イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【海外ビルボード】ジャック・ハーロウ、バッド・バニーの勢いが際立つチャート、リゾが米トップ10入り

現地時間の5月16日月曜に発表された最新5月21日付米ビルボードソングスチャート(Hot 100)。ジャック・ハーロウ「First Class」が首位の座に返り咲きました。またバッド・バニーが4曲、初登場でトップ10位入りを果たしています。

ジャック・ハーロウ「First Class」はストリーミングが前週比21%アップの3110万(同指標2位)、ダウンロードが同14%アップの8000(同指標7位)、ラジオが同31%アップの4790万(同指標8位)を獲得しています。

記事には書かれていませんが、最新の米ビルボードアルバムチャートで『Come Home the Kids Miss You』が3位に初登場したこと、また今回の集計期間内に上記ミュージックビデオが公開されたことが、4月23日付での初登場首位獲得以来となる返り咲きに大きく貢献したものと思われます。米ビルボードアルバムチャート、およびミュージックビデオ公開については下記をご参照ください。

 

ハリー・スタイルズ「As It Was」が2位をキープ。ストリーミングは前週比9%ダウンの2320万、ダウンロードは同54%ダウンの7500、ラジオは同12%アップの6590万を獲得。ダウンロードはジャケット違いバージョンのデジタルリリースに基づき急上昇した前週の反動が出ていますが、ラジオについては「Adore You」および「Watermelon Sugar」(共に最高2位)を上回り、自身初の首位を獲得しています。

前週初登場で首位を獲得したフューチャー feat. ドレイク & テムズ「Wait For U」は3位に後退。ストリーミングは前週比21%ダウンとなりましたが、3150万を獲得し同指標2週目の首位を獲得しています。

 

バッド・バニーがトップ10内に4曲を、いずれも初登場で送り込みました。これは最新の米ビルボードアルバムチャートで『Un Verano Sin Ti』が初登場で首位を獲得(さらには今年最大のユニット数を記録)したことに伴うもので、「Moscow Mule」が4位、「Tití Me Preguntó」が5位、「Después De La Playa」が6位、チェンチョ・コルレオーネをフィーチャーした「Me Porto Bonito」が10位にランクイン。ストリーミングはそれぞれ3040万、2510万、2490万および2370万となっています。

プエルトリコ出身のバッド・バニーは今回の4曲初登場により、トップ10ヒットが8曲に。カーディ・B、J. バルヴィンと共演した「I Like It」が2018年7月に首位、ドレイクをフィーチャーした「MIA」が同年10月に5位、ジェイ・コルテスとの「Dákiti」が2020年12月に5位、「Yonaguni」が2021年6月に10位を記録しています。なおチェンチョ・コルレオーネは今回初のトップ10入りを果たしました。

4曲以上をトップ10内に同時初登場させたのはバッド・バニーが6組目。これまでドレイク(2018年7月14日付)、リル・ウェイン(2018年10月13日付)、ジュース・ワールド(2020年7月25日付)、J. コール(2021年5月29日付)、フューチャー(2022年5月14日付)が4曲同時トップ10内初登場の記録を持つほか、ドレイクに至っては2021年9月18日付において9曲同時にトップ10内に送り込んでいます。

また米ビルボードソングスチャート63年の歴史の中で、スペイン語曲がトップ10内に4曲同時ランクインしたのは今回が初となります。

 

リゾ「About Damn Time」が10ランク上昇し9位に。4月30日付で50位に初登場したこの曲は翌週60位に後退するも、TikTokで踊ってみた動画がバイラルヒットし上昇を果たしました。ストリーミングは前週比50%アップの1690万(同指標15位)、ダウンロードは同72%アップの17500(同指標3位)となり、トップストリーミングゲイナーおよびトップセールスゲイナーを獲得。ラジオは前週比32%アップの2100万となり28位につけました。

リゾは「About Damn Time」で、「Truth Hurts」(2019年9月から7週1位)、「Good As Hell」(同年11月 3位)、カーディ・Bを招いた「Rumors」(2021年8月 4位)に続く4曲目のトップ10ヒットとなりました。

なお記事にはありませんが、このブログではリゾ「About Damn Time」のTikTokヒットについて、今月頭に取り上げています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (3位) ジャック・ハーロウ「First Class」

