2015年、個人的に大好きな邦楽をプレイリスト化しました。
◯作成時のルール
・今年に発売されたシングルもしくはアルバムからの先行配信曲で、基本的にミュージックビデオが制作された曲から選出(ただし一部例外有り)。
・1ミュージシャンにつき1曲
・1枚のCD-R(80分弱)に収まるように編集
・曲の前の数字はトラック番号であり、順位ではない
ということで、この一年の良曲集。ビルボード・ジャパンの年間チャート(Hot 100)にランクインしている曲については曲解説の前に順位を記載しています。
01.YOU OWE ME / 藤井隆
8分弱という長尺ながらあっという間に駆け抜けていく疾走感たるや。ベスト盤にラジオエディットが入っているものの正直物足りず、結果的にオリジナル版を何度も聴き返しています。藤井隆さん×西寺郷太さんチームによる『COFFEE BAR COWBOY』は大好きなアルバムで、それが生まれたきっかけがラジオだったというのはラジオ好きとして嬉しい限りです。鶴とのDJ、初のセルフプロデュース作…夢が叶った瞬間に出会う(5月12日付)、藤井隆、ニューアルバムから「YOU OWE ME」先行配信スタート(5月27日付)にて記載。
02.SING OUT LOUD / 三浦大知
実はここ数日で一気に好きになっていった曲。最近のアルバムからの先行曲はダークな雰囲気のものが多く大好きだったため、正直いって今回のアルバムからの先行曲に最初はピンと来なかったのですが、ふと最近聴きたくなって聴き返したところ、自分が今年テーマとした【脳外上場】にまさにピッタリハマっている曲なんだと実感した次第(その辺のところは再開して一年(12月30日付)にて記載)。彼のアルバム先行曲はテイストは異なれど、アルバムの中でもとりわけ良質なものばかりですね。
03.POSITIVE / tofubeats feat. Dream Ami
この曲は三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE等を手掛けるプロデューサーのSTY氏も年間ベストに挙げているのですがその理由というか着眼点が面白いですね(詳しくは人は生まれてそしてきっと誰かを愛してそしていつか死んでゆく | STYをご参照ください)。以前E-girlsのディスコティークな新曲を取り上げた際に黒い音とAmiさんのボーカルは合わないかもとE-girlsの新曲は侮れない、が(10月5日付)にて言及したのですが、こちらの曲のハマり具合はただただ見事という他ありません。
04.君のほんの少しの愛で / sébuhiroko
J-WAVEチャートにはこの曲と共に、同じアルバムに収録された「YOU」がランクイン。自分はこちらのほうにより強く惹かれました。歌手名表記を漢字表記から変えたことを恥ずかしながら知らなかったのですが、歌詞やミュージックビデオ終盤に溢れるポジティヴさにとにかくハマってしまいました。ほぼ同時期に『恋仲』(フジテレビ系)のサントラも手掛けており、これからは劇伴音楽家としてのニーズも高まるのではないでしょうか。
05.SUN / 星野源
ビルボード・ジャパン年間チャート22位。昨年の「桜の森」に続く選曲。星野源さんのブラックミュージックの咀嚼力の巧さは見事で、その流れで生まれたアルバム『YELLOW DANCER』を”小沢健二『LIFE』の21世紀版だ”と賞賛する声を聞いたのですが、その表現も解る気がします(アルバムについては星野源『YELLOW DANCER』の影響源は他にも(12月14日付)にて言及しています)。ちなみに「SUN」で用いられたマイケル・ジャクソン「Rock With You」的なラムは、今年上半期ベストに選出したSMAP「華麗なる逆襲」の冒頭にも配されていてニヤリとさせられます。
06.あなたに恋をしてみました / chay
ビルボード・ジャパン年間チャート21位。この曲、および「好きで好きで好きすぎて」におけるレトロ感の挿入にまんまとやられてしまいました(chayのレトロチックに抗えない(10月26日付)にて記載)。「木綿のハンカチーフ」的な音の終着の仕方、薄いウォール・オブ・サウンドを敷いたサビ終盤等、そのさりげなさがサブリミナル効果となって昭和歌謡ファンを唸らせてくれました。
07.大器晩成 / アンジュルム
