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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

最新の米ソングチャートにおけるK-POP、JIMINとFIFTY FIFTYの両極といえるチャートアクションに注目する

昨日は4月1日付米ビルボードおよびグローバルのソングチャートトップ10速報を記載しました。

その際、米ビルボードで30位に初登場を果たしたBTSのJIMIN(ジミン)による「Set Me Free Pt.2」について簡単に紹介したのですが、ブログエントリー掲載後に詳細な記事が登場したので、今回紹介します。なおグローバルチャートではGlobal 200で8位、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.では5位に初登場を果たしています。

 

記事の要約は以下の通り。最新4月1日付米ビルボードソングチャートにおいて、集計期間初日にあたる3月17日にリリースされたJIMIN「Set Me Free Pt.2」は30位に初登場。ストリーミング640万、ダウンロードは63,000を記録し、後者では首位を獲得しています(ダウンロード指標首位曲はトップ10速報記事に記載がありませんでした)。

BTSのメンバーによるソロ曲で、共演や客演を伴わない形でのトップ40入りは初。JIMINはTAEYANGとのコラボ曲「Vibe」が今年1月に最高76位を獲得し、米ビルボードソングチャートにおけるBTSのソロ曲ランクインはメンバー7人目(ラスト)となりました。

BTSのメンバーによるソロ曲 米ビルボードソングチャートランクイン状況>

・J-HOPE feat. ベッキー・G「Chicken Noodle Soup」 最高81位 (2019年10月12日付 初登場時)

・Agust D(SUGAのソロ名義)「Daechwita」 最高76位 (2020年6月6日付 初登場時)

・ジュース・ワールド & SUGA「Gil Of My Dreams」 最高29位 (2021年12月25日付 初登場時)

・V「Christmas Tree」 最高79位 (2022年1月8日付 初登場時)

・JUNG KOOK「Stay Alive」 最高95位 (2022年2月26日付 初登場時)

・PSY feat. SUGA「That That」 最高80位 (2022年5月14日付 初登場時)

チャーリー・プース feat. JUNG KOOK「Left And Right」 最高22位 (2022年7月9日付 初登場時)

・J-HOPE「More」 最高82位 (2022年7月16日付 初登場時)

・J-HOPE「Arson」 最高96位 (2022年7月30日付 初登場時)

・JIN「The Astronaut」 最高51位 (2022年11月12日付 初登場時)

・RM with Youjeen「Wild Flower」 最高83位 (2022年12月17日付 初登場時)

・TAEYANG feat. JIMIN「Vibe」 最高76位 (2023年1月28日付 初登場時)

・J-HOPE with J. コール「On The Street」 最高60位 (2023年3月18日付 初登場時)

・JIMIN「Set Me Free Pt.2」 最高30位 (2023年4月1日付 初登場時)

またJIMINは米ビルボードによる4月1日付のエマージングアーティストチャートを制覇。ソングチャートやアルバムチャート等に基づきその週に最も人気のある新興歌手(一定の条件有)をランク付けしたこのチャートでは、RM(2018年11月)、SUGA(2021年12月)、V(2022年1月)、JUNG KOOK(2022年2月)、J-HOPE(2022年7月)、JIN(2022年11月)に続きJIMINが制し、BTSはメンバー全員がこのチャートで首位に立ったことになります。

 

さて、次週4月8日付では「Set Me Free Pt.2」も含むJIMIN『FACE』が米ビルボードアルバムチャートで上位に初登場することが予想されます。そして注目は収録曲「Like Crazy」のソングチャートにおける動向です。

『FACE』には「Like Crazy」のオリジナルバージョンのみならず”English Version”も含まれることに注目。米ビルボードやグローバルのソングチャートでは言語の違いが合算されることから、同曲がソングチャートでも上位に進出することが予想されます。さらにこの曲は3月26日、先述した2バージョンに加えて2つのリミックスおよびインストゥルメンタルを加えた5曲入りEPとしても登場しました。

ソングチャートを予想する複数の方が、次週4月8日付の米ビルボードソングチャートでJIMIN「Like Crazy」がトップ10入りすると記しています。

前者のツイートにおける「Like Crazy」のダウンロード指標10万超えという予想については、歌手側のホームページにおける展開がその基になっていると思われます。

上記はhttps://www.bts-official.us/collections/jiminにおける、日本時間3月29日5時の時点での「Like Crazy」の販売内容一覧(URLの掲載は米での施策を紹介するため)。「Like Crazy」はフィジカルがリリースされ、またデジタルは通常0.99~1.29ドルのところ0.69ドルで安価販売されており、これがダウンロード指標の好調につながることが考えられます。

BTSのメンバーによるソロ曲が米ビルボードソングチャートでトップ10入りするならば初の事態となるため、まずはチャートの結果を注視しましょう。

 

 

さて、BTSのメンバーによるソロ曲すべて、米ビルボードソングチャートにおける初登場時が最高位となっていることが個人的には気になっています。

ビルボードソングチャートには3つの指標があり、接触指標群のストリーミングおよびラジオがヒットの大きな要因となります。ただしデジタルのストリーミングがロケットスタートを切りやすいのとは反対に、ラジオはリリースから1ヶ月でトップ10入りすることは稀といえるくらい、緩やかに上昇します。

ゆえに同じくロケットスタートを切りやすいダウンロードを武器にソングチャートに登場しても、デジタルを維持できず、またラジオの盛り上がりも叶わなければ、登場2週目以降のダウンは免れません。この軌道については、指標構成等は異なるもののグローバルチャートでも似ていると言えます。

 

その中にあって、K-POPのガールズグループは接触指標群が充実し徐々に上昇する傾向が目立ち始めてきたことを以前お伝えしてきました(上記ブログエントリー参照)。そして最新4月1日付米ビルボードソングチャートでは、FIFTY FIFTY「Cupid」が100位に初登場を果たしています。

FIFTY FIFTY「Cupid」は最新の米ビルボードソングチャートでストリーミングが前週比23%アップの570万を記録。グローバルチャートではGlobal 200で106→65位(ストリーミングは前週比39%アップの2290万)およびGlobal Excl. U.S.では119→69位に上昇し、TikTokがヒットの背景にあることが上記ツイート内リンク先の記事にて紹介されています。

「Cupid」はオリジナルバージョンに加えて、英語版”Twin Ver.”も2月24日にリリースされていたことから、この曲がチャートを徐々に駆け上がってきたことが解ります。

 

 

K-POPグループはBTSやBLACKPINKのように初週セールスやストリーミングが高い傾向にある歌手が目立っていた印象ながら、最近ではNewJeansに代表されるように、特にガールズグループにおいて接触指標群が好調をキープしグローバルチャートで上位にとどまる、また米ビルボードソングチャートでも複数週ランクインする傾向がみられています。

最良のチャートアクションはダウンロードで強さを発揮しつつストリーミングを高く維持し、ラジオを軌道に乗せることできちんと結果を出すという、パイオニアと新興勢力の動向のいいとこ取りにあるといえるでしょう。NewJeans、そしてFIFTY FIFTYの今後の動向次第ではK-POP全体が米でさらに浸透し、理想の軌道に近づいていくものと考えます。