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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【海外ビルボード】米はジェイソン・アルディーンがトップとなり、カントリー曲が史上初のトップ3を占拠

現地時間の7月31日月曜に発表された、最新8月5日付米ビルボードソングチャート(集計期間:7月21~27日)。前週初登場で首位を獲得したジョングク(JUNG KOOK) feat. ラトー「Seven」は9位に後退し、同じく前週2位に初登場したジェイソン・アルディーン「Try That In A Small Town」が首位に到達しました。

(※注意:上記ミュージックビデオには過激な描写(後述する内容)が含まれます。)

ジェイソン・アルディーン「Try That In A Small Town」はストリーミングが前週比165%アップの3070万(同指標3位)、ダウンロードが同23%ダウンの175,000(同指標首位)、ラジオが同21%アップの880万(同指標50位未満)をそれぞれ記録。ダウンロード指標ではキャリア2曲目の首位獲得となり、ラジオにおいてはカントリーエアプレイにて25位につけています。

「Try That In A Small Town」は前週ダウンロードが228,000を記録し、カントリー曲としてはフロリダ・ジョージア・ライン feat. ネリー「Cruise」が2013年7月6日付にて記録した244,000以来、およそ10年ぶりとなる高水準を記録していました。

5月にリリースされていた「Try That In A Small Town」がなぜこのタイミングにて上昇したかについては、私見も最後に添える形で前週水曜のブログエントリーで紹介しています(上記参照)。その後7月21日に行われたコンサートにて、ジェイソンはこの曲やミュージックビデオにおける両極の反応について、以下のように語っています。

”この1週間は長かったし、僕がこうだとか、ああだとか、いろんなことを見てきました。誰もが自分の意見を持つ権利があると思います。何かを思うのは勝手ですが、それが真実とは限りません。私は誇り高きアメリカ人です。国を愛し、家族を愛し、それを守るためなら何でもします。”

(上記はDeepL翻訳を用いて、一部語尾等を変えて掲載しています。)

ジェイソン・アルディーンにとって、「Try That In A Small Town」は2015年8月13日付で「Hicktown」が初登場して以来、キャリア40曲目のソングチャートランクインにして初の首位獲得曲となりました。トップ10ヒットはリュダクリス参加版リミックスも相まって「Dirt Road Anthem」が2011年7月に7位を記録して以来、2曲目です。

ソングチャート100位以内初登場から首位獲得までの期間(17年11ヶ月と3週)は、ビリー・レイ・サイラスが「Achy Breaky Heart」(1992)からリル・ナズ・Xに客演参加した「Old Town Road」(2019)までの26年と11ヶ月以来となる長期期間となります。この記録の最長保持者はサンタナで、「Jingo」(1969)からロブ・トーマスを迎えた「Smooth」(1999)までの30年2日弱となります。

また「Try That In A Small Town」をリリースしたレーベル、ブローケン・ボウ・レコード(現在の名称はBBRミュージックグループ)においても1999年の設立以来初の首位獲得作品を獲得。これまでのトップ10ヒットには先述した「Dirt Road Anthem」があります。

ジェイソン・アルディーン「Try That In A Small Town」は米ビルボードソングチャートと計算方法を同一とするホットカントリーソングチャートでも2週目の首位に。このチャートにおけるジェイソン・アルディーンの首位獲得は2014年の「Burnin' It Down」以来10曲目(最初の首位獲得は2006年5月の「Why」)、またトップ10ヒットは37曲となりました。ジェイソンは2005年の「Hicktown」以降このチャートのトップ10に毎年送り込んでおり、ホットカントリーソングチャートにおけるトップ10ヒット輩出の最長記録保持者となります。

<米ビルボードソングチャートおよびホットカントリーソングチャート双方を制した曲>

・ジェイソン・アルディーン「Try That In A Small Town」(2023)

モーガン・ウォレン「Last Night」(2023)

テイラー・スウィフト「All Too Well (Taylor's Version)」(2021)

テイラー・スウィフト「We Are Never Ever Getting Back Together」(2012)

ローンスター「Amazed」(1999-2000)

ケニー・ロジャース duet with ドリー・パートン「Islands In The Stream」(1983)

・エディ・ラビット「I Love A Rainy Night」(1981)

ドリー・パートン「9 To 5」(1981)

ケニー・ロジャース「Lady」(1980)

グレン・キャンベル「Southern Nights」(1977)

・C.W.マッコール「Convoy」(1975-1976)

ジョン・デンバー「I'm Sorry」(1975)

グレン・キャンベル「Rhinestone Cowboy」(1975)

ジョン・デンバー「Thank God I'm A Country Boy」(1975)

・フレディ・フェンダー「Before The Next Teardrop Falls」(1975)

・B.J.トーマス「(Hey Won’t You Play) Another Somebody Done Somebody Wrong Song」(1975)

・チャーリー・リッチ「The Most Beautiful Girl」(1973)

・ボビー・ゴールズボロ「Honey」(1968)

・ジミー・ディーン「Big Bad John」(1961)

マーティ・ロビンス「El Paso」(1959-1960)

・ジョニー・ホートン「The Battle Of New Orleans」(1959)

上記21曲のうち12曲は1973-1983年に集中しています。またグレン・キャンベルジョン・デンバードリー・パートンケニー・ロジャースおよびテイラー・スウィフトは2曲を、双方のチャートで首位に送り込んでいます。

 

