イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週のトップ10初登場曲、当週のCHART insightから真のヒット曲に成るかを読む (2024年11月27日公開分)

3月まで記載していたこちらのエントリーを、内容を少しリニューアルした上で夏以降再開しています。先週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と位置付けています。週間単位で上位に入ることも素晴らしいですが、他方で所有指標が強い曲は加算2週目、また所有指標的な接触指標をなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が急落し、総合でも大きくダウンすることが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は5曲近くが毎週入れ替わり、ロングヒットするかそうでないかが極端に分かれる状況です。ロングヒット曲は主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標が強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートから判断することは現状では難しいといえます。

ゆえにこのブログエントリーではチャートポリシー(集計方法)の改善提案をビルボードジャパンに対し行っているのですが、すぐに叶うことはないかもしれません。ならば、あくまで自分なりであると前置きしつつ、チャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー復活の理由です。

 

 

<2024年11月27日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」

 11月20日公開分 2位→11月27日公開分 12位

・NEWS「あっちむいてほい」

 11月20日公開分 4位→11月27日公開分 100位未満

・IS:SUE「THE FLASH GIRL」

 11月20日公開分 6位→11月27日公開分 100位未満

・僕が見たかった青空「好きすぎてUp and down」

 11月20日公開分 8位→11月27日公開分 100位未満

アンジュルム「初恋、花冷え」

 11月20日公開分 9位→11月27日公開分 100位未満

 

当週におけるストリーミング等動向表はこちら。

 

今回紹介した5曲について、前週指摘したとおりの結果となりました。

勿論、この5曲については次週の動向も注視しなければなりません。その点は来週金曜のエントリーで分析しますが、CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」は最も高い位置にとどまる可能性が高いでしょう。

「かわいいだけじゃだめですか?」はフィジカルセールス指標加算2週目に伴いポイントは半減していますが、ストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートでトップ10入りを果たしています。これが総合ソングチャートで上位をキープできた大きな要因です。

またトップ10では、Omoinotake「幾億光年」とCUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」がそれぞれ3ランクアップと躍進した。(中略) TikTokYouTubeでの「踊ってみた」から火がついたCUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」は、週を追うごとに再生回数を右肩上がりに伸ばしており、当週ついに初のトップ10入りを果たした。

 

さらにはCUTIE STREETと同じKAWAII LAB.に所属する、FRUITS ZIPPERによる「わたしの一番かわいいところ」が42→29位、「NEW KAWAII」が98→54位、「フルーツバスケット」が93→67位にいずれも浮上しています。

フルーツバスケット」は9月に「NEW KAWAII」とのダブルAサイドにてフィジカルリリースされていますが、ソングチャートのフィジカルセールス指標は「NEW KAWAII」に加点されます。その状況下で「フルーツバスケット」もヒットしている状況からは、歌手そして所属事務所の注目度上昇を感じるに十分です。

ストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートでは、FRUITS ZIPPERによる「わたしの一番かわいいところ」が39→34位、「NEW KAWAII」が97→57位、「フルーツバスケット」が76→60位に上昇。”CHART insightからヒットを読む”カテゴリーのエントリーではアイドルやダンスボーカルグループにおける接触指標の強くなさをほぼ毎回紹介しているゆえ尚の事、KAWAII LAB.所属歌手の動向は特筆すべきと断言できます。

 

 

アイドルやダンスボーカルグループはフィジカルセールスが強く、その加算時に総合ソングチャートでも上位に進出が可能です。ストリーミングが伸びたタイミングでそのフィジカルセールス指標を加点した後、高まった知名度がストリーミングに反映(還元)されることでロングヒットにつながる…ともすればCUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」はこのジャンルの理想形を体現する作品に成るかもしれません。