今年のアイドルソングで一番好きかもしれません。とりわけ好きなのは疾走感溢れるアレンジの中で大サビ前に挿入されるボンゴの音。インクレディブル・ボンゴ・バンドを聴いたときの衝撃を思い出しました。アップフロントグループが音源・レコーディングの構築手法を公開中(2月20日付)にて記載。
「大器晩成」に次いで賑やかに。インストゥルメンタルファンクバンド、Mountain Mocha Kilimanjaroの奏でる音は交差点のスクランブル感を際立たせていますね。歌詞は今年のグラミー賞でも謳われた【多様性】(アメリカ社会の問題を提起し、理想を掲げたグラミー賞授賞式(2月10日付)にて記載)の素晴らしさを掲げ、後のアルバム『Bitter, Sweet & Beautiful』の礎を築いています。今年彼らのライブに2回参加したのですが(夏フェスおよび青森公演)、ふざけるところもそして魅せるところも一切手を抜かず全力で突き通すその姿勢に痺れました。アルバムのコンセプトも含め、RHYMESTERは自分にとっての”理想の大人”だと断言できます。
09.PLAYBACK / JUJU
ビルボード・ジャパン年間チャート70位。「Happy」×「Shake It Off」? 今年の夏ソング、JUJU「PLAYBACK」 (6月27日付)にて取り上げたところ、テイラー・スウィフト「Shake It Off」をパクっていないか?と検索してこのエントリーにたどり着いた人が少なくなかった模様。そこまで目くじらを立てる必要はないというか、個人的には似てるかもしれないと思いつつもこの曲の好さに抗えず、純粋に惹かれました。「What You Want」でも曲作りに参加した為岡そのみさんの存在は大きく、TinyVoice,Production入りした彼女の動向にも今後注目したいと思います。
10.長く短い祭 / 椎名林檎
ビルボード・ジャパン年間チャート37位。青森の”長く短い祭”とその関連曲(7月4日付)にて記載しましたが、青森ねぶたを従えたジャケットの素晴らしさにまず惹かれました。”青森土産にこのCDを”という声をどこかで聞いたのですが、たしかに面白い試みかもしれません。「能動的三分間」のフレーズも散りばめられた素晴らしい夏(の情事)讃歌。先述したSMAP曲も提供しており、類まれなるソングライティング力を見せつけてくれました。
ビルボード・ジャパン年間チャート30位。この曲をどこに配置するかが一番悩みました。ちょっと歪んだようなシンセをイントロとアウトロに配することで、この曲の確固たる世界観の確立は他を寄せ付けないくらいに高く、それゆえどこに置いてもいい意味で浮きかねないなと。ミュージックビデオでの『ドリフ大爆笑』の再現という遊び心も相俟って、同曲の中毒性は非常に高かったですね。
12.Noise / Da-iCE
この曲のみ昨年10月のリリースであり、非シングル化、さらにはミュージックビデオもないのですが(アルバム『FIGHT BACK』収録→iTunes Store)、それでも推したかったのは、(この曲がクリス・ブラウン「Fine China」を容易に想起出来るとはいえその曲を介して)彼らもマイケル・ジャクソンを敬愛しているんだろうなという姿勢が感じられた点ゆえ(詳しくはDa-iCEとマイケル・ジャクソンをつなぐ「Noise」(9月21日付)にて記載)。EDM主体というイメージがあったものの、彼らの音楽性は実は幅広いことが解り、ますます注目したくなりました。また、彼らのような歌もダンスも出来るグループが事務所云々によりテレビでの活動を制約されてしまうというのは実にもったいないと思っています。
13.Kiss My Lips / BoA
オリジナルの韓国版についてはBoA「Kiss My Lips」が美しすぎる(5月16日付)にて記載。80年代感という流行に即したシンセ使いの巧さもさることながら、曲展開はアリーヤ「Rock The Boat」を想起させるほどに艷やか。この曲の日本版を…と懇願していたのですが、シングルのカップリングとして今月リリースされたのは非常に嬉しかったですね。
14.暗渠 / 吉田一郎不可触世界
同じくシンセ使いが印象的な曲を。コーラスもろとも過去のトラウマを呼び覚ましてしまうのに効果的で、その不穏感の演出は見事。”暗渠”という言葉の選び方も素晴らしく、『ブラタモリ』(NHK総合)好きにはニヤリとさせられます。吉田一郎不可触世界「暗渠」の混沌とした世界に没入する(5月30日付)にて記載。
