イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

事件を起こした歌手への出荷・配信停止措置に違和感…ガイドラインの策定こそ必要では

事件は許されないことですが、作品の出荷停止や配信取り止めという措置を採ることはまったくもって別の問題だと考えます。ALIの件に対する私見を昨日つぶやきましたが、ブログにあらためて掲載します。

 

詐欺については犯罪の中でも特に悪質すぎるという私見を持ち合わせています。

実はALIの作品、メジャーデビューする前のものはサブスクに残っています(5月17日6時時点)。

上記では「LOST IN PARADISE」等も試聴は可能ですが、ソニーミュージック発の作品は(フルで)聴くことができません。Spotifyで検索しても出てきません。一方でインディ時代の作品は聴取可能であり、今回のデジタル配信停止措置は歌手側よりもレコード会社側の意向であることが判ります。

 

ソニーミュージックは以前にも、テクノユニットに対して同種の措置を採りました。これが大きな問題となり、署名活動等が行われたことは記憶に新しいのですが。

とりわけ、『罪を犯した芸能人等についての更正~復帰に対するガイドラインを策定すること』が成されているとは全くもって思えません。たとえば芸能界に少なくないとされる薬物問題に対して。この問題については、報じる側の問題やそもそも薬物使用が”依存である”という認識が市井に足りないことを踏まえ、有志によって薬物報道ガイドラインが策定されています。

このガイドラインが未だ認知浸透されているとは言い難いながら少しずつ意識されている印象がありますが、一方で芸能人等へのガイドラインについては作成の動きすら見えてきません。

 

ALIの作品群はYouTubeからも削除されていますが、以前出演したTHE FIRST TAKEからも消されています。

THE FIRST TAKEについては、直近では先月記載しています。

THE FIRST TAKEもソニーミュージックと同様の方針を採ったということになります。その判断を残念に思います。

 

 

さて、昨日ツイートする最中、タイムラインに興味深い内容が飛び込んできました。

新型コロナウイルスに対する行政の対応のずさんさが際立つ中で、民間の方による学びから生まれたロジックや自信が如何に説得力を有するかを実感します。そしてこの姿勢こそ、責任ある態度だと思うのです。

芸能人等に対するガイドラインの未作成は、結局のところエンタテインメント業界を運営する側の責任逃れだと言っていいでしょう。

今の音楽業界において如何にソニーミュージックが大きな存在であるかは昨年暮れに紹介しました。

だからこそ、ガイドラインの策定を強く願うのです。

 

 

自分に似たスタンスの記事がblock.fmに掲載されていました(→こちら。表題に個人名を含むことからここでは表題は掲載しません)。内容の大半に賛同しつつ、記事の書き手は”直接の被害者がいるかどうか”が出荷や配信停止の基準になっているとしており、ならばALIに対する今回の措置は妥当と捉えるかもしれません。ただ、この点には違和感を覚えます。

冒頭で述べたように、詐欺は許されるべきではない犯罪であり、個人的には刑罰が軽すぎると考えています。しかしながら犯罪を罰するのは法律であり、世に出る作品と人間性や経歴とをリンクさせるのはおかしく、それとこれとは分けて考える必要があるというのが私見です。直接の被害者がいるかどうかを線引の基準とすることは理解できても、ならばやはり芸能人等の犯罪における更正や復帰のガイドラインを策定し、その中で事件毎に線引するという判断基準を設けるべきだと考えます。そもそもこのガイドラインを作ろうとしていないことが、不条理なやり方を是認し暗黙の了解としてしまう元凶ではないでしょうか。

 

さらに述べるならば、ALIの件においてはタイアップ先だった『呪術廻戦』の名を用いて報じるメディアが少なくなかったことにも違和感を覚えます。大ヒット作品を用いることはキャッチーで分かりやすいかもしれませんが、その”分かりやすさ”を求める報道が受け手の、そして発し手自体の熟考を妨げるのではないでしょうか。そしてそのたびに登場する『呪術廻戦』にも失礼だと思います。

 

 

今回の件で、サブスクが消えたこと等への失望が散見されましたが、しかしそこで終わらせてはいけないでしょう。

感想よりも意見を、非難ではなく批判そして提言をというのがこのブログ自体のスタンスでもあります。問題に対し、きちんと声を上げることを望みます。