2020年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2023年12月分です。前の月にリリースされた曲を中心に選出しています。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。
過去の私的トップ10ソングス等についてはこちらに。Spotifyを利用し、New Music Wednesday、New Music Friday Japan、New Music FridayおよびMonday Spinといったプレイリストを毎週チェックしています。
なお、"私的トップ10ソングス"とあるように、月イチで紹介するこのエントリーは完全な私見に基づくベストソング選出企画となります。音楽チャート紹介時には個人的な作品への思い入れを乗せないよう心掛けています。
10位 あいみょん「die die die」
フィジカルシングル「あのね」の収録曲にして、タイトルに驚かされる作品(シングル表題曲が映画『窓ぎわのトットちゃん』主題歌であり、その次代背景を踏まえれば尚更)。この曲での主人公と恋人の関係性は長年パートナーがいる方の多くが抱くかもしれない感覚かもしれず、矛盾を抱える主人公の苦悩は多くの方の共感を呼ぶかもしれません。フェードアウトなアレンジは今の時代には珍しいながらも、逡巡を巧く示しています。
9位 レニー・ラップ with ミーガン・ザ・スタリオン「Not My Fault」
レニーによる少しウィスパリングな声と軽妙なダウンサウンドの相性が極めて高い作品で、良い意味で意地悪く聴こえるのが好評価。ミーガンのラップも良いアクセントになっています。ちなみに曲とはあまり関係はないのですが、日本のレコード会社ではミーガン・ザ・スタリオンと表記されるもWikipedia日本語版ではメーガン・ザ・スタリオンとなり、またザではなくジーという表記も散見。早く統一してほしいと願っています。
8位 クリスチャン・クリア「Ride」
R&Bにて近年多用されている、80年代的なアレンジ(簡単にいえばくぐもった音質)と、ファルセットを多用したボーカルの相性の良さがこの曲でも。個人的にそのような作品が好きだというのもありますが、以前幾度となく選出したQに次いで今後注目していきたい歌手の一組です。
7位 ビクスビー「Don't Make Me」
わずか2分ちょっとの曲ながら、ドラマチックに魅せる展開が見事。特にサビにおいて、中盤にボーカルドロップ的な加工を施すことにより曲への驚き、そして聴き手の集中力を高め、より起伏を高めるアレンジに感心します。
6位 ケイトラナダ & ロシェル・ジョーダン「Lover/Friend」
ダンスミュージックに特化したサウンドを得意とするケイトラナダですが、R&B要素が強めであるところに惹かれます。ロシェル・ジョーダンのボーカルも相まってUK R&B的な華麗さや上質さを持ち合わせており、2000年代前半にR&B界隈でヒットした(特に日本ではコンピレーションアルバム『SOUL ESSENTIALS』的と形容可能な)サウンドに。ただひたすらに心地良いのです。
5位 Official髭男dism「SOULSOUP」
『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』の主題歌は、ヒゲダンのルーツのひとつといえるソウルミュージック、特にカーティス・メイフィールド「Move On Up」(YouTubeはこちら)をはっきり意識したであろう作品に(イントロのブラス、そしてサビ頭の”無謀な”のメロディに顕著)。そのカーティス愛の深さに驚きつつ、このような遊び心こそヒゲダンの魅力であることをあらためて実感した次第です。
4位 羊文学「honestly」
(公式動画はない模様です。)
「more than words」がロングヒット中の羊文学が12月にリリースしたアルバム、『12 hugs (like butterflies)』の収録曲。2番に登場する主人公の立ち位置を踏まえれば尚の事、ボーカルでソングライターの塩塚モエカさん本人の抱えている(かもしれない)感情をこちらに強く提示しているように思い、いたたまれない感覚を抱くものの曲の疾走感には抗えないと言う良い意味の矛盾を持ち合わせた作品に。
3位 chilldspot「キラーワード」
映画『隣人X -疑惑の彼女-』主題歌ながら、そのタイアップ(書き下ろしの背景)を知らずに選出。今やネットで、そして現実社会でも言葉を暴力的に用いる方が増え、誰かを傷つけながら実は自分自身も傷つけている方は少なくないかもしれませんが、本当は自分を知ってほしいという思いを抱えてもがいている…この矛盾を鋭く提示しています。
2位 XG「WINTER WITHOUT YOU」
K-POP的なアプローチを採る日本人女性ダンスボーカルグループ、XGのウインター(クリスマス)ソング。K-POPでもここ最近目立ってきたY2Kアプローチ、というよりはTLCやSWV、もしくはベイビーフェイスのペンによる美しいメロディを思わせる、1990年代中盤を彷彿とさせる作品に仕上がっています。
1位 アッシャー & H.E.R.「Risk It All」
来月日本で公開予定のミュージカル映画『カラーパープル』のサウンドトラック発。映画にも出演するH.E.R.が、ジミー・ネイプスとともに書き下ろししたナンバーをアッシャーとデュエット。アカデミー賞受賞経験の持つH.E.R.のドラマチックながら決して大仰にならない展開や歌声に、アッシャーの優しい歌唱による寄り添い方が見事です。
以下、次点として10曲。
・Takumadrops「Sunbrella」
・leift「Daze (Outro)」
・WAZGOGG & luvis「miso soup」
・アナイス「Openhearted」
・ドンブレスキー「Lift Off」
・ジョングク & アッシャー「Standing Next To You (Usher Remix)」
・キーシャ・コール「No Love Lost」
・ムロキ & ベニー「Love Cocoon」
・NewJeans「OMG (FRNK Remix)」
・テムズ「Not An Angel」
K-POPにおいて、これまで多く見受けられてきた激しいサウンドやダンスというアプローチではなくY2Kや王道ポップを敷いた作品については、以前も私的トップ10ソングスで選んでいます(ジョングク「Standing Next To You」は2023年11月の2位、NewJeans「OMG」は同年1月の1位に選出)。今回選んだ「Standing Next To You」のアッシャー参加版については下記エントリーをご参照ください。
NewJeans「OMG」におけるリミックスは、ジャネット・ジャクソン「I Get Lonely」(1997 アルバム『The Velvet Rope』に収録され翌年シングル化)を意識したであろう作品に。ちなみに「I Get Lonely」については、Travis Japan「JUST DANCE!」のYaffleさんによるリミックス(YouTubeはこちら)からも感じられ、”Y2K×R&B”なサウンドは間違いなくここ数年の流行といえるでしょう。
Spotifyのプレイリストはこちらに。
今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。