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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(訂正あり) 【海外ビルボード】BTS「Butter」が米チャート返り咲き、カニエ・ウェストが大量エントリーを達成

(※追記(9月28日):弊ブログにてこれまで、「Industry Baby」の表記をリル・ナズ・X feat. ジャック・ハーロウと表記しておりましたが、正しくはリル・ナズ・X & ジャック・ハーロウでした。訂正してお詫びいたします。)

 

 

 

最新米ビルボードおよびグローバルチャートの速報をお伝えします。

現地時間の9月6日月曜が祝日のため、翌7日に発表された最新9月11日付米ビルボードソングスチャート(Hot 100)。BTS「Butter」が通算10週目の首位に返り咲きました。

前週の7位から首位に返り咲いたBTS「Butter」。ストリーミングは前週比110%アップの1070万(同指標35位。前週の50位未満より返り咲き)、ラジオは同39%ダウンの1220万(同指標50位未満)、ダウンロードは同108%アップの143000(同指標1位)となりました。集計期間初日となる8月27日金曜にメーガン・ザ・スタリオンを迎えたリミックスが解禁された効果が反映されています。

一方でメーガン・ザ・スタリオンのクレジットはストリーミング指標のみに登場。総合チャートでは3指標の合計ポイントにおけるメーガン参加版がオリジナルバージョンおよび他のリミックスの合計分を上回らなかったために単独クレジットとなっている一方、ストリーミングではメーガン参加版が他バージョンを上回ったことでこの現象が発生しています。

今回の返り咲きにより、「Butter」は通算10週目の首位に。ロディ・リッチ「The Box」(2020 11週首位獲得)以来1年半ぶりに10週以上首位獲得曲が誕生しました。米ビルボードソングスチャート63年の歴史においてちょうど40曲目の達成となります。

 

4週連続で首位を獲得していたザ・キッド・ラロイ with ジャスティン・ビーバー「Stay」は2位に交代。ラジオは4週連続でトップエアプレイゲイナーを獲得し前週比15%アップの7180万を記録、同指標6→4位に上昇しています。

そのラジオで新たな首位の座に就いたのはエド・シーラン「Bad Habits」(総合3位)。前週比3%アップの7580万となり、「Shape Of You」(2017 12週)、「Perfect」(2018 9週)、ジャスティン・ビーバーとの「I Don't Care」(2019 1週)に続き4曲目となる同指標制覇となりました。

 

『Donda』が今週の米ビルボードアルバムチャートを制したカニエ・ウェストが大量エントリーを達成しています。

6位に「Hurricane」、10位には「Jail」が初登場。ストリーミングでは前者が2900万を記録し同指標制覇、後者が2420万で3位に。これによりカニエ・ウェストのトップ10獲得曲数は20曲となり、20曲以上トップ10入りを果たした21組目の歌手となりました。

(なお「Hurricane」にはザ・ウィークエンドとリル・ベイビーが、「Jail」にはジェイ・Zとフランシス・アンド・ザ・ライツが参加していますが曲には正式クレジットされていないため、カニエ単独でのエントリーとなります。)

『Donda』の初登場に伴い、100位以内ではアルバム収録の23曲が登場しています。

これによりカニエ・ウェストのソングスチャート100位以内エントリーは133曲に。ドレイク(237曲)、グリー・キャスト(207曲)、リル・ウェイン(175曲)、テイラー・スウィフト(137曲)に次ぐ歴代5位に達しています。またカニエはトップ40内に通算68曲を送り込み、ドレイク(122曲)、リル・ウェイン(86曲)、エルヴィス・プレスリーおよびテイラー・スウィフト(共に80曲)に続き、こちらでも歴代5位となりました。

カニエ・ウェストは100位以内同時エントリー記録で歴代4位に。上位3週分はすべてドレイクが記録していますが、今回の大量エントリーに伴い、リカレントルールの適用を受けてチャートから消えた曲があります。

ビルボードソングスチャートでは新陳代謝を目的に、一定週数以上ランクインした曲が一定の順位を下回るとチャートから姿を消すリカレントルールを設けています。設定基準のひとつが、52週を超えてランクインした曲が25位を下回った場合。

ブログエントリーで予想した通り、前週20位のザ・ウィークエンド「Blinding Lights」はカニエ・ウェストの大量エントリーに押し出される形でリカレントルールが適用され、チャートから姿を消しました。「Blinding Lights」は100位以内エントリーが90週で終了しましたが、歴代最長記録を達成しています。

 

