イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンのGYAO!集計終了を機に、テレビパフォーマンス映像の動画公開方法を今一度考える

最新3月15日公開分のビルボードジャパンソングチャートにおいて、GYAO!が動画再生指標の加算対象から外れました。これはGYAO!が3月31日にて終了することに伴うものです。

動画再生指標の加算対象からGYAO!が外れることの影響はそこまで大きくはないと捉えていますが、注視は必要と考えます。

 

GYAO!についてはサービス自体の終了がチャートポリシー(集計方法)の変更に影響しています。一方、YouTubeにおいて公式アカウントを持つ番組が終了した場合、そのアカウント発の動画はどうなるのかがふと気になった次第です。

 

日本テレビの朝の情報番組『スッキリ』(月-金 8時)が今月終了することを受けて、この番組のYouTubeアカウント(→こちら)の行方に注目しています(ともすれば既に言及されているかもしれませんが)。『スッキリ』は朝の情報番組では歌手による生パフォーマンスが多く、またその模様が時折YouTubeアーカイブ化されるゆえ、番組終了に伴いアカウントがなくなり動画も消えるのではないかと懸念する自分がいます。

上記キャプチャは番組YouTubeアカウントの動画一覧(3月18日21時30分現在)。BE:FIRST等一部歌手のパフォーマンス映像についてはこのYouTubeアカウントにもアップされていますが、これらが消える可能性も考えられます。

 

この懸念を解決すべく、日本のテレビパフォーマンスの動画化については海外の手法を採ることを提案します。

たとえば米では音楽や情報番組、音楽賞のパフォーマンスは歌手側の公式YouTubeアカウントでアップされることが多い状況です。今年のグラミー賞はアップまでにタイムラグがあったと感じていますが、しかしきちんとアップされています。歌手の公式アカウントでアップすれば、番組の終了が影響を及ぼすことはそこまでないはずです。

(グラミー賞では賞側の公式YouTubeアカウントにてアップされたパフォーマンス動画もありますが、グラミー賞が終わることはほぼあり得ないと考えれば動画は残ることでしょう。)

また韓国において、たとえばBTSの公式YouTubeアカウントでは「Dynamite」の、日本を含む各国でのテレビパフォーマンスが残っている状況です。下記キャプチャはこちらで確認可能です。

 

日本でも海外的なアプローチを実施する歌手がいらっしゃるかもしれませんが、【パフォーマンス動画が披露した番組や放送局のYouTubeアカウントからアップされる】【アップされても期間限定である(ことが少なくない)】そして下記エントリーで紹介したように【そもそも見逃し配信自体が十分ではない】状況ならば、J-POPのグローバルヒットにおいてパフォーマンス動画が貢献しにくいと言えるしょう。

上記エントリーで取り上げたReal Soundでの『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)制作者インタビューからは、見逃し配信が権利の整備、レコード会社ならびに歌手側の熱意や要望に伴い(一部歌手を除き)可能になったことが解ります。ここから先、パフォーマンス動画が常時残るようにするためには権利を歌手側に譲渡することも検討する必要があるでしょう。配信終了後の移譲が可能ならばひとつの案として有効かもしれません。

テレビ番組でのパフォーマンス動画を歌手側の公式YouTubeアカウントに移譲することについては番組や放送局側の抵抗が大きいかもしれませんが、K-POPではそれができていることからJ-POPでも不可能ではないと考えます。

 

歌手側の公式YouTubeアカウントでパフォーマンス動画を発信することを推奨する理由のひとつは、現状のアップ方法ではビルボードジャパンソングチャートの動画再生指標でプラスになりにくいと考えるためです。

番組や放送局のYouTubeアカウントでは動画にISRC(国際標準レコーディングコード)が付番されないことが少なくないと感じています。ISRC付番された動画はビルボードジャパンソングチャートの動画再生指標のカウント対象となりますが、嵐「カイト」やFoorin「パプリカ」、8LOOM「Melody」等、放送局アカウント発の動画については欠測が続いていました。

加えて動画再生指標においては、現在では公式動画のみがカウント対象となっています。ともすれば番組や放送局によるYouTubeアカウント発の動画が公式とみなされない可能性もあるかもしれません。その点においても動画管理を歌手側に委ねることができるならば、欠測を解消させ、より大きなヒットに結びつけることができると考えます。

 

 

日本のエンタテインメント業界とメディアが、J-POPのより大きなヒットのために、そして音楽業界の未来が開かれたものにするために、パフォーマンスの動画化を世界基準に合わせることを願います。そして開かれるためにどうするか考えることは、業界に根付く不条理の解消にもつながっていくことでしょう。