込んでいます。

 

「Slime You Out」はストリーミングを制し、ドレイクはこの指標で最多となる18曲目の首位に。ジャスティン・ビーバーおよびテイラー・スウィフトが6曲で続いています。なおシザにとっては「Kill Bill」(2023 4週)に次ぐ2曲目の首位獲得作品となりました。

また「Slime You Out」はホットR&B/ヒップホップソングチャートおよびホットR&Bソングチャートを制覇(双方とも米ビルボードソングチャートと同じ計算方法を使用)。ホットR&B/ヒップホップソングチャートにおいてはドレイクが29曲目の首位となり最多を更新、アレサ・フランクリンおよびスティーヴィー・ワンダーの20曲を引き離しています。またシザは「I Hate U」(2021)、「Kill Bill」(2022-2023)に続く3曲目の首位作品となりましたが、「Kill Bill」はこのチャートで最長となる21週もの首位を記録しています。なお2012年開始のホットR&Bソングチャートではドレイクが8曲目、シザが5曲目の首位となっています。

 

ドージャ・キャット「Paint The Town Red」は2位をキープ。ストリーミングは前週比2%ダウンの2670万(順位は記事未記載)、ダウンロードは同4%アップの8,000(同指標首位)、ラジオは同19%アップの4490万(同指標9位)を記録しています。ダウンロード指標では自身2曲目の首位、ラジオ指標では9曲目のトップ10入りを果たしました。

 

(上記はジャスティン・ビーバーが客演参加した「Snooze」の公式オーディオ。)

シザ「Snooze」が5ランクアップの3位となり、同曲の最高位を更新。これは集計期間初日にリリースされたジャスティン・ビーバー参加版リミックスの効果が大きく、ストリーミングは前週比50%アップの2140万、ダウンロードは同86%アップの3,000に。またラジオでは前週比4%アップの7010万を記録し5位から3位へ上昇(同指標最高位を更新)。シザのトップ5ヒットはドージャ・キャットを迎えた「Kiss Me More」(2021 3位)、「Kill Bill」、「Slime You Out」に続き4曲目となります(なおトップ10ヒットは9曲に)。

(なお米ビルボードソングチャートでは様々なバージョンが合算対象となります。今回は客演参加版の獲得ポイントが全体の過半数に達しなかったため、「Snooze」のクレジットはシザの単独表記となっています。)

 

最新チャートにおけるトップ3(「Slime You Out」「Paint The Town Red」および「Snooze」)はいずれもホットR&B/ヒップホップソングチャートにランクイン。この状況はおよそ2年ぶりとなり、2021年9月18日付にてドレイクが『Certified Lover Boy』でアルバムチャートを制した際に収録曲の「Way 2 Sexy (feat. フューチャー & ヤング・サグ)」、「Girls Want Girls (feat. リル・ベイビー)」および「Fair Trade (feat. トラヴィス・スコット)」がいずれも初登場でトップ3を独占した時以来となります。

なお最新チャートではRCAレコード所属のシザおよびドージャ・キャットがトップ3すべてに名を連ねています。

 

ルーク・コムズによるトレイシー・チャップマンのカバー、「Fast Car」が4位をキープ。ラジオは前週比2%ダウンの7660万を記録し、同指標4週目の首位となっています。またソングチャートと同じ計算方法に基づくホットカントリーソングチャートでは、これまで19週に渡って2位を記録していた同曲が初の首位に。ルークにとって6曲目の首位獲得作品となりました。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (初登場) ドレイク feat. シザ「Slime You Out」

2位 (2位) ドージャ・キャット「Paint The Town Red」

3位 (8位) シザ「Snooze」

4位 (4位) ルーク・コムズ「Fast Car」

5位 (3位) ザック・ブライアン feat. ケイシー・マスグレイヴス「I Remember Everything」

6位 (5位) テイラー・スウィフト「Cruel Summer」

7位 (1位) オリヴィア・ロドリゴ「Vampire」

8位 (6位) モーガン・ウォレン「Last Night」

9位 (9位) ガンナ「Fukumean」

10位 (10位) デュア・リパ「Dance The Night」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。9月30日付ではドージャ・キャット「Paint The Town Red」がGlobal 200において3連覇、Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.では初の首位を獲得しています。

ドージャ・キャット「Paint The Town Red」はGlobal 200でストリーミングが前週比1%アップの8980万、ダウンロードが同5%アップの12,000を記録し3連覇を達成。またGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比3%アップの6480万、ダウンロードが同8%アップの4,000となり、ジョングク feat. ラトー「Seven」を上回り初の首位に到達しました。Global Excl. U.S.においてヒップホップジャンルの作品(米ビルボードによるホットラップソングチャートにランクインする曲と定義)が制したのは、2020年にチャートが発足して以来初となります。

 

Global 200ではドレイク feat. シザ「Slime You Out」がストリーミング5210万、ダウンロード2,000を記録し3位に初登場。このチャートにおけるドレイクのトップ10入りは30曲となり、最多を更新しています。またシザ「Snooze」がジャスティン・ビーバー参加版リミックス効果でGlobal 200にて42→6位へ上昇。ストリーミングは前週比60%アップの4170万、ダウンロードは同99%アップの3,000を記録しています。これらによりシザのこのチャートにおけるトップ10ヒットは5曲となりました。

(なおグローバルチャートもあらゆるバージョンが合算対象となります。今回は客演参加版の獲得ポイントが全体の過半数に達しなかったため、「Snooze」のクレジットはシザの単独表記となっています。)

 

Global Excl. U.S.ではケニア・グレース「Strangers」が21→4位へ上昇。ストリーミングは前週比50%アップの2890万、ダウンロードは同42%アップの1,000を記録しています。南アフリカ生まれイギリス育ちのケニアにとって、同曲の上昇にはTikTokが大きく貢献。50万以上の動画に同曲の一部が用いられ、TikTokのフォロワーも50万人を突破しています。

テイト・マクレー「Greedy」がGlobal Excl. U.S.で10位に初登場。ストリーミング2210万およびダウンロード1,000を記録しています。カナダはカルガリー出身のテイトはこの曲でGlobal Excl. U.S.初のトップ10入りを果たしました(これまでの最高位は「You Broke Me First.」(2020)の15位)。なおテイトは前週このチャートで9位にランクインしたオリヴィア・ロドリゴ「Bad Idea Right?」のミュージックビデオに登場しています。