一昨日発表された、最新2月17日付ビルボードジャパンソングスチャート。13位にはザ・チェインスモーカーズ feat. 新田真剣佑「Closer」が初登場を果たしました。同日付チャートはこちらに。
指標毎にみると最も順位が高いのはダウンロードの7位。動画は1分半程度にもかかわらず10位を記録しており、話題性の高さから動画視聴に至るユーザーの動きが見て取れます。ダウンロードの多さについてはビルボードジャパンが記事にしています。
【ビルボード】米津玄師「パプリカ」セルフカバーが7.4万DLで堂々の首位、新田真剣佑/UruがTOP10デビュー https://t.co/gwBqjASp1b pic.twitter.com/29oTvnX24g
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年2月12日
この曲は、配信先行で昨年末にリリース、フィジカルでは海外で1月、日本では今月19日に発売されるザ・チェインスモーカーズのアルバム『World War Joy』に収録される日本向けボーナストラック。この曲がアルバムの売上上昇につながるかは不明ですが、元々この曲は2016年から翌年にかけて大ヒットしています。
さて、この曲のCHART insightをみると、今週が初登場であることが解ります。
4年前にはオリジナルバージョンがビルボードジャパンソングスチャート100位以内に入ったのですが、オリジナルバージョンと今回の新田真剣佑さん参加版は合算していないことが、下記のニュースからも理解出来ます。
また、チェインスモーカーズ初の公式カバー曲「クローサー(トーキョー・リミックス)feat. 新田真剣佑」が155.9万回再生を記録し、21位に初チャートイン。オリジナル・バージョンである「クローサー feat. ホールジー」は、前週圏外から当週83位に再浮上した。
・【ビルボード】Official髭男dism 「Pretender」が4週ぶり、通算35回目のストリーミング首位に | Daily News | Billboard JAPAN(2月12日付)より
オリジナルバージョンとリミックスや客演追加(もしくは変更)版とは日本では合算されませんが、一方の米ビルボードソングスチャートでは合算されることで新しいバージョンがチャートのカンフル剤として使用されています。米チャートの例は下記エントリーに記載。
今回の「Closer」においてはオリジナルバージョンもストリーミング指標で伸びたことから、仮に日本でも合算されたならばトップ10入りもあったかもしれません。上記エントリーでも紹介していますが、ビルボードジャパンに合算可否を問い合わせたところの回答がこちらに。
実は最近になって、リミックスや客演有等新しいバージョンの投入が増えています。嵐は初のデジタルシングル「Turning Up」(2019)に、R3HAB(リハブ)によるリミックスを追加投入。
また、アメリカの歌手マックスがナッシュをフィーチャーした「Lights Down Low」(2016)には、ONE OK ROCKのTakaさんが参加した新しいバージョンが登場。
Takaさん参加版が昨秋であること、新田真剣佑さん同様ソニー発であることから、ソニー側が今後も同様の仕掛けを施す可能性はあるでしょう。ただ、オリジナル版が数年前のものであること踏まえれば、このような仕掛けはアリだとしても新しいバージョンをボーナストラックとして用意した国内盤は輸入盤と同時発売にしていただきたいという私見は載せておきます。
また先月リリースされたw-inds.「DoU」には通常盤のカップリングに、3年前にリリースされた「We Don't Need To Talk Anymore」のSKY-HIさん客演による新しいバージョンが収録されています。
合算すべきとする理由は、年明けに書いたビルボードジャパンへの要望のひとつに記載しています。
海外の歌手にとっては特に客演参加版の追加導入が当たり前に(そしてそれが米ビルボードソングスチャートで戦略の一環と)なっている現状において、日本でそれが別扱いとなるならば、チャート上での洋楽は弱いままとなり日本でのプロモーションを控える歌手が出てくるかもしれません。そして邦楽においても、客演参加等のプロモーションをしたくても控える方が出ていることでしょう。これらはプロモーションのみならず、客演やリミックスという音楽文化が育たないことにも繋がりかねないゆえ、新たな戦略の形を認める必要があると思うのです。
新しいバージョンの良さに触れてオリジナルバージョンに触れたり、新しいバージョンに参加する歌手やリミキサーを知ることが出来るという音楽の気付きや発展の可能性が、合算しないという現行のチャートポリシーにおいてはさほど高まらないと思うのです。とりわけ損をしているのはホールジーで、元々ザ・チェインスモーカーズ「Closer」に客演参加、また昨年BTS「Boy With Luv」にも客演していながら、「Closer」においては先述した通り、またBTSの場合は日本語バージョンが客演なしだったために別扱いとなり、「Closer」も「Boy With Luv」もビルボードジャパンのチャートアクションでもう少し伸びるはずの機会を逸しています。
合算の願いは数ヶ月前にも今回同様記載していますが(「Bad Guy」や「Boy With Luv」の動向も記載した下記リンク先参照)、いよいよ新しいバージョンの投入が本格化する動きが出てきた今、ビルボードジャパンは今のチャートポリシーが時代に即しているかを考える必要があるでしょう。
それにしても、流行するかもしれない新しいバージョンの投入策を、w-inds.と嵐がもたらしてくれるのは実に面白いですね。