ウォーカー・ヘイズ「Fancy Like」が11→9位に上昇し、登場11週目でキャリア初となるトップ10入りを達成しました。ストリーミングは前週比9%アップの1740万、ラジオは同21%アップの1220万、ダウンロードは同43%アップの29400を記録しています(記事には各指標の順位は未記載)。

「Fancy Like」はTikTokで人気に火が付いた後、歌詞に登場する米のファミレスチェーン、アップルビーズがコマーシャルソングに選出。CMが8月23日に公開されたことで人気が加速し初のトップ10入りに至っています。バイラルヒットとなった件についてのウォーカー・ヘイズへのインタビュー動画は下記に。ちなみに、ウォーカーや家族が好きなメニューに挙げ、歌詞にも登場するオレオシェイクがアップルビーズで期間限定にて復活しています。

ウォーカー・ヘイズが所属するモニュメント・レコード発の作品がトップ10入りを果たしたのは、同レーベルがソニー・ミュージックの手により再開に至った2017年以降では初となります。

さらに注目すべきは、ザ・キッド・ラロイ & マイリー・サイラス「Without You」が登場22週目となる5月15日付で23→8位に上昇しトップ10入りして以来、ウォーカー・ヘイズ「Fancy Like」が初登場以外でトップ10入りを果たしたことにあります。「Without You」の前にはマスクド・ウルフ「Astronaut In The Ocean」が4月17日付、登場8週目にて2ランクアップし10位に到達していますが、5月15日付以降最新週に至るまで、今回のカニエ・ウェストの2曲を含めた20曲が初登場でトップ10入りを果たしています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (7位) BTS「Butter」

2位 (1位) ザ・キッド・ラロイ with ジャスティン・ビーバー「Stay」

3位 (2位) エド・シーラン「Bad Habits」

4位 (3位) オリヴィア・ロドリゴ「Good 4 U」

5位 (4位) ドージャ・キャット feat. シザ「Kiss Me More」 

6位 (初登場) カニエ・ウェスト「Hurricane」

7位 (5位) リル・ナズ・X & ジャック・ハーロウ「Industry Baby」

8位 (6位) デュア・リパ「Levitating」

9位 (11位) ウォーカー・ヘイズ「Fancy Like」

10位 (初登場) カニエ・ウェスト「Jail」

 

 

昨年秋に新設されたグローバルチャート速報。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。9月11日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にザ・キッド・ラロイ with ジャスティン・ビーバー「Stay」が制覇。Global 200は通算6週目、Global Excl. U.S.においては4連覇を達成しています。

「Stay」はGlobal 200にてストリーミングが前週比1%アップの1億2570万、ダウンロードが同1%アップの24700を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比3%アップの9770万、ダウンロードが同7%アップの11600を記録しています。

Global 200においてはストリーミングが4週連続で1億回再生を突破(1億850万→1億2370万→1億2490万→1億2570万)。4週の1億超え達成はBTS「Butter」以来2曲目となりますが、4週連続での達成は「Stay」が初となります。

BTS feat. メーガン・ザ・スタリオン「Butter」がGlobal 200では14位から、Global Excl. U.S.では9位から、双方とも3位に上昇。前者ではストリーミングが前週比98%アップの7770万、ダウンロードが同466%アップの52900を、後者ではストリーミングが前週比96%アップの6720万、ダウンロードが同377%アップの24400を獲得しています。メーガン参加版がオリジナルバージョンや他のリミックスを上回ったことでクレジットは客演有り表記となっています。

カニエ・ウェストがアルバム『Donda』収録曲の「Hurricane」「Jail」そして「Off The Grid」をGlobal 200の5位、6位そして7位に送り込みました。ストリーミングはそれぞれ5220万、4270万および4200万を記録。カニエにとってGlobal 200でのトップ10入りは初となり、また同チャートでの3曲同時初登場はドレイク(3月20日付)、J.コール(5月29日付)以来3組目となります。

ドージャ・キャット「Woman」がGlobal Excl. U.S.で13→8位に上昇。ストリーミングは前週比12&アップの3720万、ダウンロードは同13%アップの1100を記録しています。ドージャ・キャットは同チャートにて、シザを招いた「Kiss Me More」(5月 5位)、「Need To Know」(9月4日付 10位)に続く3曲目のトップ10入りを果たしました。

 

 

さて来週は、ドレイクのニューアルバム『Certified Lover Boy』の収録曲が大量エントリーを果たすことが予想されます。またリミックス効果の反動でBTS「Butter」がどの位置に登場するかにも注目しましょう。