モーガン・ウォレン「Last Night」が1ランクアップし2位に。今年度のソング・オブ・ザ・サマーチャート(Songs Of The Summer)においては開始から9週連続で首位に立っています。またトレイシー・チャップマンのカバーとなるルーク・コムズ「Fast Car」は4→3位に上昇し、ホットカントリーソングチャートでトップ3に入った曲が総合ソングチャートでトップ3を独占しました。これは米ビルボードソングチャートが1958年8月にスタートして以来、65年の歴史において初となります(なおホットカントリーソングチャートの算出方法が総合ソングチャートと統一されたのは2012年10月以降となります)。

ビルボードが7月6日に報じたところによると、カントリージャンルの米における消費量は今年急成長しており、2023年の前半26週分においては前年比20.3%アップしています。これは前年同時期の2.5%アップに比べても飛躍的であることが解ります。

 

ガンナ「Fukumean」は6→4位となり、リル・ベイビーと共演した「Drip Too Hard」(2018年10月 4位)でのキャリア最高位に並びました。またレマ &セレーナ・ゴメス「Calm Down」は総合5位をキープ。ラジオは前週比2%ダウンの9070万を記録し、同指標6週目の首位を獲得しています。

 

ラヴィス・スコット、バッド・バニー & ザ・ウィークエンド「K-POP」が7位に初登場。ストリーミング1940万(同指標6位)、ダウンロード35,000(同指標3位)およびラジオ1060万(同指標50位未満)を記録しています。ダウンロードにおいてはレコードを10ドル、CDを3.50ドルで販売し、デジタルではオリジナルバージョンのほかエクスプリシット、インストゥルメンタル、スピードアップ版および”Chopped & Screwed”バージョンを、いずれも0.69ドル(69セント)にて販売しています。

K-POP」はトラヴィス・スコットにとって12曲目、バッド・バニーは11曲目、ザ・ウィークエンドは17曲目となるトップ10ヒットをもたらしています。同曲は次週のアルバムチャートで初登場予定となるトラヴィスのアルバム『Utopia』(7月28日リリース)に収録されています。

ニッキー・ミナージュ & アイス・スパイス with アクア「Barbie World」が27→8位に上昇。ストリーミングは前週比87%アップの2320万(同指標4位)、ダウンロードは同167%アップの6,000(同指標8位)、ラジオは同51%アップの1360万(同指標46位)を記録しています。同曲は集計期間初日に公開された映画『バービー』のサウンドトラックに収録され、7月8日付で7位に初登場を果たしていました。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) ジェイソン・アルディーン「Try That In A Small Town」

2位 (3位) モーガン・ウォレン「Last Night」

3位 (4位) ルーク・コムズ「Fast Car」

4位 (6位) ガンナ「Fukumean」

5位 (5位) レマ & セレーナ・ゴメス「Calm Down」

6位 (8位) テイラー・スウィフト「Cruel Summer」

7位 (初登場) トラヴィス・スコット、バッド・バニー & ザ・ウィークエンド「K-POP

8位 (27位) ニッキー・ミナージュ & アイス・スパイス with アクア「Barbie World」

9位 (1位) ジョングク feat. ラトー「Seven」

10位 (7位) オリヴィア・ロドリゴ「Vampire」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。8月5日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共に、前週初登場で首位を獲得したジョングク feat. ラトー「Seven」が連覇を達成しています。

ジョングク feat. ラトー「Seven」はGlobal 200においてストリーミングが前週比30%ダウンの1億5210万を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比29%ダウンの1億3810万を記録しています。なお双方共、ダウンロード指標の記載はありません。

ジェイソン・アルディーン「Try That In A Small Town」はGlobal 200で2位をキープ。ストリーミングは前週比177%アップの3080万を記録しています。

ラヴィス・スコット、バッド・バニー & ザ・ウィークエンド「K-POP」はGlobal 200で5位に初登場。ストリーミング5320万、ダウンロード14,000をそれぞれ記録し、トラヴィスは5曲目、バッドは15曲目、ザ・ウィークエンドにおいては10曲目のトップ10入りとなりました。一方でGlobal Excl. U.S.においては同曲が、ストリーミング3410万、ダウンロード1,000をそれぞれ記録し6位に初登場。トラヴィスはこのチャート3曲目、バッドは最高記録となる15曲目、そしてザ・ウィークエンドは8曲目のトップ10ヒットに至っています。

映画『バービー』サウンドトラックから、Global 200で3曲がトップ10入り。ニッキー・ミナージュ & アイス・スパイス with アクア「Barbie World」は28→6位、ビリー・アイリッシュ「What Was I Made For?」は18→7位、デュア・リパ「Dance The Night」は27→8位にいずれも上昇しています。これは集計期間初日に映画が公開されたことに伴うもので、ストリーミングは順に5230万(前週比101%アップ)、4770万(同45%アップ)および4660万(同83%アップ)を記録。ニッキー、アイスおよびデュアは3曲目、アクアは初、ビリーは4曲目のトップ10ヒットとなりました。

Global Excl. U.S.においても、『バービー』サウンドトラックからデュア・リパ「Dance The Night」が上昇し、24→5位に。ストリーミングは前週比77%アップの3330万を記録しています。またビリー・アイリッシュ「What Was I Made For?」は19→7位となり、ストリーミングは前週比44%アップの3170万を記録。双方とも4曲目のトップ10ヒットに至っています。

NewJeans「ETA」がGlobal Excl. U.S.で4位に初登場。ストリーミング3860万、ダウンロード3,000をそれぞれ記録しています。NewJeansはこのチャートで4曲目のトップ10ヒットとなり、同チャートで今週2位(Global 200では3位)に入った「Super Shy」共々、7月21日にリリースされたEP『Get Up』に収録されています。