今週月曜夜、米津玄師「KICK BACK」がSpotifyのグローバルデイリーチャートでトップ50入りを果たしたことが音楽メディアから発信されました。当初はこの発信を歓迎したものの、同種の記事が登場する度に違和感を覚え、高まっていった自分がいます。
米津玄師、「KICK BACK」がSpotifyグローバルチャートTOP50にランクイン。国内アーティスト初 https://t.co/aEOHNp8KbW#KICKBACK_米津玄師 #米津玄師 #KICKBACK #チェンソーマン
— BARKS編集部 (@barks_news) October 17, 2022
国内アーティスト初!
— THE FIRST TIMES_NEWS (@The_FirstTimesN) October 17, 2022
米津玄師、「KICK BACK」がSpotifyグローバルチャートTOP50ランクイン#米津玄師 #KICKBACK_米津玄師 #チェンソーマン#THEFIRSTTIMES@hachi_08
▼写真・記事の詳細はこちらhttps://t.co/Fej6RuUDw3 pic.twitter.com/ftsl5ZEZHs
同種の記事は他のメディアからも登場(「米津玄師 KICK BACK Spotify グローバル」の検索結果 - Yahoo!ニュースから判ります)。米津玄師さんのスタッフはビルボードジャパンのツイートを引用する形で御礼を述べています。
米津玄師「KICK BACK」Spotifyグローバルチャートへのランクイン、国内アーティストとしては”史上初”だそうです。ありがとうございます!https://t.co/z4XSQGpoUx#KICKBACK_米津玄師 #チェンソーマン https://t.co/MWmOAVGjqz
— REISSUE RECORDS (@reissuerecords) October 17, 2022
無論これは素晴らしい記録です。しかしながら、10月13日付のSoftlyグローバルチャートでトップ50入りを果たしたことは、翌日夜の段階で既に判明していたことでした。
10月13日付グローバルのSpotifyデイリーチャートが登場。
— Kei (@Kei_radio) October 14, 2022
前日65位に初登場した #米津玄師「#KICKBACK」は47位に上昇。再生回数は1,395,284→1,635,207回と推移しています。#藤井風「#死ぬのがいいわ」は79→78位、再生回数は1,284,592→1,315,511回となっています。 https://t.co/DZUanIlw1A
ゆえに今回の記録達成は10月14日夜、遅くとも翌15日に報じられていたならばよかったはずです。上記ツイート内記事の内容は似通っておりその点にも違和感を覚えたのですが(たとえばビルボードジャパンにはオリコンのダウンロード記録が未記載となる等、メディアによって表記は少しずつ異なります)、ビルボードジャパンの表記に今回の記事発信遅延や類似のヒントがあるものと捉えています。
『レーベルのプレスリリースによると、同チャートに国内アーティストがチャートインするのは史上初のこと。』 https://t.co/1d9hTSiVEl
— Kei (@Kei_radio) October 18, 2022
つまりは、レーベル(レコード会社)側のプレスリリースが届いたことで、メディアがそれに基づき一斉に記載したという体制が見えてくるのです。
同種の現象が、昨日のDISH//「猫」における10億回再生という報道にも表れています(「DISH// 猫 10億」の検索結果 - Yahoo!ニュースにて、複数のメディアが発信していることが判ります。なおYahoo! JAPANのニュースに登場しない音楽メディアもあります)。記事にある10億回はビルボードジャパン等との基準と異なっており、その点からも10億のインパクトを際立たせる姿勢が見て取れると感じます。
『「猫 ~THE FIRST TAKE ver.~」、2017年にリリースされたオリジナルの「猫」、および10周年記念リテイクプロジェクト“再青”より「猫 (in 2022)」のUGC含む合算累計ストリーミング再生回数が、10億回を突破した(レコード会社調べ)。』
— Kei (@Kei_radio) October 18, 2022
UGC含むとのことで動画再生もプラスされていますね。 https://t.co/0xup8JITKv
記事には『10月14日時点で (中略) 合算累計再生回数が、10億回(1,040,628,457回)を達成。』とあり、その数日前に総再生回数10億回を突破したものと思われます。ゆえに突破直後、少なくとも先週末のアナウンスが必要だったと思うのです。
— Kei (@Kei_radio) October 18, 2022
記事の締め方から、新曲リリース訴求等の姿勢も感じられます。
このタイミングでの報道や記事の内容からは、新曲訴求の姿勢も感じられます。それが問題だとは思いませんが、10月14日時点で10億4千万回を超えていたならばその数日前には既に10億回に達していたと思われるため、10億回達成直後に偉業達成を発信すればよかったのではないでしょうか。尤もこの数字を把握できるところは限られているとして、しかしもっと迅速に伝えることはできたはずです。
DISH//「猫」の累計10億回再生についても、プレスリリースが記事掲載のきっかけになったことでしょう。しかし厳しい見方をするならば、”プレスリリースがなければ掲載しないのでは”、そして”そもそも気付かないのでは”という疑問が浮かぶのです。素晴らしい記録を打ち立てたならば尚の事、迅速といえない今回の発表に疑問を抱くと共に、音楽メディアのアンテナや嗅覚についても強い違和感を覚えるのです。
音楽チャートの記録を、判明直後のタイミングできちんと発表できるメディアがあればいいですね。そういうメディアが登場すれば支持したいと思います。
— Kei (@Kei_radio) October 17, 2022
思えば、藤井風「死ぬのがいいわ」がTikTokのバズに伴い米ビルボードによるグローバルチャートにエントリーした際も(このような形でのJ-Popのエントリーは初)、メディアはなかなか記事化しませんでした。厳しい表現になりますが、メディアにはアンテナの感度や嗅覚を磨いてほしいと強く思います。
— Kei (@Kei_radio) October 17, 2022
実際、藤井風さんが先週末に行ったスタジアムライブについてもメディアでは記事になっていないようです(「藤井 風」の検索結果 - Yahoo!ニュース参照)。ともすれば音楽関連報道にはプレスリリースが欠かせず、レコード会社によって取組に差があるのではと感じています。これ自体はレコード会社の課題となりますが、やはり音楽メディアがプレスリリースに頼らず音楽チャートへの関心を持ち続けて発信する姿勢が問われます。