15.私以外私じゃないの / ゲスの極み乙女。
ビルボード・ジャパン年間チャート9位。演奏陣の超絶技巧っぷりに惹かれ、クリーン・バンディットを想起させるクラシック感にこの時代らしさを感じ、そして歌詞の哲学的とも捉えられるであろう深さに唸らされました。それでいて歌詞が難解すぎるわけではなく、曲も声も相俟って実にキャッチーなのが面白いですね。レコ大、紅白と立て続けにこの曲が演奏されることで、来月リリースされる(同曲を収録した)アルバムがどこまでセールスを伸ばすかが楽しみです。
青山テルマさんの巧さは勿論のこと、それ以上に曲提供した清水翔太さんの現代R&Bの咀嚼っぷりに驚かされます。彼のシングル曲ではいわゆるJ-Popな楽曲が多いのですが、アルバム曲、そして提供曲ではディアンジェロ愛に溢れたものや(清水翔太の”D氏”マナーが素晴らしい(2012年12月4日付)にて記載)、この曲のようなミゲル~ザ・ウィークエンドのようなアンビエント感といったR&B曲を自己流に咀嚼して次々と放っており、それらが実に格好いいのです。もしかしたらこれこそが清水翔太さんの真髄かもしれず、いっそこの路線で一枚アルバムを…と想うのは自分だけでしょうか。
17.tonight / YUKI
この人のジャンルレスには驚かされます。「うれしくって抱きあうよ」のフリーソウル、「JOY」「誰でもロンリー」のディスコティーク、そしてこの曲はブルージーでありゴスペルっぽさも漂う逸品。彼女の声は軽快な中にどっしりとした核があるというか、どんなジャンルを歌っても自分のものになるという凄味があるんですよね。この曲における凄味は絶唱的な歌唱法にあり、それを”中島みゆきさんっぽい”と評している方がいらしたのですが、なるほど納得です。
18.I'm all yours / w-inds.
またもMANABOONが素晴らしいR&BをJ-Popシーンに送り込んできた(10月10日付)にて記載したのですが、今年は何よりもプロデューサー、MANABOON氏の活躍っぷりが素晴らしかったですね。彼がプロデュースしたギタリストのSho Kamijoさんの処女作も良かったのですが、この布陣で臨んだw-inds.のこの曲における心地良さたるや。KEITAさんのファルセットも素晴らしく、とにかく聴き惚れます。このままドリーミーな感じが今後も続いてほしいと思い、この曲を最後に据えました。
というわけで18曲を選んでみました。選んでみて、自分の今の状態が反映されているか、ポジティヴな曲が多かったように思います。
そして、電波で聴くことの出来る範囲のラジオ局、特にFM局で今年の良曲を知る機会が極端に減ってしまっているのは残念なのですが(特にFMにおける音楽番組の減少についてはピーター・バラカンさんも言及しています。ピーター・バラカンと高橋芳朗 ラジオの現在と未来を語る - miyearnZZ Labo(12月18日付)をご参照ください。自分は音楽番組の数の減少に加えて、番組の質の低下も大きな問題だと考えています)、それでもラジオがきっかけで藤井隆さんのアルバムが生まれたということもあり(とはいえこれもAM局経由でしたが)、ラジオがリスナーそして歌手にもたらす力、魔法の存在は信じたいところですし、自分がその役割を担えたらという思いを強く抱いています。
来年も素晴らしい音楽とたくさん出逢えることを願って。
2015 JP Songs Best (30151230)
01.YOU OWE ME / 藤井隆
02.SING OUT LOUD / 三浦大知
03.POSITIVE / tofubeats feat. Dream Ami
04.君のほんの少しの愛で / sébuhiroko
05.SUN / 星野源
06.あなたに恋をしてみました / chay
07.大器晩成 / アンジュルム
09.PLAYBACK / JUJU
10.長く短い祭 / 椎名林檎
12.Noise / Da-iCE
13.Kiss My Lips / BoA
14.暗渠 / 吉田一郎不可触世界
15.私以外私じゃないの / ゲスの極み乙女。
17.tonight / YUKI
18.I'm all yours / w-inds.
total time:1:17:40