昨年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2021年11月分です。前の月にリリースされた曲を中心に、しかしその縛りは出来る限り緩くした上で選んでみました。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。
過去の私的トップ10ソングスや2021年上半期、および2020年上・下半期の邦楽ベストソングスについてはこちらに。ちなみに個人的に毎回チェックしているプレイリストは現時点において主に、New Music Wednesday、New Music Friday Japan、New Music FridayおよびMonday Spinです。
10位 ノーマニ feat. ケイトラナダ「Wild Side (Kaytranada Remix)」
オリジナルはノーマニがカーディ・Bを迎え、アリーヤ「One In A Million」(1996)を引用した作品で、7月の私的トップ10ソングスで首位に選んでいます(【マイベスト】2021年7月の私的トップ10ソングス、選びました(8月11日付)参照)。ケイトラナダによるリミックスは「One In A Million」色を消しながら、違う角度からのクールネスが与えられています。
9位 w-inds.「Distance」
シンプルなサウンドながら、用いられているのがおそらくはエレアコギターというのがポイントで、前向きな歌詞にさらなる説得力を与えている印象。新体制で初となるオリジナルアルバム『20XX “We are”』は未聴ですが、先行曲を聴く限り期待を抱かせるに十分です。
8位 AI「アルデバラン」
朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)主題歌。森山直太朗さんによる提供曲はドラマに向けての書き下ろしではないとのことですが、ドラマの主人公の心情を見事に、的確に示しています*1。メロディ自体はJ-Pop的ですが、歌詞の持つ希望や1分強あるアウトロが本場のゴスペルと遜色なく、クワイアで歌った経験のある身には堪らないのです。
7位 リトル・ミックス「Between Us」
イギリスを代表する女性ボーカルグループ、初のベストアルバムのタイトルにもなったこの曲の真っ直ぐな力強さに惹かれました。それでいてしなやかで、逞しさと優雅さを兼ね備えたこの曲からはビヨンセを想起。米英では女性ボーカルグループが少ない印象ですが、リトル・ミックスには今後も邁進してほしいと強く願います。
6位 ジャック・ロス「Never Say」
塩辛さをブレンドしたヴィンテージな声の持ち主、ジャック・ロス。ロドニー・ジャーキンスによるバックアップで登場した模様ですが、この曲ではジャクソン5「Never Can Say Goodbye」(1971)を引用。ロドニーが以前マイケル・ジャクソンを手掛けたゆえの縁でしょうか。この引用がベタになりすぎず絶妙で、R&B界の新鋭として音楽好きに強く印象付けたと言っていいでしょう。
5位 MISIA「Higher Love」
(上記ミュージックビデオはショートバージョンとなります。)
本日リリースのアルバム『HELLO LOVE』からの先行曲で、あの藤井風さんがキャリア初となる曲提供。メロディラインに藤井風さんらしさを感じる一方で、完全にMISIAさんのものになっており、その絶妙なブレンドが歌手による曲提供の理想形だと感じずにはいられません。MISIAさんとゴスペルが本当に合うということもあらためて実感した次第。
4位 ローレン・ハウレギ feat. ブラック(6LACK)「On Guard」
(上記はライブパフォーマンス映像。)
活動休止中のフィフス・ハーモニーのメンバー、ローレン・ハウレギによるソロ曲。ブラックとの相性も好く、そしてシンプルなトラックを情感たっぷりに泳ぐような、ローレンの表現豊かな歌声にも注目です。
3位 宇多田ヒカル「君に夢中」
(ミュージックビデオは後日公開。)
ドラマ『最愛』(TBS)主題歌としてリリースされ、デジタル解禁直後からサブスクサービスでも急上昇。歌詞で用いられる言葉や様々な音のうねりに彼女らしさが溢れています。イントロからは「Stay Gold」(2008)を想起するもメロディが今の時代っぽいこと等も含め、文筆家のつやちゃんが『完全にラップミュージック』と評したことに強く納得します*2。
2位 リジー・マカルパイン feat. ジェイコブ・コリアー「Erase Me」
紛うことなきジェイコブ・コリアー節。多重コーラス(さらに言えばどの部分に強いコーラスを充てるかについてのセンスに長けているところ)や、間奏で激しさが増すアレンジ等がまさにそれなのですが、リジー・マカルパインの芯の通った声がジェイコブ・コリアーの個性に埋もれることなく、より高い次元で交わっているのが好いですね。
1位 BE:FIRST「Gifted.」
気が付くと11月はこの曲ばかり考えていた気がします。世界基準なサウンドやメロディ(後者においてはJ-Popらしさを捨てたと言ったほうが分かりやすいかもしれません)、高い次元でのパフォーマンス等、デビュー曲にしてこの完成度にはやられました。もっと評価され、もっと採り上げられるべきだと感じずにはいられません。「Gifted.」についてはこれまでブログエントリーやプレイリストに記してきましたのでそちらを是非。
以下、次点として10曲。
・Snowk feat. Nenashi「Seasons」
・土岐麻子「Mirrors」
・Roomies「Do you feel」
・ビーチ・ハウス「Once Twice Melody」
・グレゴリー・ポーター「Concorde」
・カヴィンスキー feat. コーシャス・クレイ「Renegade」
・ケイトラナダ feat. H.E.R.「Intimidated」
・キッド・ブルーム「Like I Never Left」
・セリーナ・イシオマ「Crying In The Club」
・シルク・ソニック with サンダーキャット & ブーツィー・コリンズ「After Last Night」
今回までのセレクト分から2021年度下半期、そして年間の邦楽ベストソングスを決定しますのでお楽しみに。
Spotifyのプレイリストはこちらに。
今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。
*1:特に第8話の素晴らしさについては、『カムカムエヴリバディ』第8話は異例の構成 完璧だった「アルデバラン」のタイミング|Real Sound|リアルサウンド 映画部(11月10日付)等で紹介されています。