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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】初登場首位獲得のBE:FIRST「Bye-Good-Bye」における強さと課題、そしてメディアへの提言

最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。

3月7~13日を集計期間とする3月16日公開(3月21日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。BE:FIRST「Bye-Good-Bye」が初登場で首位を獲得しました。

「Bye-Good-Bye」はフィジカル後発ながら、獲得可能な6指標のうちカラオケを除く5指標を制しています。

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ビルボードジャパンがカラオケ指標を導入した2019年度以降、5指標以上を制し総合首位を獲得したのは米津玄師「Lemon」、LiSA「炎」およびAimer「残響散歌」のみ。また「Bye-Good-Bye」以外はフィジカル関連2指標も加えた8指標での5指標以上制覇であり、フィジカルリリースが5月となる「Bye-Good-Bye」の勢いを感じずにはいられません。

ポイント面でも、2022年度においてはAimer「残響散歌」(昨年12月15日公開分 16978ポイント)、SixTONES「共鳴」(3月9日公開分 16273ポイント)に次ぐ15778ポイントを獲得しています。

 

(なおビルボードジャパンにおいて、同社が先週配信したポッドキャストを踏まえるに最新3月16日公開分(3月21日付)が第2四半期初週の可能性があり、そこでチャートポリシー(集計方法)が変更されることも考えられましたが、そのようなアナウンスはありませんでした。また第2四半期初週が前週および今週どちらからになるかについても最新のポッドキャストで言及はなかったことを、ここに記しておきます。)

 

BE:FIRST「Bye-Good-Bye」は速報(先ヨミ記事登場)の段階で総合首位登場が見込まれていました。

公式動画においてはミュージックビデオのほかダンスパフォーマンス、さらには(上記ブログエントリー掲載後に)ダンスプラクティス動画も集計期間中にアップされており、前作「Gifted.」同様の動画投入策も功を奏したと言えます。

 

さて、重要なのは次週以降の動向です。先述したSixTONES「共鳴」は最新3月16日公開分(3月21日付)ビルボードジャパンソングスチャートにおいて首位から12位に後退、ポイント前週比24.9%に。これはフィジカル関連指標加算2週目であることやデジタル未リリースの影響も大きいのですが、BE:FIRSTにおいてもポイントのやや大きなダウンが予想されます。

BE:FIRSTは「Gifted.」に続き「Bye-Good-Bye」でもLINE MUSIC再生キャンペーン(再生回数キャンペーン)を採用。サブスク再生回数等に基づくストリーミング指標では今年度最高となる再生回数を記録しています。

2021年11月にリリースした「Gifted.」に続く自身2度目となるストリーミング首位で、再生回数は「Gifted.」が2021年11月10日付で記録した13,040,803回をわずかに上回る、自己最多および2022年度最多の13,526,445回を記録している。『ZIP!』や『スッキリ』といった情報番組でのパフォーマンス披露、楽曲プロモーション施策としてのキャンペーン展開など、リリース初週を盛り上げる動きが目立った当週に続き、次週以降も高水準をキープすることができるか、注目される。

しかしながら、LINE MUSIC再生キャンペーン採用曲はその終了後に再生回数が大きくダウンする傾向がみられ、ロングヒットに至れない曲が大半。それでは真の社会的ヒット曲とは言い難いというのが厳しくも私見です。ストリーミング指標は総合ソングスチャートと大きくリンクするゆえ、尚の事です。

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(上記表のうち、Spotifyの割合が10%を下回る週を青で表示。)

2021年度以降のビルボードジャパンソングスチャートにおけるストリーミング指標首位曲の動向については、BE:FIRST「Gifted.」が総合首位を獲得したタイミングで一度掲載しました(下記ブログエントリー参照)。「Bye-Good-Bye」は「Gifted.」ほどではないとしてもSpotifyの割合が小さく、LINE MUSICに再生回数が偏っていること、さらにコアファンによる再生回数が多いことがここから見て取れます。

BE:FIRST「Gifted.」のストリーミング再生回数に占めるSpotifyの比率は3.2%で、今年度最も低かった5月26日公開(5月31日付)におけるBTS「Butter」の8.8%を5ポイント以上下回っています。

(中略)

ここからみえてくるのはストリーミング再生回数に占めるLINE MUSICの多さであり、LINE MUSIC再生キャンペーンの効果が極めて大きいということ。最新ソングスチャートにおけるストリーミング再生回数の多くがコアなファンによるものであると想像できるのです。通常ストリーミング指標はライト層の支持が大きいことから、キャンペーン後の動向は非常に気掛かりです。

ストリーミング指標首位獲得曲の再生回数におけるSpotifyの割合は平均15~20%であり、LINE MUSICキャンペーン採用曲はSpotifyの割合が大きく下がります。そして同指標を制している曲のほとんどがロングヒットに至っていることを踏まえれば、LINE MUSIC再生キャンペーンに頼らず且つ再生回数を高水準で維持し続けなければ真の社会的ヒットとは言い難いのではないでしょうか。

 

 

それでも今回、BE:FIRST「Bye-Good-Bye」がフィジカル未投入の状況で5指標を制し、高いポイントを記録、そしてフィジカルシングル表題曲が2作品続けて首位となった状況は目をみはるものがあります。コアなファンの方々によるチャート制覇への意志の強さは海外の音楽ファンのそれを想起させ、BE:FIRST側のスケジュール策定の巧さもまた特筆すべきことです。

 

男性ダンスボーカルグループやアイドルにおいては、地上波テレビ局における優遇と冷遇とが未だはっきり表れています。「CITRUS」がロングヒットを続けるDa-iCEが、別曲で『仮面ライダーバイス』(テレビ朝日)に主題歌が起用されながらも同局の『ミュージックステーション』で未だ出演できていない状況は、不自然であり不条理と言わざるを得ません。またBE:FIRST等も同番組への出演が叶っていません。

地上波テレビ局、特に民放の音楽番組で男性ダンスボーカルグループが出演に至るには、もはや無視できないほどの実績の積み上げが一応は有効となります。フィジカルシングル表題曲が2作連続で首位を獲得したBE:FIRSTは、指標の偏りがあるとしても実績自体は十分でしょう。仮に局や番組制作側が指標の偏りを指摘するならば、フィジカル関連指標に偏る歌手の優遇措置を続けることは矛盾と言えるのではないでしょうか。

 

 

フィジカル関連指標加点前でも総合で首位を獲得できること、チャート制覇のためのスケジュール策定に長けていること、コアファンの方々によるチャートへの意識が高いこと、そしてその実力も踏まえれば、BE:FIRSTは日本の中で抜きん出た存在と言えるかもしれません。

ストリーミング再生回数やロングヒットといった課題の克服、つまりはライト層の獲得が急務であることは間違いなく、その点の改善は運営側そしてコアなファンの方々がアイデアを出し合う必要があります。ビルボードジャパンはLINE MUSIC再生キャンペーンの存在を意識していることから(ストリーミングの記事から浮かび上がります)、ゆくゆくは何かしらの措置を採ると考えられるゆえ、改善は急務です。

そしてそれとは別に、日本のメディアの態度は世界を目指す方々の日本での足場固めに悪い意味での引っ掛かりとなっています。その態度をあらためないといけないということを、強く指摘させていただきます。