毎週火曜は米ビルボードソングスチャートおよびグローバルチャートの発表日ですが、日本時間の7時の段階で未だ発表されていません。ゆえに今回、Spotifyの定点観測を紹介します。
上記は直近5月16日付デイリーチャート(→こちら)のトップ10、および自分が注目と捉えている4曲で構成されたグラフ。5月10~16日の再生回数は、明日発表される5月19日公開(5月24日付)ビルボードジャパンソングスチャートのストリーミング指標に反映されます。
グラフをみると、ロングヒット曲は緩やかながら確実に再生回数が減っていることが解ります。長く首位をキープする優里「ドライフラワー」は、直近の1週間で再生回数30万を上回ることはありませんでした。大型連休中に『めざまし8』(フジテレビ)でライブパフォーマンスを披露したことでストリーミングが微増、ダウンロードが2倍以上になっていますが、その反動とも言えるでしょう。
一方でこれからロングヒットを狙う曲が続々。Official髭男dism「Cry Baby」は5月11日付で既にトップ10入りを果たし、土日には再生回数が16万台に。「Pretender」がビルボードジャパンで史上初のストリーミング再生回数5億を突破する等、今の時代の申し子と言える彼らならではのロケットスタートと言えます。
Official髭男dism「Pretender」史上初のストリーミング累計5億回再生突破 https://t.co/MClOXjAM1e pic.twitter.com/NSRa8UvWEM
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2021年5月12日
藤井風「きらり」は5月3日リリースながら前日に再生回数がカウントされています(が、これはSpotifyの仕様と言えます)。直近1週間は平日で18万台をキープし、土日には自身初の20万台突入。ビルボードジャパンソングスチャートでは総合2位に初登場を果たしていますが、2週目となる今週はトップ10キープが確実と言えるでしょう。以前【ヒットの予感】としてこの曲を紹介しましたが、「きらり」の人気は安定していくと言えそうです。今週にはミュージックビデオの公開も控えています。
Ado「踊」は緩やかに上昇を続けてきましたが、直近1週間の伸びが凄まじく16万台突入、そして「うっせぇわ」と2曲同時トップ10入りを果たしています。「踊」についてはリリース前後の訴求の素晴らしさを紹介しましたが、この1週間の動きは目覚ましいものがあります。
そしてYOASOBI。新曲「もう少しだけ」は早くもトップ10入り。この曲の動向等は一昨日に一度紹介しています。Spotifyの順位の面ではこの1週間で「怪物」が4位、「群青」が5位、「アンコール」が10位と最高位更新もしくはタイを記録し、エンゲージメントが如何に過去曲へ波及しているかを理解することができます。
SpotifyはたとえばLINE MUSICに比べて保守的と言えます。LINE MUSICは若年層の利用が多く新曲が早々に上昇する傾向があり、また再生回数キャンペーンも行われるため、ランクの変動が大きいのです。ゆえにSpotifyは動きが鈍いと言えるかもしれませんが、人気曲が残りやすいということでもあります。
また、グラフ等で表示したONE OK ROCK「Renegades」やNiziU「Take a picture」のように、リリース直後にピークを迎えなだらかにダウンする傾向の曲が増えてきました。これはサブスクの浸透度が高まり新曲を解禁直後にチェックする方が増えたためと考えられ、米ビルボードのストリーミング指標の動きを彷彿とさせます。
ロングヒット曲は時折刺激策を投入しながらどれだけ長くランクインできるかを考える必要があります。一方で新曲は早々に軌道に乗せつつ、たとえばミュージックビデオの公開を後日にする等の段階的な訴求を図ることが重要です。先月以降の新曲や【ヒットの予感】として紹介した曲がロングヒットのフェーズに突入すれば、ストリーミングチャートは面白いことになるでしょう。