イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Spotifyにおける"50位の壁"、ビルボードジャパンソングスチャートへの反映具合を確認する

月曜のブログエントリーに沢山の反響をいただきました。心より感謝申し上げます。

Spotify急落についての疑問を提示した後に様々なご指摘をいただいたことで、急落さらには急浮上において50位の壁が大きいこと、それが急落においては自然なリカレントルール誕生という形に成ったことが判明。それゆえ、50位以内をキープすることが如何に重要であるかを説明しています。

 

では、Spotifyの動向は総合ソングスチャートにどのくらい影響を与えるでしょう。『Spotifyにおいて急落することは、総合面でもヒットから外れたと表現していいのかもしれません』と月曜に記載しましたが、果たしてその表現は的を射たものなのでしょうか。

ビルボードジャパンソングスチャートを構成する8指標のうち、Spotifyをはじめとするサブスクサービスの再生回数はストリーミング指標に反映されます。

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月曜のブログエントリーで取り上げた曲のうち、Spotifyで50位を行き来しなかった2曲を除く10曲についての表を上記に。6月分および8月22日付デイリーチャートの順位、そしてビルボードジャパンソングスチャート反映日(公開日付)を加えています。青は急落を、オレンジは急浮上を指していますが、この順位推移は総合チャートにどう影響を及ぼすでしょうか。

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結果は上記に。急落曲についてはストリーミング指標において9~24ランクダウンし、総合ではONE OK ROCK「Renegades」が上昇に転じていますが大半の曲はダウン。急浮上曲においては急落曲ほど順位変動は大きくないものの、少なからず影響を受けていることが解ります。

『LINE MUSICが若年層主体に流行を取り込む一方Spotifyでは定番曲がヒットしており、後者はいわば保守的と言えるかもしれません』と月曜のブログエントリーで記載しました。そのSpotifyで急落したとなると、サブスクサービス全体での勢いも大きくダウンすると言えそうです。Spotifyの推移は、特に急落曲において総合ソングスチャートにはっきり反映され、また急浮上曲への影響度も決して小さくはないのです。

 

 

となると、Spotifyデイリーチャートで50位前後の曲の推移を追いかけることが、次のヒットを知る上で重要となります。日本における最新8月25日付Spotifyデイリーチャートから注目曲を取り上げてみましょう。

MAISONdes feat. 和ぬか & asmi「ヨワネハキ」はTikTokでブレイク。ビルボードジャパンが先週金曜に発表したTikTok HOT SONG Weekly Rankingで3連覇を果たしており、本日発表の最新チャートに注目が集まります。

TikTokでの人気曲は動画再生やサブスク再生回数に反映され、総合チャートでも徐々に上昇する傾向があり、「ヨワネハキ」はビルボードジャパンソングスチャートで59→35→34位と推移しています。

その「ヨワネハキ」が今週水曜のTHE FIRST TAKEに登場しました。同日付Spotifyデイリーチャートでは前日より500回弱の微増にとどまっていますが、THE FIRST TAKEの公開時間を踏まえればやむを得ないかもしれません。しかしながらその最新チャートでは51位に上昇しています。木曜以降の動向に注目しましょう。

 

もう1曲はBE:FIRST「Shining One」。この曲は最新8月25日公開(8月30日付)ビルボードジャパンソングスチャートで2位に初登場を果たしています。

ストリーミング指標は強いものの、LINE MUSIC再生回数キャンペーンの影響が大きくSpotifyでは未だ50位以内に達していません。そのためキャンペーン終了後に急落する可能性も考えられ、他サービスも含めストリーミングを強化することが課題と言えます。

Spotifyでは8月16日月曜にピークを迎えながら21日土曜まで連日ダウンした「Shining One」。日曜に微増に転じると、そこから3日間で2万8千以上の上昇を果たし、最新8月25日付Spotifyデイリーチャートでは55位に達しています。

Spotifyでの上昇は、BE:FIRST結成後初となるパフォーマンスを『スッキリ』(日本テレビ)で披露したことが大きいと言えます。無論その反動が木曜以降に起こるかもしれませんが、『スッキリ』の公式YouTubeチャンネルでパフォーマンスの模様を公開しており、その浸透度合いによっては今後興味深い動きを示すかもしれません。

(個人的には、日本のテレビ番組におけるパフォーマンスがこれまできちんとアーカイブ化されなかった状況に違和感を覚え、ブログにて記載してきました。ゆえに今回のアーカイブ化を強く歓迎します。一方、この動画がBE:FIRSTの公式YouTubeチャンネルに掲載さていないこと、ISRCが付番されているかが不明な点において、ビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標でカウント対象外となる可能性を感じています。)

 

とはいえ、日本におけるSpotifyデイリーチャート、50位の壁は厚いと言えます。星野源「不思議」が8月19日付以降その50位の座に就いているのですが、直近5日間は51位との差が1万2千以上、最新8月25日付に至っては1万6千を超えているのです。「ヨワネハキ」にTHE FIRST TAKE効果が加算され、「Shining One」に『スッキリ』YouTube公開効果が表れる8月26日付デイリーチャートに注目しましょう。