毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。
3月8~14日を集計期間とする3月22日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。KAT-TUN「Roar」が初登場で首位を獲得しました。
【ビルボード】KAT-TUN「Roar」196,322枚を売り上げ初登場総合首位、宇多田ヒカル「One Last Kiss」総合2位に初登場 https://t.co/1JYQtathE4 pic.twitter.com/zHhm8YTduZ
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2021年3月17日
注目は、この「Roar」がジャニーズ事務所所属歌手にとって【ダウンロード/ストリーミング/ミュージックビデオ配信(ショートバージョン含む)をCDリリース日までに解禁】した最初の例であるということ。
その結果、フィジカルセールス加算初週のチャートアクションは、ポイントに占める割合が10%未満ながらダウンロードおよびストリーミングが加算されています。
ストリーミングおよび動画再生が100位未満(300位圏内)という状況は昨年末の櫻坂46「Nobody's fault」 を彷彿とさせます(詳しくは(追記あり) 12月21日付ビルボードジャパンソングスチャート制覇、櫻坂46の初陣をどうみるか(2020年12月17日付)参照)。ジャニーズ事務所所属歌手においては最近、ミュージックビデオをショートバージョンながら3分前後の尺で公開しており動画再生指標については以前より高い傾向にありますが、KAT-TUN「Roar」ではそうなりませんでした。もしかしたら他のジャニーズ事務所所属歌手がデジタル解禁した際、接触指標がもう少し高い位置に来るのかもしれません。
それにしても今回、KAT-TUN「Roar」をデジタル解禁した結果が表れています。配信限定で用意されたカップリング曲「Flashback」はストリーミング300位未満でポイント加算対象外となりながら、ダウンロードが6位となり総合でも91位にランクインしたのです。
「Flashback」は9230DLを記録(【ビルボード】宇多田ヒカル「One Last Kiss」が6.6万超えでDLソング首位、KAT-TUN初登場3位 | Daily News | Billboard JAPAN(3月17日付)より)。Twitter指標の加算もあるとはいえ、これにより総合100位以内へエントリーを果たせたわけです。これはたとえば、前週ベストアルバム『SZ10TH』がチャートを制しながら、そして音楽関係者の評判が凄まじいのにも関わらず、総合100位以内にランクインできていないSexy Zone「RIGHT NEXT TO YOU」の動向を踏まえれば、デジタル解禁が如何に意味のあることかがよく解ります。
総合2位を獲得した宇多田ヒカル「One Last Kiss」に関しても、同名EPからは他に2曲がソングスチャートで100位以内にエントリーを果たしています。どちらもダウンロード指標が強いのですが、ストリーミングも加点対象となり総合100位以内へ登場。これも先程の「RIGHT NEXT TO YOU」等、そしてジャニーズ事務所(所属歌手)にとって参考になるものと考えます。
(EP収録の「Beautiful World (2021 Remastered)」はオリジナルバージョンに合算されます。)
当該EPはアルバム扱いとなったため、「One Last Kiss」はソングスチャートにおいてフィジカルセールスおよびルックアップが加算対象外となりましたが、それでも17226ポイントを獲得し総合2位に登場。とりわけ週間ダウンロード数は今年度最高、また初週のストリーミング再生回数がNiziU「Make you happy」に次ぐ歴代2位というのは素晴らしい成績です。
EP『One Last Kiss』はアルバムチャートを制覇。フィジカルセールスではヒプノシスマイクシリーズ最新作『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 2nd D.R.B Bad Ass Temple VS 麻天狼』に2万3千枚近く離されたものの、ダウンロード数で1万7千以上の差を付け逆転。ルックアップもヒプノシスマイクが上回っていますが、1枚あたりのウェイトはフィジカルよりデジタルが勝るため逆転現象が起きた形です。
「One Last Kiss」が主題歌を務め、3月15日に公開された映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は大ヒットを記録。Spotifyデイリーチャートにおいては土日の盛り上がりがそれほど大きくなかったため今後の動向が気になりますが、映画と合わせてロングヒットに至る予感がします。