2020年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2024年2月分です。前の月にリリースされた曲を中心に選出しています。ミュージックビデオ等動画がない曲も含め、エントリーの最後に掲載したSpotifyプレイリストでチェックしてください。
これまでの私的トップ10ソングス等についてはこちらに。Spotifyを利用し、New Music Wednesday、New Music Friday Japan、New Music FridayおよびMonday Spinといったプレイリストを毎週チェックしています。
なお、"私的トップ10ソングス"とあるように、月イチで紹介するこのエントリーは完全な私見に基づくベストソング選出企画となります。音楽チャート等紹介の際、個人的な作品への思い入れを乗せないよう心掛けています。
10位 大橋トリオ & THE CHARM PARK「キャンディ」
2組によるコラボアルバムの収録曲。アコースティックギターを基調としたサウンドは歌詞にも登場するフォーク(ジャンル)に属するといえますが、個人的にはビヨンセの新曲もあってカントリー的なのかもと感じた次第。奇をてらったところがなく、メロディの美しさやふたりの歌声の心地よさに惹かれます。
9位 コリン・ホーソーン「Love Is U」
「Won't He Do It」がゴスペル界で大ヒットしたコリンによるニューアルバム『On God』収録曲は、1980年代R&Bの代表曲であるアニタ・ベイカー「Sweet Love」を大胆に引用。メロディを拝借しながら、しかし引用曲への愛情の深さが感じられる作品に。
8位 eill「25」
イントロのギターサウンドから心を鷲掴みにされたのみならず、Aメロとサビでの2ステップおよびサビ前でのジャージークラブというリズムの展開を興味深く感じています。この曲については、NewJeans「Ditto」に代表される近年のK-POPに対するJ-POP最良のアンサーではと勝手ながら感じています。
7位 ジョン・ヴィニル「Clouds」
3連符のリズム、奥行きを示すアレンジ、ジョンのファルセット、ドラマティックなメロディライン。すべてが曲の心地よさを増幅させており、これぞR&Bの極致と断言していいでしょう。
6位 ジョイウェーヴ「Brain Damage」
Spotifyには曲の再生中に短尺動画が流れるというCanvas機能があるのですが、この曲では脳が隕石のように落下するアニメーションが用意されており、まずはその奇抜さに目を奪われました。Aメロ、Bメロそしてサビの展開があまりにも異なりながら、また上モノの音色も大きく違いながら、一曲を通して聴くとバランスを取れているのが見事です。
5位 LE SSERAFIM「EASY」
ミニアルバムのタイトルトラックは流麗なR&B的ナンバーであり、K-POP特有のバキバキなダンスミュージックからの脱却というトレンドに沿ったともいえるでしょう。ただその中にあって、最初のサビ直後にやってくるハンドクラップが、この曲がダンスミュージックであることを訴求しているようにもみえるのが興味深いところです。
4位 ビヨンセ「Texas Hold 'Em」
スーパーボウル中継内CMにてその存在が明かされた新曲のひとつ。カントリー作品と予想されるニューアルバム『Renaissance Act II』からのリードナンバーは、繰り返されるメロディの心地よさ、徐々に声が重なり熱を帯びていく歌声が、カントリーの枠を越えてR&Bやポップジャンルにおいても支持されている理由ではと感じています。
3位 トリー・ケリー「High Water」
ゴスペル的(というより、クリスチャンミュージック的)な作品にも積極的なトリー・ケリーの新曲。1990年代後半から2000年にかけての良質なポップミュージックを思い出させるアレンジに惹かれます。特に出だしがデズリーによる大ヒット曲「You Gotta Be」を想起させ、心地よく沁み渡るのです。
2位 柴田聡子「Side Step」
ニューアルバム『Your Favorite Things』は好事家から高い評価を集めていますが、ともすればプレッシャーになりかねないその注目度の高さを軽やかに、鮮やかに飛び越えるのがこの曲から感じられます。R&B的トラックにおいて日本的な歌声は馴染みにくいのではという疑念を、メロディーの構成も含む展開の妙が見事に払拭させています。
1位 レディシ & ケニー・ラティモア「Perfect Stranger」
レディシによるニューアルバム『Good Life』から、同じくベテランのケニー・ラティモアを迎えたデュエット作を2月の最高位。安定且つ余裕も感じられながら、徐々に熱を帯びる歌唱はR&Bのお手本と言える内容。ここまでベーシックなR&Bトラックは、今の時代はむしろ新鮮に映るかもしれません。
以下、次点として10曲。
・Nao Yoshioka「Let It Flow」
・アンドラ・デイ「Probably」
・ブリーチャーズ「Me Before You」
・シー・シー・ワイナンズ「That's My King」
・ドー「Breathe」
・ザ・ミステリンズ「Stray」
・PJモートン「Please Be Good」
・シニード・ハーネット「Thinking Less」
・SiR & アイザイア・ラシャド「Karma」
・TWICE「ONE SPARK」
2月は、1990年代後半のR&B的な作品におそらくインスパイアされたであろう曲で良質なものが多かったという印象。例えばドー「Breathe」やシニード・ハーネット「Thinking Less」からは、メアリー・J. ブライジ「Beautiful Ones」(特に「Thinking Less」はこの曲の印象が強い)や、同じくメアリーによるローリン・ヒル書き下ろしの「All That I Can Say」のような、ドリーミーなR&Bを思わせます。
Spotifyのプレイリストはこちらに。
今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。