前週、6月23日公開(6月28日付)ビルボードジャパンソングスチャートを制したのは米津玄師「Pale Blue」でした。フィジカルセールス初加算が大きく影響していたのですが、しかしそのフィジカルリリース日にカップリング曲の「死神」は配信されませんでした。
『2ヶ月弱の予約枚数から「Pale Blue」のフィジカルセールス動向をある程度予想し、その売上を伸ばすことを第一義としてカップリング曲の「死神」をしばらくの間フィジカル限定的な扱いと位置付け、配信を行わないと決めた』…これがブログ記載当時に自分が考えていた理由ですが(『』内は上記ブログエントリー参照)、しかしその後、ミュージックビデオ公開を経て公開に至っています。
ミュージックビデオは『6月24日16:13に米津のYouTubeチャンネルにプレミア公開のページが登場し、同日22:13に公開』(上記リンク先より)。突然のアナウンスおよびミュージックビデオの面白さも相俟って、最新6月30日公開(7月5日付)ビルボードジャパンソングスチャートでは動画再生が2位、総合でも15位に入ったのです。
しかも最新チャートでは、「Pale Blue」フィジカル収録の3曲がダウンロード上位を独占しています。
【ビルボード】米津玄師「Pale Blue」がDLソング4週連続1位、「死神」「ゆめうつつ」が続きトップ3独占 https://t.co/5gxkUD6oHB pic.twitter.com/MZauiyL2F0
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2021年6月30日
この現象、近年の米津玄師さんの作品では初となります。
「Flamingo」「TEENAGE RIOT」のダブルAサイドシングル(2018)でも叶わなかったダウンロードのトップ3独占が今回「Pale Blue」で達成。「死神」における動画公開→音源解禁という流れがプラスに作用していることは間違いありません。
また「Pale Blue」のフィジカルセールス2週目の前週比が、「Flamingo」「TEENAGE RIOT」のダブルAサイドシングルおよび「馬と鹿」(2019)に比べて高くなっており、ともすればこれも「死神」効果と言えるでしょう。その一方で、「Pale Blue」の初週フィジカルセールスが「Lemon」(2018)以降で最も低くなっていることは考慮する必要があります。
今回のブログエントリー記載は、月去Pさんのツイートをきっかけになっています。
ダウンロードチャートで米津玄師がシングル全曲で3位まで独占しているの、本当に強い…
— 《 月 去 P 》 (@TuKiSaRiP) 2021年6月30日
もしも仮に、従来通りCD発売日に全曲解禁、という戦略をとっていた場合、コレは成し遂げられたのかな… https://t.co/gqlwmD7TNR
常に「チャートに於ける最適解を行く」だけでなく、時に「チャート上どうなるか分からないものの、実験をする」事も重要なのかな、という視点は持っていたいのかもしれない…
— 《 月 去 P 》 (@TuKiSaRiP) 2021年6月30日
米津玄師やback numberは、今、チャートに於ける実験期に入っているように思える…
"実験"という表現になるほど、と。さらには「死神」の解禁遅らせで抱かれたマイナスイメージを、ミュージックビデオ登場によって払拭できたのかもしれません。
それでも、フィジカルリリース日までのサブスク解禁が当たり前になってきた時代にそれを行わず、またミュージックビデオが短尺版であることに疑問が拭えない自分がいます。状況は異なりますが、昨日L'Arc~en~Ciel「ミライ」のミュージックビデオが公開されながらもフルサイズバージョンが期間限定公開とアナウンスされたことにも引っ掛かりを覚えた次第。公開におけるユーザーアンフレンドリーな姿勢が気になるのです。
L'Arc-en-Ciel「ミライ」MV期間限定フル尺公開、監督は柿本ケンサク「明けない夜はない」(動画あり / コメントあり)https://t.co/TkGGEiOqq9#larcenciel #ラルク #ラルクノミライ pic.twitter.com/KNZF7tYYqc
— 音楽ナタリー (@natalie_mu) 2021年7月1日
「ミライ」については8月リリースのフィジカルに同梱される映像盤でフルバージョンを確認してほしいということなのかもしれませんが、フィジカルを主軸とする商法がおそらくは日本で未だ主軸となっている現状に疑問を抱きます。先の「死神」においてはデジタルを十分に解禁した後でもミュージックビデオをフルバージョンで公開したならば、ダウンロードの上昇につながったのではないでしょうか。