2位 (2位) ハリー・スタイルズ「As It Was」

3位 (1位) フューチャー feat. ドレイク & テムズ「Wait For U」 

4位 (初登場) バッド・バニー「Moscow Mule

5位 (初登場) バッド・バニー「Tití Me Preguntó」

6位 (初登場) バッド・バニー「Después De La Playa」

7位 (5位) グラス・アニマルズ「Heat Waves

8位 (6位) ラトー「Big Energy」

9位 (19位) リゾ「About Damn Time」

10位 (初登場) バッド・バニー feat. チェンチョ・コルレオーネ「Me Porto Bonito」

『Un Verano Sin Ti』が最新米ビルボードアルバムチャートを制したことで、バッド・バニーはソングスチャート100位以内に22曲を送り込んでいます。

一組の歌手による100位以内同時ランクイン曲数では、今回のバッド・バニーによる22曲は歴代6位タイに。ドレイクが2018年7月14日付で記録した27曲が過去最高となります。

また『Come Home the Kids Miss You』が最新米ビルボードアルバムチャートで3位に初登場を果たしたジャック・ハーロウは、ソングスチャート100位以内に8曲を送り込みました。

その他、モーガン・ウォレン「Thought You Should Know」が12位、ケンドリック・ラマー「The Heart Part 5」が15位に初登場。ケンドリック・ラマーは『Mr. Morale & the Big Steppers』が次週のアルバムチャートに初登場することから、ソングスチャートの動向も注目です。

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。5月21日付ではハリー・スタイルズ「As It Was」が双方のチャートで6週連続の首位を獲得、またバッド・バニーが双方のチャート共に7曲をトップ10内に送り込んでいます。

ハリー・スタイルズ「As It Was」はGlobal 200においてストリーミングが前週比7%ダウンの9240万、ダウンロードが同9%ダウンの15600を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比6%ダウンの7040万、ダウンロードが同6%ダウンの8200を、それぞれ記録しています。

「As It Was」はGlobal 200において、イギリス出身の歌手による作品ではアデル「Easy On Me」(2021年10月以降)およびグラス・アニマルズ「Heat Waves」(2022年3月以降)に並び最長記録となる6週首位を獲得。なおこのチャートにおける最長記録はオーストラリア出身のザ・キッド・ラロイとカナダ出身のジャスティン・ビーバーによる「Stay」が2021年8月以降に記録した11週となります。

 

バッド・バニーはGlobal 200、およびGlobal 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.双方で7曲をトップ10内に、いずれも初登場で送り込みました。アルバム『Un Verano Sin Ti』収録曲では共に「Moscow Mule」が最高位となり、Global 200ではストリーミング9720万およびダウンロード1600を、Global Excl. U.S.ではストリーミング6760万およびダウンロード400を獲得し、いずれも2位となっています。

Global 200においてはチェンチョ・コルレオーネをフィーチャーした「Me Porto Bonito」が4位(ストリーミング7030万およびダウンロード1100)、「Tití Me Preguntó」が5位(ストリーミング6580万およびダウンロード900)をはじめ、ボンバ・エステレオを迎えた「Ojitos Lindos」が6位、「Después De La Playa」が7位、ラウ・アレハンドロを招いた「Party」が8位、ジェイ・コルテスをフィーチャーした「Tarot」が9位に、それぞれ初登場。Global Excl. U.S.ではボンバ・エステレオとの「Ojitos Lindos」が3位(ストリーミング5370万およびダウンロード300)、チェンチョ・コルレオーネとの「Me Porto Bonito」が4位(ストリーミング4690万およびダウンロード200)をはじめ、「Tití Me Preguntó」が6位、ラウ・アレハンドロとの「Party」が7位、「Después De La Playa」が9位、ジェイ・コルテスとの「Tarot」が10位に入っています。

バッド・バニーのグローバルチャートにおけるトップ10ヒットは、ふたつのチャート共に8曲目。これまではジェイ・コルテスとの「Dákiti」が双方のチャートで首位を獲得して以来となります(Global 200では2020年12月から3週、Global Excl. U.S.では2020年11月から5週)。Global 200ではラウ・アレハンドロおよびジェイ・コルテスは2曲目、チェンチョ・コルレオーネおよびボンバ・エステレオは初のトップ10ヒットに、またGlobal Excl. U.S.ではラウ・アレハンドロは3曲目、ジェイ・コルテスおよびチェンチョ・コルレオーネは2曲目、ボンバ・エステレオにとっては初のトップ10ヒットとなりました。

Global 200における7曲同時トップ10入りは過去2番目の記録。最高は2021年9月18日付におけるドレイクの8曲となります。一方Global Excl. U.S.での7曲同時トップ10入りは過去最多。これまではオリヴィア・ロドリゴ(2021年6月5日付)、ドレイク(2021年9月18日付)およびエド・シーラン(2021年12月18日付)の3曲が最高でした。