イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【マイベスト】2023年5月の私的トップ10ソングス、選びました

2020年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2023年5月分です。前の月にリリースされた曲を中心に選出しています。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。

過去の私的トップ10ソングス等についてはこちらに。Spotifyを利用し、New Music WednesdayNew Music Friday JapanNew Music FridayおよびMonday Spinといったプレイリストを毎週チェックしています。

 

なお、"私的トップ10ソングス"とあるように、月イチで紹介するこのエントリーは完全な私見に基づくベストソング選出企画となります。音楽チャート紹介時には個人的な作品への思い入れを乗せないよう、心掛けています。

 

 

10位 ジョシュ・レヴィ「See Low」

オーディション番組『Xファクター』の米国版最終シーズンに登場したジョシュ・レヴィ。俳優としてキャリアを積む一方、2018年以降は歌手としても活動しています。そのジョシュによる2枚目のEP『Disc Two』豪華盤収録の新曲は心地良さと妖艶さとを兼ね備えたファルセット、そして2番サビで突如変化するアレンジの(初期ティンバランド的ビートも交えた)いい意味での気持ち悪さが癖になる一曲。

 

9位 mayu「むさぼる」

厳密には4月下旬にリリースされた3年3ヶ月ぶりとなる音楽作品。狂気とも言える歌詞(→こちら)は、ともすれば誰しもが少なからず持ち合わせているものかもしれません。アレンジを担当した積島直人さん(んoon)は『結局、お互い自分を変と思ってない同士、当たり障りなくそれぞれ変さを眺めながら、精一杯音楽を通してやり取りを行うという方式により、変の変さをメタ構造として担保する』とコメントしています(mayuの3年3カ月ぶり新作、んoonベーシスト積島直人がプロデュース(コメントあり) - 音楽ナタリー(4月28日付)より)。アレンジが素朴に聴こえる分、変さが増している気がします。

 

 

8位 ブルーノ・メジャー「Columbo」

来月リリースされるニューアルバムのタイトル曲。たとえばザ・ビートルズにおける「Blackbird」のような美しさに強く惹かれて選出したのですが、この曲の創作のきっかけに悲しい出来事があったことを知り複雑な心境を抱くと共に、だからこそこの美しい旋律で昇華させようとしているのではと感じた次第です。

 

 

7位 Furui Riho「Super Star」

一聴して実感したのは、K-POP女性ダンスボーカルグループが魅せる可愛らしさをJ-POPとして最も的確に落とし込んでいるということ。Furui Rihoさんは同じく5月にリリースされた客演参加曲で全く異なるボーカルを披露しており、底知れぬ才能を実感しています。

 

 

6位 Q「Sow」

以前も私的トップ10ソングスで選出したQによる、アルバム『Soul, Present』収録曲。アルバム冒頭曲におけるマイケル・ジャクソン『Thriller』風味の凄さに驚きつつ、全体的に1980年代R&Bのアップデートが素晴らしい作品ゆえ推奨。また今回初めて知ったのですが、父親のステーィヴン・マースデンはダンスホールレゲエであまりに有名なリディム、ディワリの生みの親だったのですね。

 

 

5位 ジャーネル・モネイ「Lipstick Lover」

(ミュージックビデオは性的表現が強めに描かれているため、視聴時は注意が必要です。)

俳優としても活動するジャネール・モネイが5年ぶりにリリースするニューアルバム『The Age of Pleasure』からの先行曲で、今夏を彩る作品になりそうな予感。アルバムにはCケイ、またグレース・ジョーンズも参加するとのことで注目しないわけにはいきません。

 

 

4位 カーク・フランクリン「All Things」

安定のカーク・フランクリン節といえるゴスペルナンバーですが、シングル曲としてここまで地味な始まり方は珍しいかもしれません。メロディへの3連符の導入やメアリー・J. ブライジ「I Can Love You」的フレーズの挿入等耳を惹く工夫も抜群。ニューアルバムに期待せずにはいられません。

 

 

3位 クイーン・ナイジャ「Words Of Affirmation」

音楽評論家の林剛さんによるツイートがきっかけで深く入り込むように。

ボーカルの強さとしなやかさとが合わさったこの曲の格好良さ、そして美しさたるや。サビへの橋渡しとなるBメロの展開も巧く、まさに屈指の現行R&B作品です。

 

 

2位 Travis Japan「Moving Pieces」

プー・ベアおよびジ・オーディブルズが手掛けたTravis Japan2曲目のシングル(制作陣については音楽ライターの末崎裕之さんによるツイートで知りました→こちら)。刺激的なダンスによる部分と”Ooohhh”から始まる部分との2段階によるサビ等展開の巧さで、3分弱の曲がさらにあっという間に過ぎていく感覚。彼らの成長と共に、この曲のパフォーマンス時にさらなる深みが生まれていくものと感じています。

 

 

1位 坂本真綾「ないものねだり」

5月はceroによるニューアルバム『e o』の評判があちこちから聞こえてきましたが、そのceroの荒内佑さんが提供したのが「ないものねだり」。この美しさと少しの奇怪さ、力強さと儚さ、様々な楽器による様々なリズムの挿入、そして主人公の”僕”が抱える複雑な心境...相反する全ての矛盾をすべて内包し曲として成立させているのがただただ見事です。

 

 

以下、次点として10曲。

・The Burning Deadwoods  feat. Furui Riho「Aliens」

・aespa feat. ナビス「Welcome To MY World」

・エレベーション・ワーシップ feat. クリス・ブラウン「Jehovah」

イディナ・メンゼル「Move」

・ジェイ・パーク feat. ザイオンティー「Candy」

・ジョン・バティステ feat. J.I.D、NewJeans & カミーロ「Be Who You Are (Real Magic)」

・マディソン・マクファーリン & ボビー・マクファーリン「Run」

・マエタ feat. フリー・ナショナルズ「Through The Night」

・ロブ・ムース feat. フィービー・ブリジャーズ「Wasted」

・タイラ & アイラ・スター「Girl Next Door

邦楽は1曲のみ。正体不明の日本人トラックメーカー2人組、The Burning Deadwoodsによる2023年初作は、先程も紹介したFurui Rihoさんをフィーチャー。アレンジによってここまで歌い方が変わるのかと驚くとともに、2段階サビの後半における力の抜き方も見事です。

 

 

Spotifyのプレイリストはこちらに。

今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。