今週水曜に放送された『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜 18時)の特集コーナー、月刊ミュージックコメンタリーで音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんが解説していたテイラー・スウィフト「You Need To Calm Down」は、是非とも多くの方に聴いていただきたいなと思った次第。
本日、TBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演します! おすすめ洋楽新譜を紹介するマンスリー企画「月刊ミュージックコメンタリー」のガイド役として20時から。今日は暑くなりそうなのでよく冷えたお酒でも飲みながら、ぜひ! https://t.co/xo45i1E4gv #utamaru #アトロク
— 高橋芳朗 (@ysak0406) June 25, 2019
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8月23日リリース予定のニューアルバム『Lover』から、ブレンドン・ユーリー(パニック・アット・ザ・ディスコ)をフィーチャーした「Me!」に次いで発表したこの曲で、テイラーはLGBTQへの支援を表明し、ミュージックビデオの最後には彼らを法的に保護する嘆願書への署名を添えています。
テイラー・スウィフトの公式YouTubeアカウントもレインボーっぽい色調になっていますが、これはレインボーがLGBTQの象徴であることを示すと共に、6月がプライド月間ということから変えたのでしょう。
プライド月間、および多数のカメオ出演者についてはバズフィードの記事を参照してください。
(※追記 (6月30日12時42分):当日の放送について、みやーんさんが書き起こしをされていましたので勝手ながら紹介させていただきます(問題があれば削除いたします)。)
高橋芳朗さんの解説にもあるように、テイラー・スウィフトが政治的スタンスを示したタイミングは他の歌手より極めて遅く、ドナルド・トランプが大統領に就任した後。カントリー出身であり、同ジャンルが保守的な土壌で親しまれる傾向があったゆえ慎重にならざるを得なかったのかもしれません。が、昨秋になって遂に自身の考えを表明。出身地の共和党女性議員の姿勢およびトランプ大統領に強い反対の意志を示しました。
無論トランプ大統領は不服でしょうが、今回テイラーはその姿勢をさらに進め、楽曲においてもはじめて政治的なテーマを取り上げたわけです。それを聞いて強く興味を抱いた自分がいます。
音楽ジャーナリストの高橋芳朗さん(@ysak0406)による #テイラー・スウィフト「#YouNeedToCalmDown」解説が本当にわかりやすかったですね。LGBTQへの支持と彼ら(の存在すら)を反対する保守への反論…特にトランプ大統領に対して。8月23日リリースのアルバム『#Lover』が政治色強くなるとのことで期待 https://t.co/yyyAFzLuSR
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) June 27, 2019
前作『Reputation』(2017)は米ビルボードで、2018年度初週となる2017年12月2日付アルバムチャートで初登場首位に立ち、年間チャートも制しました。アルバム、そしてシングル曲共々勢いは長く続かなかったと認識しているのですが(テイラー・スウィフト、「Delicate」がアルバムからの最大のヒットになる?(2018年7月11日付)参照)、今回は2年弱という短いスパンながら先行2曲が2位に登場、さすがにリル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」が強すぎることで首位に至れず、また思ったより速く「Me!」がトップ10落ちしたこともあって(「Old Town Road」強すぎ、対象的に「Me!」は…6月8日付米ソングスチャートをチェック(6月4日付)参照)、「You Need To Calm Down」の次週以降の動きが気掛かりではあるのですが、『Reputation』からはトップ3入りしたのが1曲しかなかったことを踏まえれば幸先の良いスタートを切ったわけで、『Lover』は前作以上の成功を収める可能性もあります。そして。
前作が米ビルボード2018年度早々に首位を記録し年間も制した一方『#Lover』は夏発売ゆえ年間1位狙わないの?と思ってました。#utamaru でトランプ氏への反旗の意志を知り、今作の発売日はグラミー狙いと実感(9月発売までが次年度候補対象)。主要部門にノミネートされれば大統領選の空気に影響するかと https://t.co/P9FIthYXna
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) June 27, 2019
『Reputation』の年間アルバムチャート制覇を踏まえれば、来るアルバム『Lover』はリリースを11月にしてもよかったはず。しかしそうなると、来年早々に開催されるグラミー賞では「You Need To Calm Down」はノミネート対象にはなれど『Lover』は10月以降発売となり対象にはなりません(来年のグラミー賞の候補作品は今年9月までの発売が対象)。グラミー賞において、主要4部門のうち最も大きな意味を持つのは最優秀アルバム賞ではないかと捉えていますが、仮に発売日通りに『Lover』がリリースされ、最優秀アルバム賞にノミネート、さらには受賞を果たしたならばアルバムのインパクトは絶大となり、より長く売れ(聴かれ)続けることになるわけで、来年長期間をかけて行なわれる大統領選において『Lover』を機に民主党支持/共和党ならびにトランプ大統領不支持という空気がより強く広がることになるはずです。
(しかもこれまでオリジナルアルバムは全て10~11月にリリースされた一方、先行曲は9月までに発表しています。これにより、先行曲とアルバムとで2年連続グラミー賞主要部門にノミネート(もしくは受賞)されやすい状況となっていました。今回はこれまでのスケジュールを採用しないということになります。)
無論ノミネートされるかは誰にも判りませんが、『Lover』の夏発売という選択はテイラーの意志によるものではないかと考えるに至っています。
(※追記 (6月30日12時42分):来年開催の第62回グラミー賞、ノミネート対象期間が1ヶ月短くなり今年8月末までとなっていました。次回の第62回グラミー賞、作品の「提出締切」が1ヵ月早まることに | bmr(3月27日付)に掲載されていますのでご参照ください。ご指摘くださった方に感謝申し上げます。)
今回の「You Need To Calm Down」においてはこのような厳しい論調もみられます。
同記事は昨日のYahoo!にも登場。たしかに遅きに失した感は否めないでしょうが、彼女のファンを中心にLGBTQについて、多様性について、トランプ政権へのスタンスについて考えるムーブメントが生まれるならば良いことだと思います。あとはテイラー・スウィフトが今後もきちんとLGBTQへの支援を継続していくのか、そのスタンスを見極めることこそが重要であり、それを行うことこそがメディアの役割ではないでしょうか。”You need to calm down. (落ち着いたら?)”という言葉は、悪態をつくメディアにも使われていい言葉かもしれませんね。
ちなみに、他のどのタイプにも似ていないと言われた「You Need To Calm Down」ですが、個人的にはアデル「Send My Love (To Your New Lover)」(from『25』(2015))の雰囲気をまとっているような気がしています。どちらも好きな楽曲です。