イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ロード、yama、平井大、スピッツ…アルバムや曲がCDとして手に入らない/入りにくいという状況を考える

ロードが昨日、アルバム『Solar Power』をリリースしました。しかしこの作品はCD化されていません。そして彼女の信念を踏まえれば、CD化はあり得ないでしょう。

全12曲で構成されている本作に加え、環境に配慮したCDの入っていないミュージック・ボックスおよびデラックス盤のアナログ・レコードにはボーナス・トラック2曲も含まれていることが記載されている。

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海外ではフィジカル自体リリースしない、もしくはLPは発売してもCDは出さない方が少なくありません。ロードは『Solar Power』をLPおよびミュージック・ボックスにてリリースするものの、環境に配慮してCDは出さないことを選択しています。

 

CDを出す国は最早少なくなった中、日本は今もきちんとCDをリリースしてはいます。しかし曲単位となると、状況は異なると言えそうです。

一昨日放送の『スッキリ』にyamaさんが出演。そのタイミングで所属レコード会社がツイートを発信しているのですが、気になることが。

yamaさんが9月1日にリリースするファーストアルバム『the meaning of life』には「春を告げる」のTHE FIRST TAKEバージョンが収録される一方、オリジナルバージョンはメジャー在籍前の作品ゆえか収録されていないのです*1。「春を告げる」はメジャー以降初めてフィジカルリリースされたシングル「麻痺」においても未収録です。

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総合100位以内に66週連続でランクインする「春を告げる」。その原動力は上記CHART insightにおいて青で表示されるストリーミング指標であり、昨年末の段階で1億回再生を突破しています。

ならばCDで手にしたいという方は少なくないと予想され、アルバムリリースはまさに渡りに舟のはず。しかしながら『the meaning of life』には「春を告げる」が別バージョンのみ収録という状況です。加えて気になるのが先述したソニー・ミュージックレコーズによるツイート。あたかもオリジナルバージョンが収録されると認識されかねないのではという不安を抱きます。

 

人気曲がCDで手に入らないというわけではありませんが、手に入りにくいという状況も生まれています。そのひとつが、平井大「Stand by me, Stand by you.」。

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初登場から49週連続で100位以内ランクインを続ける「Stand by me, Stand by you.」はアルバム『Life Goes On』(2021)に収録されるもデジタルリリースのみ。後にこのアルバムは3曲を追加したBOXとしてCD化されています(ただし現在は販売期間が終了)。

また『Life Goes On』はレンタルとしてCD化はされていますが、「Stand by me, Stand by you.」は気軽に購入できるタイプでのCD化は行われていないと言えます。

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アルバム『Life Goes On』のCHART insightをみると、ダウンロードとルックアップは加算されながらもフィジカルセールスがないという特殊な状況となっているのです。

 

 

ストリーミングがヒットの要となった現在、インディや自主制作時代の曲がストリーミングで人気となりメジャー契約に至る歌手が増えています。しかしメジャーでCDリリースする際、その歌手がブレイクするきっかけとなった曲がメジャー在籍前の作品であるためかCD化されない状況は今後散見されるかもしれません。

またメジャー以降の作品であってもCDリリースを行わない動きや、CD化しても数量や流通先を限定する作品が増えてくるものと考えます。これはスピッツ「紫の夜を越えて」も同様です。

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7月14日公開(7月19日付)ビルボードジャパンソングスチャートにおいて「紫の夜を越えて」のフィジカルセールスおよびルックアップ指標が突如出現したのは、同曲のアートエディションが流通開始したことに伴うものです。

 

今回取り上げた平井大さんやスピッツの作品においては、CDはコアなファン向けの位置付けと捉えているのではないでしょうか。音楽の聴き方/触れ方が多様になった時代にあって、個人的には色々考えさせられるものがあります。

*1:ブログ執筆段階では曲名未記載の4曲が未発表新曲となっており、オリジナルバージョンの「春を告げる」が収録される可能性は極めて低いと考えます。