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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】Official髭男dism「Subtitle」首位返り咲きに至る背景を分析する

毎週木曜以降は最新のビルボードジャパン各種チャートについてお伝えします。

2月27日~3月5日を集計期間とする最新3月8日公開分のビルボードジャパンソングチャートは、Official髭男dism「Subtitle」が6週ぶり、通算13週目となる首位を獲得しました。

CHART insight、およびチャート推移表はこちら。

Official髭男dism「Subtitle」の首位返り咲きは6週ぶりとなりますが、その間も常時3位以内をキープ。好調の要因は20連覇を達成したストリーミング指標にあることは間違いありません。

3月8日公開分の総合ポイントおよびストリーミング再生回数の前週比は、ちょうど1ヶ月前以来となる高水準となっています。ストリーミング指標にデータを提供するSpotifyでは「Subtitle」の再生回数が2,200,835→2,197,152回と微減に留まり、そのSpotifyデイリーチャートにおいては3月3日金曜以降最新3月7日付に至るまで、再生回数が前週同曜日を超え続けています。

たとえば目黒蓮さんが出演した『行列のできる相談所』(日本テレビ 3月5日放送)では『silent』の話題が登場しOfficial髭男dism「Subtitle」も流れています。テレビ効果はこの曲にとどまらず、ドラマで共演し同じ番組にゲスト出演した板垣李光人さんにドッキリを仕掛けたStray Kidsによる「CASE 143」も最新のビルボードジャパンソングチャートで64→40位に上昇。テレビの影響はパフォーマンス以外でも少なからず反映されています。なお「CASE 143」については今週のブログエントリーで紹介しています。

 

さて、最新チャートを制したOfficial髭男dism「Subtitle」の獲得ポイントは6,881となり、近年においては低い水準となっています。

上記のグラフから10位および50位のポイント推移のみを取り出したものを下記に。10位の水準も今週は高くありませんが、一方の50位は今年度でこそ最も低いものの大きくは変わっていません。

今週発表された日本レコード協会のデータからストリーミング市場の拡大が判明しましたが、ストリーミングユーザーの拡大や再生回数増加がビルボードジャパンソングチャートにおける下位のポイント底上げにつながったと言えるでしょう。またビルボードジャパンソングチャートにおけるチャートポリシー(集計方法)の変更も上位ポイントのダウンにつながっていると考えますが、この変更のほとんどは支持できるものです。

そして当週はフィジカルセールスに強い作品がなかったことも、Official髭男dism「Subtitle」の首位返り咲きにつながっています。

同曲が単独でビルボードジャパンソングチャートの最長首位記録を達成したタイミングで今後この記録をどこまで伸ばせるかについて予想したのですが、その際ライバルとなりうる曲としてフィジカルセールスに強い曲を挙げています。

現段階でのフィジカルリリース予定は下記に。「Subtitle」は来週から2週に渡り総合首位を明け渡しながら、3週後にその座を奪還できるかもしれません。そして表からは、最新週がフィジカルセールスのいわば谷間だったことも解ります。

 

今回のポイント水準は予想の範囲内というのが私見。強いフィジカルセールス作品がなかったことで、ロングヒットを続けるOfficial髭男dism「Subtitle」が数字を維持し首位の座に返り咲いた形です。一方で音楽チャートが活性化するにはどうすればいいか、考える必要もあるでしょう。

音楽チャートが活性化するには、フィジカルセールスに強い曲がデジタル(特にストリーミング)で強くなること、そしてロングヒット曲や新たなロングヒット候補曲が仕掛けたり、もしくは弱点を補強することが重要です。後者においては、最新チャートで初めてトップ10入りした百足 & 韻マン「君のまま」に注目。『CDTVライブ!ライブ!』(TBS 3月6日放送)出演効果が次週反映され、さらなる上昇も期待できます。

一方で、「君のまま」の動画再生指標が未だ欠測の状況ゆえ、改善が必要です。CHART insightではこの指標が赤で示されますが、最新チャートにおいても見当たりません。この欠測については前週の段階で指摘しています。

新鋭が弱点を克服し音楽チャートの新たな主役となれば、音楽チャート自体にも注目が集まります。次週はフィジカルセールスで10万枚以上が見込まれる2曲が最上位を狙いますが、「君のまま」そして「Subtitle」も含め、音楽チャートの動向に注目しましょう。

なお、先程は『音楽チャートが活性化するには、フィジカルセールスに強い曲がデジタル(特にストリーミング)で強くなること』と書きましたが、これは音楽業界全体の課題でもあります。昨日のブログエントリーで記したひとつの分析と改善提案が参考になるならば幸いです。