米ビルボードによる5月27日付のグローバルチャートにて、K-POP女性ダンスボーカルグループのFIFTY FIFTYによる「Cupid」がGlobal 200で2位、Global Excl. U.S.では初の首位を獲得しています。こちらについては昨日のエントリーでも紹介しました。
そして「Cupid」は最新の米ビルボードソングチャートにおいてもK-POP界の新風と成っています。同曲がK-POP女性歌手における最長チャートインを果たしたことが(米ビルボードによる公式アナウンスではありませんが)発表されています。
FIFTY FIFTY's "Cupid" is now the longest charting song by a female K-Pop act on the Hot 100, surpassing @BLACKPINK and @selenagomez's "Ice Cream". pic.twitter.com/PzEbYBDr3y
— chart data (@chartdata) 2023年5月23日
FIFTY FIFTY「Cupid」は米ビルボードソングチャートにおいて4月1日付にて100位に初登場を果たすと、その後は94→85→60→50→41→19→17→18位と推移。最新チャートでは初めてランクダウンしているものの、赤丸がついており勢いが衰えたわけではありません。そして「Cupid」は、BLACKPINK ＆ セレーナ・ゴメス「Ice Cream」を抜きK-POP女性歌手として最長となる9週目のランクインを果たしています。
上記は5月27日付までのBLACKPINKにおける米ビルボードのチャートヒストリー。表は最長チャートイン数(WKS ON CHART)を主軸に掲載されており、セレーナ・ゴメスとの「Ice Cream」は8週エントリーであることが解ります。
加えて、BLACKPINKにおいて特徴的なのは、初登場週(DEBUT DATE)と最高位獲得週(PEAK DATE)がランクインした9曲すべてにおいて同一ということです。
米ビルボードソングチャートは接触を示すストリーミングおよびラジオ、所有を示すダウンロードの3指標で構成され、コアファンが多く熱量が高い歌手ほど初週のストリーミングやダウンロードが高くなり好位置で初登場する傾向にあります。他方ストリーミングが維持されず、またロケットスタートを切りにくいラジオで上昇しなければロングヒットすることは難しく、登場2週目において急落もみられます。
世界規模でも活躍するK-POPアクトのBTSにおける、米ビルボードソングチャートのチャートヒストリーを上記に掲載(4週未満のチャートイン曲についてはリンク先をご参照ください)。上記掲載分では2曲を除き、初登場週と最高位獲得週(1位については初の首位獲得週)が同一となっています。
この中で31週ランクインを記録したジョーシュ・シックスエイトファイヴ × ジェイソン・デルーロ 「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」については、BTSの名はありません。しかしこの曲はヒットの最中にBTSを迎えたリミックスを用意し、特にダウンロード指標を大きく上昇させたことで同曲初の首位に至っています。
一方で「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」のBTS参加版が初加算された2020年10月17日付では、ラジオ指標が上昇していません。加えて所有指標は最も失速しやすいこともあり翌週の米ビルボードソングチャートでは同曲が6位に後退、その下落幅は大きくなっています。またキャリア史上最長首位となる「Butter」についても所有指標の強さが大きく影響し、首位10週獲得曲が100位以内登場20週というのは極端と言える状況です。
BLACKPINKやBTSとFIFTY FIFTYとではリリース時の知名度の差、コアファンの数や熱量の差がチャートアクションに反映され、前者は初登場時から好位置にランクインしていることが考えられます。しかしながら重要なのはビルボードジャパン同様、最高位以上にロングヒットし、年間チャートでも上位に進出することだと考えます。
BLACKPINK ＆ セレーナ・ゴメス「Ice Cream」とFIFTY FIFTY「Cupid」では、最高位が共にトップ20内となっていながら、その中身をみれば大きく異なることが解ります。この見極めこそ重要です。
BLACKPINKやBTSがK-POP人気をグローバルに押し上げた功績は素晴らしい一方、チャートアクションをみれば特に米において真の社会的ヒットに至っていると断言するのは難しいというのが厳しくも私見です。FIFTY FIFTY「Cupid」は米チャートでまだ2ヶ月のランクインにとどまるものの、この曲がトップ10入りを果たし、また半年ほどチャートインを続けるならば、米でのK-POP自体の評価や位置付けも変わるかもしれません。
