イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】羊文学「more than words」、ポイント4割近い上昇の背景について

最新12月20日公開分のビルボードジャパンソングチャート(集計期間:12月11~17日)では、Ado「唱」が2週ぶり、通算11週目となる首位を獲得しました。

Ado「唱」は前週からおよそ1割ポイントを落としています。これは12月6日公開分(の集計期間中)に初のテレビパフォーマンスが反映されたことの反動とみられます。次週12月27日公開分においては『CDTVライブ!ライブ!クリスマスSP』(TBS 12月18日放送)でのパフォーマンスが反映される可能性があり、ポイントを維持できるかに注目です。

 

さて当週、特筆すべき動きをみせたのが羊文学「more than words」でした。

テレビアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」のエンディング曲である羊文学「more than words」は最新12月20日公開分ビルボードジャパンソングチャートにて34→18位に上昇し最高位を更新、ポイント前週比は139.9%と大きく伸びています。指標構成をみると、構成6指標の中で最も大きく上昇したのが動画再生指標ですが、これはTHE FIRST TAKE動画が加算されているためと考えられます。

(なお、本来オリジナル版と異なるバージョンは、本来は言語の違いを除いて合算されないのがビルボードジャパンのチャートポリシー(集計方法)となっています。ただし動画再生指標については動画に採番されたISRC(国際標準レコーディングコード)がオリジナルバージョンと同一ならば合算されます。グローバルチャートとの整合性も踏まえ、このブログではビルボードジャパンに対し様々なバージョンの合算を提案しています。)

羊文学「more than words」のTHE FIRST TAKE動画は12月8日に公開され、最新12月20日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは初の1週間フル加算対象に。加えて羊文学は今回の集計期間中に『2023 FNS歌謡祭 第2夜』(フジテレビ 12月13日放送)にも出演し同曲を披露。注目度が高まった結果、ポイントの増幅につながっています。

 

THE FIRST TAKEにおいては通常、歌手の作品披露は短期間に二度実施され、最初は代表曲が、その3回後に新曲が披露されるというのが通常となっています。しかし羊文学においては一度目に「more than words」(2023)、そして二度目となる昨日公開分では「1999」(2018)が披露されています。

「1999」はクリスマス関連曲ゆえクリスマスに近い日付にて公開したいという思いが今回のスケジュールにつながったと考えますが、それが結果的に先行で披露された「more than words」の躍進につながったといえます。仮にテレビ出演、そしてビルボードジャパンのチャートアクションを考慮してこのスケジュールを組んだのであれば、歌手側、そしてTHE FIRST TAKE側の施策が見事に合致したといえるでしょう。

 

さらに興味深いのは、テレビアニメ『呪術廻戦』側も「more than words」を応援している(ようにみえる)こと。12月21日午前6時にX(旧Twitter)のアニメ公式アカウントを確認したところ、「more than words」を使用したノンクレジットED映像が固定(プロフィール等の真下に登場するように設定)されていました(ポストはこちら)。この設定は偶然かもしれませんが、こちらも「more than words」の上昇に寄与したかもしれません。

 

羊文学は『CDTVライブ!ライブ!年越しスペシャル!2023→2024』(TBS 12月31日放送)に出演することがアナウンスされています。おそらくは「more than words」を披露するものと思われますが、アニメの盛り上がりと共にこの曲もさらに上昇していくか、注目です。